リリース初年度で2,700名の学生、150社が利用。就活のあり方を変える新卒“逆求人”サイト「Offer Box」

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執筆者: ドリームゲート事務局

「Offer Box」で就活に逆方向の新しい流れをつくる
展開している事業内容・特徴

i-plug1「現在の就職活動は一方通行の交通渋滞」と表現するのは、新卒逆求人サイト「Offer Box」を手掛ける株式会社i-plug代表取締役社長の中野智哉氏。「学生は何十社もの企業にエントリーし、企業も数千人~数万人もの応募者の中から1人を選ぶ、というお互い大変な労力を使っています。それにもかかわらず、早期退職、就職浪人など、実に二分の一の学生が最初に入る会社選びを失敗している、というのが現在の就活の現状なのです」。

中野氏はその要因を「情報の流れが悪く、ミスマッチが起きているから」と分析する。現在の就活は、学生が企業にエントリーするという一方向の流れのみ。そして、クリック一つで複数の企業にエントリーできるというネット型就活の定着で、1人当たりのエントリー数も急増。まさに「一方通行の道路に車が増えすぎて交通マヒしている」状態なのだ。

この問題を解決するには、「全く新しい流れの道路を作るしかない」。それが今回紹介する新卒逆求人サイト「Offer Box」だ。逆求人という名のとおり、「Offer Box」は学生側がプロフィールを公開し、企業が気に入った学生にオファーメールを送ってアプローチする仕組みになっている。

学生側としては公開プロフィールがエントリーシート代わりになるため、1社1社エントリーシートを記入する労力を省くことができる。自分のプロフィールに対し何社の企業が興味を持ったかが都度確認できるため、エントリーシートのブラッシュアップにも役立つという。

一方企業側としても、学生のプロフィールを確認することが書類選考代わりになり、書類選考のステップを省いて学生にアプローチすることが可能となる。企業側の管理画面ではさまざまな条件で学生を絞り込み検索できるため、少ない労力で的確なターゲット層にたどり着くことができるのだ。

2013年3月には海外に留学中の大学生を対象にした「Offer Box Global」をリリース。「留学時期として一番多いのが、大学3年生。この場合、留学期間と就職活動時期が重なってしまい、日本で十分な就職活動ができなくなります。そのため、留年して就職を1年遅らせるか、留学をやめるか、という2択を迫られて、留学を断念する学生も多いのが現状です」。

「Offer Box」を活用すれば、学生は留学先にいながらにして就職活動の第一歩を踏み出すことができる。企業側としても、海外経験のある学生は語学力だけでなくチャレンジ精神やストレス耐性があり、欲しい人材であるにもかかわらず、これまでアクセスする方法が無かったというのが実情だ。「Offer Box」で優秀な学生とコンタクトできれば、企業の人事担当者は留学生のために採用枠を残しておける。「就活の心配をせず、留学先での海外生活を通して、人間を磨いてほしい」との思いで、大学の留学機関とも提携。帰国後の就活の受け皿を用意することで、学生に積極的に留学してもらおうという狙いだ。

リリースから1年弱だが、現在「Offer Box」の登録学生数は2,700名、登録企業数は150社に達する。留学生対象の「Offer Box Global」もリリースから5か月で、登録学生数1,700名、登録企業数60社にまで増加している。登録者のうち、7割がクチコミ(半分が実社会でのクチコミ、半分がSNSでの拡散)によるアクセスだ。「Offer Box Global」は実に99%がSNSを通したクチコミで広がっているのだという。

ミスマッチの無い就活を実現させたい
ビジネスアイデア発想のきっかけ

i-plug2中野氏がビジネススクールの仲間2人と3名でi-plugを立ち上げたのは2012年4月。大手人材サービス会社での前職の経験を生かし、まずは新卒の人材紹介業を手掛けようという方針だった。しかし、企業、学生双方に営業活動をして、最初の20日間で壁にぶち当たる。企業が希望する人材と、人材紹介会社にアクセスしてくる学生のキャラクターが全くかみ合っていなかったのだ。性質の異なる両者を強引に結び付けてもミスマッチになるだけで、早期離職という未来が見えている。

自分達の手でこれ以上企業と学生のミスマッチという不幸な事例を増やして良いのだろうか、と悩んだ末、中野氏は事業の方向転換を決意。企業が欲しがるようなチャレンジ精神溢れる学生と、成長性の高い元気な企業を結び付けるインフラとして、新卒逆求人サイト「Offer Box」という場を作ることを決めた。

事業の方向転換を決めてから2012年9月に「Offer Box」をリリースするまでの2か月間、中野氏らi-plugメンバーは企業、学生双方に徹底的なヒアリングを行った。どんな機能が欲しいか、どうしたら使いたいと思うのかを追求し、必要な要素だけを入れて「Offer Box」を作りあげた。リリース後1年弱経った現在でも、利用者の声を反映して1~2週間に1回はサイトをリニューアルしているという。

リアルにこだわって人を結びつける
成功のポイント

 「Offer Box」は一括応募、一括対応という現在のネット就活の主流とは一線を画する。i-plugの方針は、「インターネットでありながら、リアルにこだわった就活」だ。

たとえば、企業が学生に送信できるオファーメールは100通のみ。つまり100人にしか、アプローチできないのだ。オファーメールの一括送信もできない仕組みになっており、企業は学生のプロフィールを見て、「本当にこの人に入ってもらいたい」という学生に、1人ずつ本気でメールを送る。学生としても、自分のこの部分が企業に評価されているということを知ることができ、モチベーションが高まるという。

リアルにこだわるのは学生側の仕組みも同じ。公開される学生のプロフィールは、堅苦しい形式的なものではない。「人柄を伝えること」をテーマとし、プロフィール写真も普段のスナップ写真を使用する。自分の経験や大学での研究内容を、画像や動画、ファイルをアップロードして自由に表現できるようになっている。

また、学生側が企業からのオファーを溜めておくその名も「Offer Box」には9個しかマスがない。多くの企業からオファーを受けても、キープしておけるのは最大9社まで。オファーを検討するか辞退するか、適宜意思決定をしていかなければならない仕組みなのだ。

企業が「本当に出会いたい学生」を探し、アプローチする「Offer Box」。初年度の就活期間で、2014年3月卒業の学生約30名の内定が決まった。中には、大企業の内定を断り「Offer Box」で出会ったベンチャー企業に就職を決めた学生もいる。企業、学生の双方から「これまでの就活の仕組みでは出会うことの無かった相手と出会えた」と好評だ。

1エントリー=1採用=1活躍の就活を目指して
将来への展望

今後は「Offer Box Global」のように専門的なニーズに特化した「Offer Box」の別バージョンを展開していく予定。現在進行中なのが、理系就職者を対象にした「Offer Box Makers(予定)」で、その他にもさまざまなバージョンのリリースを計画中だ。

i-plugが目指すのは、究極のマッチングが叶う就職活動。現在の就活市場では、1人の採用枠に対し、200名のエントリー、50名の面接が平均的と言われているが、「理想の姿は1エントリー=1採用=1活躍」と中野氏は語る。企業と学生が相思相愛の相手と出会うためには、お互いの情報が豊富にあること、そして選択方法が複数あることが不可欠だ。その環境を作りあげるべく、「Offer Box」を中心として、これからもi-plugはさまざまな手を打っていく。

i-plug株式会社
代表者:中野智哉 スタッフ数:6名
設立:2012年4月18日 URL:http://i-plug.co.jp/
事業内容:
新卒求人サイト「OfferBox」「OfferBox Global」の運営
新卒人材紹介事業
大学生キャリア開発セミナー事業

当記事の内容は 2013/8/22 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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