月間80万ユーザーが利用中! 健康のためのアプリ「カラダノート」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

スマートフォンで健康を管理。「カラダノート」で急成長中のベンチャー
展開している事業内容・特徴

plusr1血圧、頭痛、糖尿病、禁煙、妊娠……。体にまつわる情報を簡単に記録して振り返ることで健康管理ができるアプリが人気だ。「カラダノート」というブランド名で展開しているアプリだが、心配な症状や病状に対応するアプリは実に60種類以上。スマートフォン向けのアプリだけでなく、Webサイトの健康情報ポータルサイトとしても展開し、困った時の対処法から病院の検索、相談コミュニテイまでカバー。現在、トータルで月間80万ユーザーが利用しており、合計ページビュー数は1400万以上。(2013年11月時点)ちなみに、ユーザーの8割は女性だ。

「カラダノート」を運営するのは株式会社プラスアール。2009年3月に起業したベンチャーだ。2013年11月時点で、スタッフはアルバイトを含めて15人。そのうち半分は開発スタッフで、Web、iOS、アンドロイドの3チーム体制。この少人数で60以上ものアプリを開発・運用しているが、各アプリの基本構造は共通化させているため、1つのアプリの開発にかかる時間は2~3週間。

健康系のWebサービスといえば、ルナルナなどが有名だが、カラゲー時代に隆盛を誇ったものの、スマートフォンへの移行に伴って成長が鈍化。そうした間隙をぬって同社のアプリは急成長を開始した。同社の基本戦略は無料アプリで集客し、広告で儲けるモデル。スマートフォン向けのSEO対策にも力を入れており、アプリダウンロードでは、メディカルカテゴリ、ヘルスケアカテゴリ共に1位を獲得した実績がある。

ちなみどんなアプリがあるかというと、服薬記録の「お薬ノート」をはじめ、通院予定や医療費控除計算が簡単に行える「通院ノート」、毎日の血圧を記録しグラフなどで見られる「血圧ノート」、おなかの赤ちゃんとの思い出づくりというコンセプトの「妊娠なう」、血糖値の変化や食事の記録を作る糖尿病管理アプリ「糖尿病ノート」など、さまざまなニーズに合わせて展開している。

とあるメーカーの処方薬だけのアプリなど、大手製薬会社からの健康に関するアプリの開発も受託。例えば、服薬記録のほか、飲み忘れていた場合のアラート、症状の変化をグラフにして“見える化する”ことで服薬の継続を促すといった機能もあるそうだ。

こうしたアプリは製薬会社にマーケティングの一環という面もあるが、処方薬はきちんと予定どおりに飲まないと効果が薄まってしまう。患者側の自己判断で服薬を止めてしまうと病気を再発しかねないため、そうした防止効果、本質的な症状改善にもつながっている。

また、同社はユーザー課金モデルも開始。将来的にはユーザー課金モデルを収益の中心にしていく計画だ。

元々は弁護士志望。しかし、インターンで入ったベンチャーで新規事業を立ち上げて事業部長に
ビジネスアイデア発想のきっかけ

plusr2株式会社プラスアールを立ち上げた佐藤竜也氏は、大学に進学するまでは弁護士志望だった。しかし、大学1年生の頃に株式会社フラクタリスト(現・ユナイテッド株式会社)にインターンで入り、学生時代にモバイルSEO事業を立ち上げた。2007年に大学を卒業した後は、そのまま同社の社員となり、23歳で事業部長に就任している。

しかし、当然だがモバイルSEO事業はSEOコンサルティングが収益の柱。コンサルタントの人数に比例した売り上げしか望めないため、ほかにもっとスケールアウトできる事業をやりたいと考えていた。会社は「今の事業で利益が出ているのだから、こちらに専念してほしい」という方針だったため、会社を辞めて自ら起業する道を選んだ。

SEO事業に携わっていた時に気づいたのが、医療・健康に関する検索キーワードが多かったということ。しかし、検索ニーズの多さに対して、それのニーズに応えられるサービスが少なかったため、この分野で変革を起こせると感じた佐藤氏は、「モバイル×医療」というコンセプトで事業を開始した。

最初はガラケー向けのサイトを中心に展開していたが、ここに一つの誤算が生じた。というのも、急激にスマートフォンが普及してきた時期で、ガラケー市場が急速に縮小し始めたのだ。それでも1年目で数千万円の売り上げを記録したが、2010年にはソーシャルゲームなどが大ブームとなり、同社もスマートフォン市場へ舵を切った。ガラケー向けのノウハウはあまり使えないため、ある意味ゼロからのスタート。この時期が一番つらかったと佐藤氏は振り返る。

ソーシャルゲームの流行に伴い、実用系のサービスにでもゲーム性があればヒットすると考え、健康学習ゲームを開発。mixiアプリでトップ10に入るヒットになった。

また、製薬会社からの問い合わせやネットワークも増えてきた。これまで「お薬手帳」などの紙媒体で行っていた記録を「スマートフォンのアプリで展開できないか」という製薬メーカーのニーズに対応して、受託のアプリ開発にも着手。同社では営業を置かず、開発陣もすべて社内で抱えているため、開発費も安く済んだ。大手の広告代理店は大抵、子会社に医療系専門の広告代理店を持っているが、そうした代理店を通じてアプリを開発するよりずっと安いということで、同社はコンペでも負けなし。売り上げを急速に伸ばした。

また、2012年には3つほどだったアプリも、2013年に入ってから大量リリースを開始。事業は今、まさに一気に拡大フェーズに入ったタイミングだ。

医薬品マーケットは10兆円、飲み忘れの薬が年間5000億円。目指すは医療・健康分野の新しい社会インフラ
将来への展望

佐藤氏に今後の展望を伺ったところ、まずマーケットサイズの話になった。日本の医療用医薬品の市場は約10兆円。そのうち、市販薬が約1兆円で、残りが処方薬だ。

処方薬は薬事法の関係でCMなどの宣伝ができないため、MRなどの開拓市場が大きく、それが約1.4兆円になる。

しかし、同社の目指すところは、医療を受ける側。つまり患者側に情報を提供したり、薬の飲み忘れを防ぐサービスを拡充していくということ。実に飲み忘れの薬だけでも年間5000億円ものロスになるというデータもある。そうした無駄をなくしていくことや適切な服薬を進めていくことも重視しているのだ。

具体的には2年以内に、「カラダノート」のユーザー700万人を目指している。この数字はクックパッド社が上場した頃のユーザー数と一致している。(同社はクックパッドの現社長で元カカクコム社長の穐田氏からも出資を受けている)医療・健康系の分野でクックパッドやカカクコムのような社会インフラ的な事業者になることが目標というわけだ。

ちなみに、佐藤氏は以前にドリームゲートで開催したビジネスプランコンストに応募し、関東地区の予選を勝ち抜いている。その時に知り合ったのがリブセンス創業者の村上太一氏。当時、村上氏はまだ高校生だったが、リブセンスは一気に成長し、上場した。

今も佐藤氏と村上氏はサシで情報交換をする友だちで、佐藤氏にとって村上氏は一番身近なライバル。「できるだけ早く、リブセンスの村上さんを追い抜きたい」と笑顔で語ってくれた。

 

最後に佐藤氏からのメッセージを紹介したい。

「最近は起業がファッション的になっている。簡単に起業できる時代だと思うが、一度起業してしまうとなかなか後戻りできない。どうせ起業するなら、自分が死んだ後でも多くの人に使ってもらえるような、社会インフラになる事業に挑戦してほしい。逆をいえば、そんな志が見つかるまでは、起業しないほうがいい。起業はいつでもできる。本当にやりたいことが見つかってから起業すべきだ」

株式会社プラスアール
代表者:佐藤竜也氏 スタッフ数:15名
設立:2009年3月 URL:http://plusr.co.jp/
事業内容:
ヘルスケア関連Webサービス運営

当記事の内容は 2013/11/14 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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