全国数百地域で利用されている、医療・介護関係者向け完全非公開型SNS「MCS(メディカルケアステーション)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

栃木県医師会、群馬県医師会も導入を決定した医療・介護専用SNS
展開している事業・特徴

20150423-1広くパソコンが普及するきっかけとなったWindows95が登場して20年。さまざまな業界でIT化による効率化・生産性向上が進んでいるが、いまだアナログベースで仕事をしている業界・分野がある。医療業界もその一つで、業務連絡等にはメモやファックス、あるいは携帯電話・PHSなどが主な現場も多い。

そんな中で最近、数多くの医師や薬剤師、ヘルパー、ケアマネ等々に支持を集めているITサービスがある。それが、日本エンブレース社提供の完全非公開型医療介護専用SNS「MCS(メディカルケアステーション)」だ。

2013年7月にリリースされた新しいサービスであるが、医療介護業界内でのMCSへの評価は非常に高く、取材をした2015年4月時点で、全国数百か所の地域で連携ネットワークシステムとして利用されている。大規模事例では栃木県医師会、群馬県医師会が全県域医療介護ネットワークとして導入を決め、他にも全国多数の医師会公式採用が広がっている。こうした動きから、今後は日本中の医療介護関連施設で急速に導入が進むと予想されるサービスだ。
参考資料:栃木県公式ホームページより
http://www.pref.tochigi.lg.jp/e02/welfare/iryou/ippan/documents/zentai.pdf

なぜ、MCSはこれほどまでに注目を集めているのか。それは、同サービスに触れれば一目瞭然である。ITへの特別な知識がなくても、Twitterのように誰にでも使え、業務を効率化することができる。端末もスマホ、タブレット、PCすべてに対応しているので、端末を特別に用意する必要がない。

同サービスの機能は、「見る」、「つぶやく」という、とてもシンプルなもの。タイムライン上には時系列に参加メンバーのコメントや資料などがアップされており、例えば患者の症状の経過や、看護師や薬剤師のやりとりなども一目でわかる。そして、好きな時にテキストを書き込め、カルテやX線写真、連絡ノートなどは画像をアップすれば即座に共有できる。また、管理者はスタッフの招待が行えるようになっており、病診連携、診診連携等も自由自在。さらに、医療、訪問歯科・看護、介護支援など各医療現場に対応する、「MCS公式アプリ」も用意されている。

さて、ここで気になるのが同サービスのセキュリティだが、こちらも磐石な体制を構築。暗号化通信はもとより、IPA推奨の各種セキュリティ対策の実装、アクセスコントロール提供、各医療施設に対応したネットワーク構築など、厚労省・総務省・経産省提供の各種ガイドラインに準拠したICT環境が整備されているのである。

そして、MCSの概要の最後となるが、導入・利用については無料だ。日本エンブレース社はMCS公式アプリを供給するパートナー会社からの収益や、医療システムの受託開発などで運用コストを捻出しており、医療施設や医療・介護関係者の誰もが好きなときに負担なく利用できる。

この特徴もあいまって、MCSはIT化にそれほど積極的とは言えなかった医療界に広く受け入れられた。

4人に1人は高齢者といわれ超高齢化時代に突入した日本。今後も、さらなる高齢者比率の増加が予想されることから、国は現在、在宅医療・介護へのシフトを進めている。

しかし、在宅医療・介護が進むと、一人の患者に対し複数名の医療・介護従事者が関係するようになる。それゆえ関係者間のスムーズな連携は欠かせない。しかし、このスムーズな連携というのが大きい課題であった。

この課題の改善に対してMCSは大きく寄与した。日本医師会総合政策研究機構の担当者は読売新聞での取材に対して、「在宅医療に大きく役立つサービスであり、全国的に広く広がっていくのではないか」と評価している。

全身全霊を尽くせるとの確信から起業! ITを駆使して医療分野のイノベーションをめざす。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150423-2株式会社日本エンブレースは2001年に有限会社として誕生。創業当初からITを駆使した医療系サービスを提供してきた。同社の代表取締役を務める伊東学氏は以前から医療や人間の健康に貢献したいと望んでおり、その思いから起業に至ったと言う。

「まず私の略歴からお話しすれば、大阪大学卒業後、日本オラクル株式会社に入社。そして、当社の設立となります。オラクルではシステムエンジニアとして、ビデオ・オン・デマンドシステムやネットワーク・コンピューター事業などを担当。その後、会社のソリューション事業部に従事し、さまざまな業界に向けての新規事業開発およびマーケティングに携わっていました。その中で医療界へのソリューションを通して、IT技術が貢献できることは多分にあると感じたのが、起業への後押しとなりました。最初のきっかけはそれ以前のことで、私自身が人の健康や生活、そして人生に深い興味を持っていたことだと思います。少々抽象的な話題になってしまいますが、自分が全力を出し切れる分野は何かと自問していた時期があり、そこで人間の『生き死に』に関わることだと結論を得たんです。今振り返れば、もともと真理を追究したいというのか、そういった性格なのかもしれません。また、かつて親族の闘病を体験したのですが、悶々としたやり場のない疑問やある種の不満・不安などを感じたことを今でも覚えています。それは、何が、誰がいけないというわけではないですし、雲のように掴みどころのない感情だったのですが、そこから人の生き死に貢献できる人生を送りたいと強く意識するようになりました。こういった背景があって、オラクル時代に築いたITノウハウをもとに何かできることはないかと模索していたとき、医療というカテゴリーに出会い、起業に至りました」

医療を事業ドメインに定めてからは、まさに水を得た魚のように事業に邁進した。他のことを考える余地はなかったと、伊東氏は話す。

自社サービスとして最初にリリースしたのは、医療カウンセリングサービス。その仕組みを例えるなら、“プチSNS”のようなものだったという。その後、2003年に同社は株式化。定期的にサービスを打ち出し、2004年のKDDIポータルサイトへ医療コンテンツ提供に始まり、ビッグローブ健康のオフィシャルコンテンツ採用等々・・・、実績を着実に増やしていった。

事業も医療コーディネーション事業やウェルネスプロモーションサービスなどに広がり、2009年時点には提携医療機関450医院・カウンセラー78名・専門家760名・提携するウェルネス関連施設1,440施設というネットワークを築いた。

そうして、会社の地盤も固めつつ事業を進めていたなかで、医療やヘルスケアで蓄積したノウハウを生かした、新たなサービスを企画・立案。そうして2013年7月にリリースしたのが、先述のMCSだった。

これまでの苦労話を尋ねると、資金・事業ともに紆余曲折あったと伊東氏は笑いながら振り返る。だが、「私は“執念”と言っていますが、最後までブレない・逃げないという気持ちは常にありました。医療・介護、ヘルスケア、ウェルネス等々・・・、皆人の人生に寄与するサービスですので、そこを事業としている私が退路をつくっては何も意味がないと思い会社を運営してきました」とも、語ってくれた。

より良い医療の実現をめざし邁進! 医療・介護関係者が当たり前に使うツールとなるべく、サービスの普及拡大に尽力する。
将来への展望

MCSはリリース以来、ソフトバンクモバイル社(旧:ソフトバンクテレコム社)との包括的業務提携を結んでいる。機能・コンセプト・企画・開発を日本エンブレース社が、クラウド、各種端末・マーケティング等をソフトバンクモバイル社が担当するという体制だ。

また、2013年12月には、KLabベンチャーズと環境エネルギー投資、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルに対し第三者割当増資を実施。約1億1,000万円の資金調達に成功している。

そして2014年9月には、プログラム言語「Ruby」の開発者として世界的に著名なまつもとゆきひろ氏が、日本エンブレース社の技術顧問に就任した。

これに象徴されるように、同社は社内基盤の強化を急ピッチで進めている。現在スタッフは12名ほどだが、2015年内には現状の約4倍にあたる50名体制を予定している。特に優秀かつ志あるエンジニアの確保に取り組んでいる。

組織の拡大にあわせて、MCSを全国各地、各エリアにある病院・クリニック・介護施設等に一気に浸透させるというのが当面の目標だ。

また、医療や介護サービスの裾野は被事象に広い、同サービスだけではなく、さまざまなパートナー会社と連携を取りながら、新しい医療・介護インフラ構築の一端を担う新サービスのプロジェクトも推進中だ。

すべての医療・介護関係者が業務の苦労を感じず、すべての患者の満足度を向上させる。その実現を将来の目標に据え、日本エンブレース社は今、新しいステージを勇猛につき進んでいる。

株式会社日本エンブレース
代表者:伊東 学氏 設立:2003年9月
URL:
http://www.embrace.co.jp/
スタッフ数:12人
事業内容:
ソーシャル医療介護プラットフォーム事業

当記事の内容は 2015/4/28時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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