- 目次 -
手軽に海外製品が購入できるECサイト。決済にはあのBitcoinも利用可能。
展開している事業内容・特徴
インターネットによって海外がとても身近になった。ネットを介し海外商品を購入するユーザーも多い。一昔前ではなかなか難しいことであったが、今は自分の欲しいものを世界中から探し手に入れることができる。
しかし、多くの日本人にとっては言葉の壁、手続きの手間を考えれば、海外の商品を気軽に輸入できるようになったとは言いがたい。ここに着目して、さまざまな会社が日本から手軽に海外商品を購入できる個人輸入・海外通販サイトを展開している。大手では楽天の「アメリカ・ダイレクト」のほか、一方では米国Amazonなどからの転送サービスを行っている会社も多い。この個人輸入・海外通販サービス事業はますます活性化していきそうだ。
さて、今回紹介する「RAKUNEW.com(ラクニュー・ドットコム)」も、そういった海外通販を行っているサイトだ。運営元は楽ニュー株式会社。2013年の3月にベータ版がローンチされた。ユニークなのは取り扱っている商品。いわゆる“日本人にも馴染みやすい”商品をそろえる競合が多い中で、当サイトは海外では話題で日本では購入しづらいガジェットや生活雑貨をキュレーションして揃えている。つまり、サイトを訪れれば世界の先進&クリエイティブなものに出会えるわけだ。
目玉は、全体の約3〜4割を占める “Kickstarter発”の商品。例を挙げれば、スマホで自転車のロックを行える「Lock8」や、片手で人の顔もスキャンできてしまう小型ハンドスキャナ「PocketScan」、2.5億円以上の資金を集めた快眠サポートガジェット「Sense」等々…。Kickstarterにくわしくない人でも、思わず欲しくなる商品が並ぶ。また、当サイトでは、かのGoogleGlassも取り扱っており、ガジェットやデバイスが好きな人にとって、堪らないサイトと言えるのだろう。
商品カテゴリは、スマホアクセサリーやウェアラブル端末の「ガジェット」、ビジネスやデスクワークに使える「ワークスペース」、アウトドアやスポーツギアの「アウトドア・スポーツ」、生活雑貨の「ライフスタイル」からなり、それぞれに大変興味深い商品が集められている。
スタートして1年半が経過した同サービスだが、登録ユーザーは約5万人、月間で約100万PVを集め、伸び率は月間平均15%と急成長中だ。スマホ全盛の昨今、当然だがPCのほか、iPhoneやAndroidスマホにも対応している。
ユニークな機能としては、同じ商品の購入を検討しているグループに参加することで割引を受けられる、“ぐるにゅ”というグループ共同購入機能機能がある。最小人数2人から割引クーポンが発行され、10人集まると通常価格より15%OFF。個人輸入で商品を購入する際、本体価格以外にも輸送費や手数料などの費用がかかり割高感があることも多いので、こういった割引制度は魅力的だ。
配送は日本まではUSPS(アメリカ合衆国郵便公社)、日本国内はヤマト運輸や日本郵便を利用。到着までの期間は、予約商品を除くと平均で注文・支払後15日〜30日程度であり、随時サイトの注文履歴やスマホアプリで配送ステータスを確認できる。ユーザー登録はもちろん無料。登録すれば通常1600円の送料が800円で済むというのもありがたい。
さらに、同サイトの支払い方法にも注目したい。銀行振込、代引、クレジット、PayPalといった通常の決済手段の他、国内ECサイト初の試みとしてBitcoin(ビットコイン)にも対応しているのだ。
Mt.gox騒動で何かと話題のBitcoinだったが、その後は市場動向も安定しており、カルフォルニア州ではBitcoin合法化に向け法案が州議会下院を通過。日本でも自民党IT戦略特命委員会はBitcoinの法規制は見送ると中間報告を発表した。この仮想通貨は手数料を抑えられるユーザーメリットもあり、今後、徐々に市民権を得ていきそうだ。試しにBitcoinを使ってRAKUNEWで買い物を楽しんでみるのはいかがだろうか。
iPhoneアプリ開発会社として起業。
ビジネスアイデア発想のきっかけ
楽ニュー株式会社の代表取締役社長である徐 楽楽氏。中国出身の起業家だ。来日したのは、大学卒業後。
「最初は、右も左もわからず。日本語も話せませんでしたが、日本の文化や社会、経済に以前から興味がありました。また、もとから、将来は自分のビジネスで世に切り込みたいと考えていたので良いチャレンジだと思い、当初から日本での起業を視野に入れていました。」
エンジニアとして日本で就職し、日本の文化やビジネススタイルを身につけた徐氏は、2008年に知人のエンジニアたちと4人で会社を立ち上げた。それが、楽ニュー(株)の前身であるラクラクテクノロジーズ株式会社である。
当初の事業は明確に定めていなかったそうだが、2008年は日本でiPhoneが発売された年。サードパーティのアプリ市場の黎明期であった。この分野なら自分たちのスキルを活かせて成長も見込めるとして、同社はiPhoneアプリ開発に傾倒していった。
はじめてリリースしたアプリは、1週間で10万ダウンロードを突破。これに手応えを感じ、アプリ開発を事業ドメインに定めた。その後、2009年の1月にリリースした英語の発音トレーニングアプリ「iはつおん」は、同社の代表作となる。AppleのCMにも起用され、同社は教育系のアプリ会社として知られるようになった。
だが、しばらくするとアプリ市場の急速な変動から、思うように事業がのびなくなる。同社は事業ドメインの変更を検討しはじめた。そこで徐氏がひらめいたのが、ECサイト事業だった。しかし、普通のECではなんら面白みが無い。そこで思いついたのが、Kickstarter等の刺激的な商品をキュレーションし、販売することだった。そうして生まれたのが、RAKUNEWである。
「世界にはおもしろくて良いものがたくさんあります。しかし、個人ではそれらの情報を得ることは難しい。特に日本では、言葉や文化の違いなどがハードルになっていますので、世界の刺激的な商品と日本のユーザーをつなぐECサイトは必ずニーズがあるだろうと思っていました、また、私もガジェットは好きですから、自分の興味も多分にありましたね(笑)。」
同サイトがローンチされてからの評判は前項で述べたとおりであるが、当初は受託開発で食い扶持を稼ぎながらの運営で、VCからもなかなか投資を得られないなど、資金繰りには苦労した。しかし、2014年8月にエンジェル投資家から約1億円の資金調達に成功し、RAKUNEWを本格的に拡大していく資金的な基盤も整った。
「半歩先の未来は、私たちが届ける」をビジョンに、すべてのユーザーへ感動を届ける。
将来への展望
右を見ても左を見ても似たり寄ったりの商品が並び、モノを手に入れる新鮮身や興奮、そして感動が失われつつあるなか、同社はRAKUNEWを通じてユニークな商品を届けることを進めている。
RAKUNEWのクリエイティブについては、同社のチーフエディターを務める水澤氏のコメントをいただいた。
「海外の商品情報そのままでは、商品の魅力は伝えられませんので、まずは魅力が伝わるコンテンツづくりに力を入れています、日本人にとって普遍的なサイトとして根づくよう、テキスト内容やデザイン、操作性を追求していきたいですね。」
また、くわしくは書けないが国内でクラウドファンディングサイトを運営する著名なベンチャー企業からコンタクトがあり、同社としては日本のモノづくりにも注目しながら、商品ラインナップの拡充を図っていく考えだ。
また、同社ではRAKUNEWの次期バージョンも計画中だ。次のバージョンでは誰もがより海外商品を手軽に購入できる、よりユーザビリティの高い個人輸入・海外通販サイトにする予定だという。
取材の最後に、今後の展望を徐氏に伺った。
「キュレーションECサイトの市場規模は予測できない面がありますが、何より私たちが楽しんで事業を行っています。私もユニークな商品をよく購入しているのですが、自分たちが本当に感動したものというのは、やはり多くのユーザーに知ってもらいたい。『半歩先の未来は、私たちが届ける』というビジョンを掲げているのですが、そのビジョンを、さまざまなカタチで実現させていきたいと思います。」
追記
「RAKUNEW」の運営元である楽ニュー株式会社より、2014年9月3日より一時的にビットコインの取り扱いを休止しているとの連絡を受けたため、追記させて頂きます。ビットコインの取り扱い再開時期などにつきましては、楽ニュー株式会社へお問い合わせください。
楽ニュー株式会社 | |
---|---|
代表者:徐 楽楽氏 | 設立:2013年2月 |
URL: https://www.rakunew.com/ |
スタッフ数: |
事業内容: ・キュレーションECサイト「RAKUNEW.com」運営 ・モノ関連のクラウドファンディングメディアサイト「HardBank.jp」運営 |
当記事の内容は 2014/9/9 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。