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ポップアップショップにフォーカスしたシェアリングエコノミーサービスが、ECショップと不動産流通に新しい未来を築く。
展開している事業の内容・特徴
少々語弊があるかもしれないが、今やウィンドウショッピングという言葉には隔世の感を否めない。欲しいものがあれば、街に出るよりもまずスマホ画面を覗く。手元で価格や性能も比較でき、そのまま注文。早ければ当日には届く。こうしてすぐに商品を手に入れることができる現代にあっては、事実、NRIの「ITナビゲーター2014年版 B2CのEC市場予測」では、2012年に10.2兆円だったEC市場規模が、2018年には20.8兆円に倍増すると予測されている。一方のリアル店舗の状況はというと、中小企業庁の「平成24年度全国商店街実態調査」によれば、空き店舗率は全国で14.6% という数字。つまり7店舗のうち1件は空いている状態だ。
このように小売業を取り巻く状況は加速度的に変化しているが、低迷するリアル店舗の小売業にフォーカスしたユニークなサービスがある。株式会社カウンターワークスの「SHOPCOUNTER」だ。
同サービスを簡単に説明すると、リアル店舗での展開を望むECショップオーナーと、空きスペースを有効活用したい店舗オーナーをマッチングさせるマーケットプレイスである。
最大の特徴は、「いつでも気軽にポップアップショップを開ける」こと。小売業者がリアル店舗での出店を考えれば、まず気にかかるのがイニシャルコストだろう。複数年単位での契約に敷金・礼金のリスクは大きく、BASEやYahoo!ショッピングを活用すれば無料でネット販売ができてしまうことを考えると、相対的にコスト負担の大きいリアル店舗には二の足を踏む事業者も多いだろう。しかし、同サービスはイニシャルコストを一切不要にしており、1日単位の利用料のみでリアル店舗の空きスペースをいつでも利用可能にした。
もっとも、いわゆるO2Oを求めるECショップオーナーがどの程度いるのかどうかという疑問もよぎる。カウンターワークス代表取締役CEO・三瓶直樹氏によれば、「ネットで何でも購入できる現在でも、自分で商品に触れ購入を決めたいという消費者は多く、それに乗じてポップアップショップの出店を考えるオーナーさまもたくさんいます。しかし、不動産業界には、近年のEC市場へシフトしている小売業態にフィットする受け皿が今までなかった。そこにフォーカスしたのがSHOPCOUNTERです」と語る。
ユーザーは、洋服や雑貨などのアパレルを中心に、高額な希少品や加工食品の試食販売、またはカフェのポップアップショップとして利用するオーナーもおり、用途は多岐にわたる。また、掲載空きスペースもカフェなどの棚や一区画から、店舗、ギャラリーまでさまざまで、利用料も1日数千円〜10数万円と幅広い。
ユーザー数は非公開とのことだが、ポップアップショップを手軽に出店可能なだけではなく、利用すれば集客力を持つリアル店舗とのタイアップも行えるため、ユーザーは着実に増えているそうだ。また、一方の店舗オーナーにとっても、空きスペースを活用でき、かつ顧客の新開拓にもつながることから好感触のオーナーが多いそうで、2015年5月のローンチから2016年1月時点で、都内近郊のみで約200店舗を数える。
アドテク企業での経験と、自身のバッググラウンドからビジネスアイディアを着想。会社の上場を見届け、一からのスタートを切る。
ビジネスアイディア発想のきっかけ
株式会社カウンターワークスを創業した三瓶 直樹氏の前職はアドテク業界の雄として知られるFreakOut。同社の第1号社員として入社し、2014年には上場を経て、同年10月にカウンターワークスを創業した。いつかは自分で事業を立ち上げたいと考えていた三瓶氏がSHOPCOUNTERのビジネスモデルに至ったきっかけは、社内での経験と自身のバックグラウンドにあるという。
「当時、ECサイトを運営している企業との取引も多く、ECサイトでの課題をお聞きすることもしばしばありました。主な話題は、趣向性や単価が高い商品のオンラインでの販売の難しさ。消費者からリアル店舗で実物を見ることができないのか、といった問い合わせが多いとのことで、ネット全盛のこの時代でもそのようなニーズがあるのかと、個人としても興味深く感じていました。また、私自身のこととなりますが、実家が不動産業を営んでいるんです。なので、アドテクを仕事にしている自分としては、テクノロジーを駆使して、不動産業界にイノベーションを起こせないかと、漠然と考えていました。このふたつのテーマがうまく紐付いて生まれたのが、SHOPCOUNTERです。」
店舗オーナーからの利用料を収益とし、ユーザーはイニシャルコスト不要で1日単位でポップアップショップを出店できるビジネスモデルは注目を集め、2015年9月には、カラーミーショップで知られるGMOペバボと業務提供。大体的なポップアップショップ開催支援キャンペーンも実施した。少数のマンパワーでの掲載スペースを探すのは今でも苦労すると三瓶氏は笑うが、複数名の個人投資家からの資金調達も成功しており、運営はスムーズな展開を見せている。
起業を決意した当時の心境について伺ったところ、「FreakOutではサービスの立ち上げから上場に至るまでの3年半、日一日の会社の成長を肌で感じて業務をこなしていましたが、その熱気を今後は自分自身の力で再現したいという思いもありました。なので、起業すること自体については、迷いはありませんでした」と語ってくれた。
SHOPCOUNTERのテクノロジーで、新しい価値を世の中に浸透させる! そして、新市場の中心的存在を目指す。
将来の展望
同社の近々の課題は、空きスペースの拡充。2016年1月現在、東京都内以外では横浜にも展開しているが、2016年中は東京、横浜以外の地域へも展開させていく考えだ。そのためにはまず営業人材の確保にも取り組みつつ、今後想定される競合参入前にどれだけ基盤を構築できるかが勝負になる。特にポップアップショップサービスでは先達となるアメリカやフランスなどの海外勢の参入を想定しており、それまでに日本国内で確固たるサービス体制の確立を目指していく構えだ。
また、これまでの運営経験からユーザーが求める空きスペースの傾向について体系化できつつあることから、サービスのさらなる充実を図っていくという。三瓶氏によれば、「EC化率は現在4〜5%と成長しているものの、残り95%はリアルで消費が行なわれているのが現状。さまざまなECショップがそこへの足がかりとして活用できる、手軽な販促ツールとして展開していきたい」と語ってくれた。
また、ターゲットとしてはECショップオーナーだけではなく、大手百貨店などを出店場としてきた従来の催事業者や、展示会場を求めるアーティストなどにも提案していきたいとしている。
取材の最後に今後の展望を伺った。
「テクノロジーの活用によって、さまざまな変革が起こってきました。例えばクラウドソーシングによって就職しなくてもプロジェクトや日数単位での労働が可能になり、またAirbnbのようなサービスによって個人宅に泊まるというカルチャーがつくられました。つまり、テクノロジーの発展が、あらゆることのフレキシビリティを高めたということです。こういった流れがゆくゆくは不動産業界にも浸透していくだろうと私は考えていて、弊社のSHOPCOUNTERのようなサービスを提供する会社も、今後、続々と登場してくるように予測しています。将来の展望としては、スペースシェアというサービスが当たり前になったとき、その中心的な会社でありたいということですね。そういう意味ではFreakOutに近いところを目指していると感じています。それまで、ウェブ広告で主流だったパッケージ提供に対し、そうではないDSPにフォーカスして成長してきた。今日では、DSPはウェブ広告の有力な選択肢のひとつとなっています。事業ドメインは違いますが、FreakOutのように、SHOPCOUNTERで既存の価値に変革を起こし、さらに新しいスタンダードをつくっていきたいと思っています」
株式会社カウンターワークス | |
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代表者:三瓶 直樹氏 | 設立:2014年10月 |
URL:http://www.counterworks.jp/ https://shopcounter.jp/ |
スタッフ数:6名 |
事業内容: ・リテールスペースのマーケットプレイス「SHOPCOUNTER」の企画・開発・運営 |
当記事の内容は 2016/01/19 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。