わずか2カ月で大反響!アレルギーに悩む人が安全に買い物できるサービス「クミタス」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

アレルギーに関与しない食品の検索して購入できるECサイトが登場。
展開している事業内容・特徴

kumitasu1食物アレルギーを抱える人々が待ち望んでいたECサイトが2013年9月26日にリリースされた。それが、「クミタス」だ。スマホアプリ「アレルギーチェッカー」で知られる株式会社ウィルモアが提供する、食物アレルギーの対処にかかるストレスを軽減し、果てはユーザーの暮らしの安全にも寄与するサービスである。

近年、アレルギーに悩む人は非常に多い。2008年に厚生労働省が公表したアトピー皮膚炎治療ガイドラインには、国民の2人に1人は何らかのアレルギーをもつと示されている。原因となるアレルゲンはスギ花粉や金属等いろいろとあるが、その中でも、場合によっては重篤となり、時に生命にも関わることで知られるのが食物。種類も多く代表的なものでも、卵、乳、そば、小麦粉…と、数えれば切りがない。

食物アレルギーの対処はアレルゲンとなる特定の食物を食べないことのみであり、その代わりとして「除去食」や「代替食」が必要となる。しかし、これらを入手するのには、時間と労力を要した。例えば卵や乳が、一般的なスーパーマーケットに並ぶベビーフードから菓子、総菜に至るまで材料に幅広く使用されている食物であることからも分かるように、除去食や代替食を求めるには、時に取扱いショップ探しから始めなければいけなかったからだ。

同サービス最大の特色は、ユーザーが「自分のアレルギーに関与しない食品」を容易に探せ、「ストレスなく、購入できる」ことである。サイト上には卵、乳、小麦、そば等の全25項目のアレルギーカテゴリーが設けられ、ユーザーはアレルゲンや食事制限対象となる食物を指定できる。そして、検索すれば、安心な食品群が一覧表示される仕組みだ。つまり、スーパーマーケットやオーガニックフードショップに赴き食品の材料表示を確認するまでもなく、安全な食品を自宅に居ながらにして入手できるのである。

サイト上に掲載されている総食品数は1,0746点(2013年12月現在)。これらは皆、amazon、Yahoo!、楽天、セブンネットに登録されているショップの掲載商品である。従来、amazon等で「卵 含まない 食品」と検索しても、該当食品見つけることができなかった。その食品が登録されていたとしても、各サイトは食品の中から除去食や代替食を選別するデータを所有しておらず、検索結果に反映できなかったからだ。この点を可能にしたのが同サービスであり、大手ECサイトからアレルギー対応食品を抽出し網羅したアブリゲーションサービスである。複数のECサイトのいわばハブの機能をすることにより、ユーザーが“どこのショップがもっとも安いのか”を一目瞭然で把握できるのも同サービスの強みだ。

利用方法は2種類あり、登録ユーザーが否かである(facebook、twitter、mixiアカウントでも利用可)。クミタス会員となれば、「アレルゲンの設定を記録」、「もっとも安いショップの把握」、「購入履歴、ブックマーク管理」、「商品のコメント記載」、「購入またはブックマークした商品の在庫状況の確認」も可能である。

ユーザーの暮らしの健康に寄与し、予防医療への貢献にもなるサービスを目標に起業。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

kumitasu2株式会社ウィルモア代表の石川麻由氏が同サービスの着想を得たのは、大病を患った親族の看護を経験したことによる。医療分野に興味を抱いた石川氏は、医療情報ベンチャー企業へ入社し、終末期患者の闘病記を記録していくという業務に携わった。

勤務を通して、果たして病とは? という問いが生まれた。同時に、一般生活者が持つ医療情報や健康情報の少なさも実感した。それがきっかけとなり、生活者が病気を患わないような情報の啓発、健康な暮らしを提供できる予防医療に特化させた会社の設立を思いつく。

元来、チャレンジ精神旺盛でベンチャー気質があったという石川氏は、そのアイデアを元に、2009年2月5日に株式会社ウィルモアを設立した。

そうして最初に立ち上げたのが、健康情報啓発サイト「Every Wellness」。次いでリリースしたのが冒頭で述べたスマホアプリ「アレルギーチェッカー」、そして「クミタス」の立ち上げに至る。

当初は医療用医薬領域に置ける適正調査等のヘルスケアマーケティングリサーチ事業の受託で稼ぎつつ、病気予防を理念に掲げる自社オリジナルのサービス計画を進めていたが、2010年に第一弾となるEvery Wellnessをリリース。このサイトはユーザーたちが提供する健康に関する有益な情報を集約していくもので、いわば健康に関する“おばあちゃんの知恵袋”といったものだ。しかし、運用を経て健康=予防という図式は成り立つものの、必ずしもユーザー間で共有される情報が病気を患わないため応用されるのではなく、リフレッシュ等の用途で用いられる傾向が多いことに気づく。そこで、明確に予防への取り組みを促せるサービスは何かと考えた時に辿り着いたのが食物アレルギーというわけである。

時には死に至る食物アレルギーであるが、アレルゲンを摂取しなければ問題はなく、普段の生活習慣の中での取り組みで十分に予防が可能だ。その点に石川氏は着目し、食物アレルギー保有者へ予防行動を促せるサービスの開発に着手、2011年12月14日にリリースしたのがアレルギーチェッカーだった。

この無料スマホアプリはスマホ内蔵カメラから商品バーコードを読み取るだけで、購入前にアレルゲン表示義務がある7項目と推奨18項目の計25品目のアレルギー成分の含有をチェックできる。このサービスは食物アレルギーをもつユーザーの心を捉え、リリース当初から検索ワードランキングで第4位を獲得、その後も現在に至るまで確たるニーズを確立している。

そして、ユーザーの「チェックするだけではなく、食品の購入もできれば」という声を受けて開発されたのが満を持してリリースされたのが「クミタス」というわけだ。NTTドコモが「グローバルスタンダードになりうる、モバイルを活用したサービス」をコンセプトにベンチャー起業の支援を行うプロジェクト「ドコモイノベーションビレッジ」の第一期生として採択され、支援を受けて開発に至った。当初のビジネスモデルとしてはBtoB。同サービスを介してユーザーが商品を購入すると各ECサイトのショップからのアフィリエイトフィーが収益となる仕組みだ。

正確には同サービスの構想はアレルギーチェッカーのリリース以前からあり、リリースに向けて準備を進めていたという。それが苦労話の一つであると石川氏が振り返るのは、サイトに掲載する食品の検証を行う食品データの収集について。数々の食品メーカー等にアポイントを行ったものの、なかなかまとまった数のデータを所有している会社はなく、また高額でもあり困難を極めた。そこで、0から自社でデータ収集がスタートさせた。しかし、この逆境は功を奏し、独自の食品データ収集ノウハウを確立、アレルギチェッカースタート時には6,000件ほどであったデータは、2013年12月時点で、42,000件を超えている。

食物アレルギーから「食に制限を有するすべての人」が安全な食と出会えるプラットフォームを目指す。
将来への展望

kumitasu3リリースされて数ヶ月が経過したばかりだが、UU数は1万人を突破するなど反響は大きい。また、朝日新聞、北海道新聞、上毛新聞、琉球新聞等の全国の各新聞社から取材を受けメディアからの引き合いも絶えない。

近年までは、食物アレルギーに対してメディアはさほど積極的ではない風潮があったが、2012年に発生した食物アレルギーによる調布市にある小学校での学童死亡事故は大体的に取りあげられ、確実に注目度は増している。また、詳細に見ていけば軽症であるにしろ全国各地の飲食店などでも食物アレルギー事故は度々発生しており、社会的な問題としてスポットを当てるべきテーマでもある。ユーザーのニーズ、アレルギーに対する社会的な注目、そして問題を背景に、同サービスは一層、普及していくことだろう。

石川氏はサービスの拡充を図ると共に、食物アレルギーから視野を広げ、糖尿病患者や痛風患者、ベジタリアン、ノンハラルの人々等が安全に食を楽しめる、“食に制限を持つすべての生活者”のためのプラットフォームとなるべく準備を進めている。

インタビューの最後に、これからベンチャーを起業する人々へ向けてのメッセージをいただいた。

「現代は非常に起業しやすい環境が整っていて、誰しもが容易に起業できる世の中です。ただ、各サービスが確たるユーザーニーズを確立し、社会に有益なサービスとなるか否かは、自分自身が本当に行いたいサービスを持っているかどうかなのだと感じます。いくら、手軽にチャレンジできる時代であっても、まずは自分のwantをしっかりと見定めてから起業しサービスを展開していってもらいたいと思っています」。

株式会社ウィルモア
代表者:石川 麻由  
設立:2009年2月5日 URL:http://www.kumitasu.com/
事業内容:
食物アレルギーサービス企画・運営
スマートフォンアプリ開発・運営
ヘルスケアリサーチ事業

当記事の内容は 2014/1/9 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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