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マンガマーケティングのフロントランナーであるシンフィールド。登録漫画家は400名以上、案件実績数は2,000社を超えて成長中
展開している事業・特徴
今や世界各国にコアなファンを持つ日本の漫画。子供はもちろん、大人の漫画好きは多く、もはやメジャーカルチャーともいえる。
老若男女を問わず馴染みのある漫画だが、最近はマーケティングツールとしても高い注目を集めている。事実、さまざまなシーンで漫画を活用した広告を見かける機会も多く、マンガマーケティングは成長市場の1つだろう。
その中、今回紹介する株式会社シンフィールドは、2009年より漫画広告の“フロントランナー”としてサービスを展開するベンチャーだ。同社が提供する「マンガマーケティング」は、「見てもらいやすい」・「わかりやすい」・「インパクト」などといった漫画の特徴を生かしたユニークな広告として、さまざまな業種の企業から高い評価を得ており、クライアントには富士フイルムや日立システムズ、マネックス証券、ネスレ、資生堂、大塚食品、ヤマト運輸など、有名企業・大手企業が名を連ねる。
登録している漫画家数は当初10名程度だったのが、2015年初めには400名を超え、累計制作案件は6年間で2,000件を超える。同社独自の漫画家ネットワークを構築しており、クライアントの希望によっては有名漫画家への作画依頼もできるという。
それではなぜ、同社がこれほど支持されているのだろうか。
そもそも日本にはイラストや漫画を描ける人材がたくさんいる。コミケなどの同人誌イベントには40万人以上が参加し、イラスト投稿のSNS、Pixivは1000万人以上の会員がいる。またランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングなども隆盛で、探そうと思えば漫画やイラストを描ける人材を見つける事は難しくはない。
しかし、漫画が書けることと、広告として効果を追求する漫画を制作できることは大きく違う。漫画制作側は絵の上手さやストーリーの面白さなど、どうしても「クリエイティビティ」に集中しがちだ。しかし、そうした作品よりの視点だけでは、クライアントが求める効果を得られない事も多い。
そこでシンフィールド社は、高品質なマンガ提供はもとより、「クライアントのROIの向上」をミッションに掲げ、Webノウハウおよびマーケティング・リテラシーを基盤としたサービスを提供。つまり、「広告代わりになるマンガ」ではなく、「広告のためのマンガ」というコンセプトでビジネスを進めている。
クライアントの目標を達成すべく企画提案はもちろん、集客方法の「現状把握」、「分析」、「課題抽出」も行っている点が大きい。同社の強みはマンガを目的にするのではなく、あくまでもターゲットにリーチするためのツールとしていることである。
とある美容クリームの紹介サイトでは、マンガ導入前は平均滞在時間が6分29秒、直帰率が90.20%、離脱率が85.80%であったところ、マンガ導入後は平均滞在時間が12分43秒と倍増、直帰率も81.94%、離脱率も75.06%と大きく改善した。
また、某健康食品のECサイトでは、平均滞在時間が1分32秒から3分、直帰率が82.57%から69.54%に、CVRにいたっては0.31%から1.62%と5倍増もの改善を達成したという。
ちなみに「マンガマーケティング」というキーワードは、同社が商標登録もしている。
Web制作会社として創業。競合との差別化の中で、辿り着いたマーケティング+マンガ
ビジネスアイデア発想のきっかけ
株式会社シンフィールドの代表取締役を務める谷口晋也氏が、同社を立ち上げたのは2006年。学生時代からWeb制作やインターネットを使った集客ビジネスに興味を持っていたこともあり、Web制作会社としてスタートを切った。
受託のWebサイト制作をこなしながら、よりクライアントに満足してもらえるサービスを模索していくと、制作そのものよりWebマーケティングの重要性を実感し、制作から集客まで一貫して行う事業体制を整えていった。
ただ、Webサイトの制作からマーケティングまで、一貫したサービスを提供する会社は他にもあり、けっしてユニークな事業とは言えなかった。そこで谷口氏は、自社ならではの事業を模索しはじめた。
「他社との差別化を図るため、色々とアイデアを練るなかで着目したのが漫画でした。これまでの経験で、漫画を使ったバナーは、CTR(クリック率)が高かったんです。そこで、マーケティング+漫画を事業ドメインに定め、2009年からマンガマーケティングの事業をスタートさせました。そのため、マンガありきで始めたわけではありません。マンガ×Webマーケティングでマンガマーケティングを専業で展開している企業はほぼなく、確かな強みになっていますね」
クライアントから依頼を受け、自社でシナリオづくりや企画・提案を行い、作画を登録漫画家に発注し納品するという仕組みを構築し、営業を開始した同社。
だが、マンガマーケティング自体の認知度が低かったサービス開始当初は、受注がなかなかとれず、1年ほどは、Webサイトの運営代行などで食い扶持を稼ぐ日々が続いた。
そこで、かねてから事業としても行っていたSEO対策やリスティング広告での集客に力を入れたことが功を奏した。2年目からは、サントリーを皮切りに大手企業から問い合わせが入るようになり、徐々にWebマーケティング業界に名が知られるようになった。
今後は求人広告市場でのシェア獲得に注力! めざすは「世界一のマンガ提供会社」
将来への展望
シンフィールド社は近々で、採用マンガサービスの事業部化を予定している。以前より、潜在的に大きくニーズがある求人広告市場のシェアを積極的に獲得していく構えだ。
「これまでの求人広告はテキスト主体で、極端に言えばどの会社も一様に見えてしまう傾向にあります。概要や条件の違いはわかるものの、やはりそれだけでは、学生はじめ求職者に伝わりづらい。そこにマンガマーケティングは、大きく貢献できると思っていて、パッと見たときに目を引き、読ませられるマンガだからこその効果を発揮できると確信しています。まだマンガマーケティングはニッチ・ビジネスですから、どんどん事業領域を押し広げていきたいですね」
求人広告市場はWebマーケティング市場と同程度で、おおよそ1兆円規模だという。採用マンガによって、求人会社の雰囲気や理念をよりわかりやすく伝えられることが浸透すれば、大きなシェア獲得もそう遠いことではないのではないだろう。
同社は「世界一のマンガ提供会社」となることを、将来の展望に据えている。その言葉とおり、海外展開の計画も立案中だ。
アメリカや中国然り、海外ではマンガでマーケティングを行うという文化がないためハードルは高いそうだが、「新しい価値を世界に広めるべく、大志を持って推進させていきたい」と、谷口氏は語ってくれた。
コンテンツマーケティングや動画の普及が加速度的に進むと予想される今後、さらにマンガマーケティングのニーズは高まっていくことだろう。世界から注目されるマンガは今、シンフィールド社によって新たな進化を遂げている。
株式会社シンフィールド | |
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代表者:谷口 晋也氏 | 設立:2006年3月 |
URL: http://www.shinfield.jp/ |
スタッフ数:10名 |
事業内容: マンガマーケティング事業/Webマーケティング事業 |
当記事の内容は 2015/6/2時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。