月間30万人が来訪。独自のデータベースを基にしたマンション口コミサービス「マンションレビュー」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

57万件の物件情報、10万件超の口コミが掲載された中古マンション口コミサイト。収益源は BtoC課金等
展開している事業内容・特徴

 groove1人生でもっとも高価な買い物といわれる不動産。買い手側はどんな細かなことでも知りたいと思うが、現状はほとんどが供給サイドからのありきたりの情報ばかり。例えば「お隣さんはどういう人なのか?」「耐震性はどうなっているのだろう?」などが気になっても、なかなかそれらの情報を取得する手段がなかった。

そんな中古不動産の購入希望者の不満を解消すべく、マンションやアパート、地域の口コミ情報を集めて公開しているのが、今回紹介する「マンションレビュー」というサイトだ。運営しているのは株式会社グルーヴ・アール。2009年に創業したベンチャーである。

同社の収益源としては、サイトに掲載されているバナー広告や不動産ポータルサイトへの送客手数料のほか、直接利用者からお金をいただくBtC課金のサービスを展開している。このユーザー課金のビジネスを行っているという点が同社のユニークな点であり、強みだ。

ちなみに、ユーザー課金サービスとして、同社はマンションの価格履歴情報を販売している。

ある中古マンションを購入しようとしている人が、提示されている販売価格が相場として妥当かどうか判断することは難しい。そこで「マンションレビュー」では、物件の過去の販売価格を公開しているため、過去の販売価格の履歴と現在の販売価格を比較することができる。例えば、その物件は、2年前に3000万円、1年前には3200万円、そして今は2800万円で売られていたとしよう。少なくとも今、相場として高値ではないことが判断できる。

こうした価格情報を提供している不動産サイトはなかったが、同社では独自に情報を収集、データベース化し、価格履歴表として公開している。

取材をした2013年9月時点で月間30万人超の来訪数、120万超のページビューというサイト規模に成長している。

創業者2名は三井リハウス出身の同僚。不動産業界をより活性化させるWebサービスを考えて起業。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

groove2株式会社グルーヴ・アールを創業した川島 直也氏と仲根 臣之介氏は、ともに三井リハウスという大手不動産会社の社員だった。学生時代から起業志向が強かったが、会社員時代に聞いたお客様からの声のなかで、不動産に関する情報が少ない、不便。もっと情報が欲しいというニーズがあることに気づいた。

これからの日本は、人口減少、高齢化社会。供給数が減っていく事は明白だ。しかし一方では、中古物件をリノベーションして販売するなど、新しいマーケットが出来つつあり不動産業界にはまだまだチャンスがあると考え、不動産のwebサービスでの起業を決意した。

準備に1年をかけて、2009年に二人で起業した。資本金は790万円。さらに運転資金については日本政策金融公庫と信用金庫の制度融資で調達した。そして2010年4月にコア事業であるマンションレビュー」をオープン。本格的に事業がスタートした。

立ち上げでもっとも苦労したことは、“マンションの写真撮影”だったそうだ。「マンションレビュー」に掲載するため、主要な7700棟ものマンションを2人でかけずり回り、累計で7万枚も写真を撮影したという。気の遠くなる作業である。

1日で70~80棟を8時間かけて回る日々。電車では回りきれないので、移動はバイク中心。まだサービスインもしておらず、売り上げゼロの状態での作業。心が折れそうになったことも数知れず。しかし二人で創業したことが幸いした。お互いを励まし合いながら、何とか乗り切った。

衣食住に関するマーケットで、住の分野だけ大きな口コミサイトが立ち上がっていなかった。川島氏によれば、過去に何社も参入しては撤退しているが、その最大の理由は、不動産ビジネスでは供給サイドからお金を得るモデルになりがちで、どうしても既存のクライアントとの関係に考慮せざるおえない。よって、スケール化できるような大胆な取り組みができづらかったのだ。

また、口コミも、マンションは飲食店と比べ情報が集めづらい。飲食店であれば毎日のように多くの人が利用するためたくさんの口コミを集まりやすい。しかし、マンションは実際に住んだ人しか口コミが書けない。この口コミ情報を集めるための独自の仕組みを構築したことも、「マンションレビュー」が人気となった大きな理由だろう。

住まいの分野でナンバーワンのWebサービス企業になりたい
将来への展望

 これからの展望を伺ったところ、「マンションレビューに関しては、不動産を買う前、借りる前に見て良かったと思ってもらえるようなコンテンツ追及し続けていきたい。3年後の目標ユーザー数は、1000万人。そして、住まいの分野でナンバーワンのWebサービス企業になる」という答えが返ってきた。

狙っている市場は基本的には中古マーケットと賃貸マーケットの広告分野。今後は、費用対効果の高い成果報酬型のBtoBの課金やユーザーが情報に直接報酬を払うBtoC課金が主流になると川島氏は考えている。

 最後に川島氏に意識しているサービスを聞いたところ、「カカクコム」の名前が挙がった。確かに、さまざまな商品の最安値とスペックが分かる、国内最大規模の購買サポートサイト「カカクコム」の登場によって、消費者の購買行動は確実に変化した。

 「マンションレビュー」は、ユーザーが中古マンションを購入する際の購買行動を変えようとしている。株式会社グルーヴ・アールの挑戦にこれからも注目していきたい。

株式会社グルーヴ・アール
創業者:川島 直也氏、仲根 臣之介氏  
設立:2009年9月 URL:http://www.groove-r.co.jp/
事業内容:
不動産メディアサービス企画、立案、運営。 マンション・アパート口コミサイト『マンションレビュー』 不動産売却 一括査定サイト『家いくら?』

当記事の内容は 2013/10/17 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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