パルコ池袋、ラフォーレ原宿、ラゾーナ川崎などに次々と進出。ファッションビジネスを「色」のビッグデータで革新する「IROYA(いろや)」

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執筆者: ドリームゲート事務局

色をテーマにしたキュレーション型コマースが大人気。ECとリアル店舗を同時展開
展開している事業内容・特徴

20150313-1色をテーマにしたキュレーション型コマースサービス「IROYA(いろや)」。2014年3月14日にスタートして、まだ1年というベンチャーだ。ネット上のEC店と、原宿キャットストリートにあるリアル店舗を軸とし、池袋パルコ、アクアシティお台場、JR博多シティ AMU ESTなどにポップアップ・ストア(期間限定ストア)を展開。

さらに今後は、毎月ポップアップ・ストアを展開することが決まっており、ラフォーレ原宿は2015年3月11日(水)~25日(水)まで、ラゾーナ川崎には3月4日(水)~29日(日)まで出店中だ。

売り上げも好調で、この1年間で約数千点の商品を販売。平均顧客単価は1万円弱。他社の平均顧客単価と比べると、IROYAユーザーはかなり高額な商品を購入している。

IROYAの現在のビジネスを簡単にいうと、色をテーマにしたセレクトショップである。例えば、ある月には「白」だけの服やアイテムを揃えて、別の月にはピンク色、あるいは赤色など。扱う商品も新作、旧作、古着、一点ものなどバラエティに富んでいる。価格帯も1000円から15万円を超える商品まで扱っているそうだ。ECとリアル店舗の売上比率は半々で、男女比も半々。

通常のアパレルビジネスは、有名ブランドの商品であったり、季節の新作などを集客の目玉にする。あるいは70%オフのセールなどといった価格での訴求が主だった。しかし、IROYAは「色」をテーマに品揃えするというアイデアで新規参入した。意外にも色を軸にアパレルビジネスを展開している企業がなかったため、リリース直後から業界内外で話題となり、各種メディアで大きく取り上げられて一気に知名度を得た。ちなみにこれまでの広告宣伝費はゼロだ。

もちろん、毎月変わるテーマカラーに沿った商品を仕入れるのは簡単ではない。色を軸にして、さまざまなブランドやサプライヤーとのネットワークを構築したのが同社の強みの1つとなっている。

IROYAの顧客の特長について、株式会社IROYA代表取締役CEOの大野敬太氏に伺った。「IROYAのユーザーに聞いたところ、もちろんご自身で着られる方もいらっしゃいますが、中には収集欲を満たすために買っている方も多いようです。例えば部屋の内装を“ピンク色”で揃えているユーザーであれば、最大の購入動機は“ピンク”。ブランドや価格は最優先ではないわけです。実際、リピート率も高く、新しいアイテムが入ってないか、何度も来店するお客さまもいらっしゃいます」

何より、色をテーマにさまざまな商品を組み合わせられるので、世界観が自由につくれることもポイント。有名ファッションビルなどから引き合いが続いている状況で、すでに2015年度下半期までのスケジュールが埋まっている。

学生時代に古着屋販売員。博報堂、バイドゥ、アイスタイル、Klabベンチャーズを経て起業
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150313-2IROYAを立ち上げた大野氏がアパレル業界に挑戦するきっかけは学生時代に遡る。叔母がパタンナーをしていたためファッションに興味を持ち、高校生の頃には、自分で服をつくったり、アルバイトで稼いだ資金で大量のスニーカー(500足)を保有していたそうだ。

ちなみに、大学時代には古着屋で経験を積んでいる。ただ、きちんとビジネスとして広げていくにはさまざまな経験が必要と考えて、新卒で広告代理店の博報堂に入社。某ファッションコマースや大手航空会社のECマーケティングを担当した。また、大野氏は日本人と中国人のハーフ。中国語が得意ということで、中国向けの仕事をする機会も多かった。

その後、博報堂からバイドゥに転職。さらにアイスタイル、Klabベンチャーズを経て、2013年10月に起業した。創業メンバーは高校時代からの友人や、投資家から紹介を受けたエンジニアなど4名。

個人投資家やニッセイキャピタルから出資も受けている。2015年4月には、iPhoneアプリもリリース予定とのこと。当然、このアプリで商品を購入でき、店舗で買いたいユーザーに店舗情報を案内する機能もある。また、バーコードリーダーにもなっており、ユーザーは商品の詳しい情報を店舗で取得できる。

同社が目指しているのは、単なるアパレルビジネスではない。むしろ、ITサービス業というべき構想を描いている。

IROYAでは、服やアイテムそれぞれをRGBで管理している。RBGとは、赤青緑の3原色を数値化したもので、24ビットカラーだと1600万色が表現できる。アパレル業界で広く使われているPANTONE規格は1755色なので、それと比べると圧倒的に細分化して管理ができるわけだ。

そうなると、同じ白でも微妙な色彩の違いによって、売れ筋や傾向値が変わってくるといったデータが取れる。例えば、「原宿では、やや赤みが強いピンク色のインナーが20台前半の女性に売れている」。しかし、「川崎では彩度が控えめで淡い色合いのピンク色のインナーが売れ線」といったミクロなデータが得られるのだ。

つまり、同社は販売データを「色」で解析する、新しいビジネス分野の開拓を狙っているということ。

色を徹底的に管理。ビッグデータ運用で、新しいマーケットを創出
将来への展望

ECビジネス、リアル店舗での小売ビジネスはもちろん伸ばしていくが、その先に見据えているのはITサービスからの収益化だ。例えば、サプライヤー向けの商品管理ツールの提供というビジネス。

色を定量的に分析して、ビジネスやマーケティングに生かしている企業がないことから、同社は「色を科学した」ビジネス展開を進めている。色に特化した、ビックデータ・マーケティングともいうべきものか。特に、リアルチャネルでの購買データの収集を意識しており、細かなエリア別の傾向分析に注力している。

そのうえで、高精度の需要予測から生産管理までつなげられるシステムの構築を目指している。小売業のなかでも、ファッション業界はもっとも競争が苛烈で難しい。ここで機能する仕組みをつくることができれば、ステーショナリーや家電といった横展開も可能となるだろう。現在展開しているIROYAは、仮説検証やデータ取集の場ともいえる。

当面の課題は人材。大野氏自身は、アパレルからITやマーケティングといった複数の業界経験を意識的に身につけたが、IT業界、あるいはアパレル業界だけの経験しかないスタッフがほとんど。IT出身者とアパレル出身者の間での共通言語や慣習を育んでいく事に重きをおいている。

少しずつ、ITもアパレルもわかり、店舗のマネジメントを任せられる人材が育ってきたそうだが、ビジネスの拡大を支える人材育成に、さらに力を入れていく計画だ。

4月に予定しているiPhoneアプリのリリースもあり、年内にはプロモーションも検討しているとのこと。今年のIROYAの動向に注目していきたい。

株式会社IROYA
代表者:大野 敬太氏 設立:2013年10月
URL:
https://iroya.jp
スタッフ数:10人
事業内容:
IROYA
アパレル小売 / 通販事業
ファッション情報サービスおよびメディア事業
デジタルマーケティング&PR

当記事の内容は 2015/3/17時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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