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領収書データの入力代行サービスで、福島の復興に貢献!
展開している事業内容・特徴
個人事業主の確定申告書を作成する際、領収書の整理や入力が、かなり面倒な作業となる。税務署への申告期限が近くなり、あわてて領収書データを入力している時、もっと楽に確定申告ができたら……と考える人は少なくないだろう。今回は、そんな人たちが喜ぶサービス「トッテオクール」をご紹介する。その名のとおり、領収書をスマートフォンで「撮って送る」だけで、データ入力を代行してくれるサービスだ。
このサービスのポイントは、領収書のデータ入力を福島県在住の主婦が担っているということ。個人事業主にとって便利なサービスというだけでなく、福島県の復興にも貢献できるというわけだ。
スマートフォンで領収書を撮影し、そのデータを「トッテオクール」に送信すると、画像データが福島県在住の主婦に届く。データが届くと、まず、経費仕訳のトレーニングを受けた入力者が仕訳を行う。データの入力が一とおり終わると、そのデータは別の主婦に送られ、間違いがないかチェックされる。この一連の流れを経て、7営業日以内に領収書の入力データが送られてくる。このように2人以上の人間がかかわることで、正確性を確保しているのだ。さらに、このデータは、Excelで確定申告の経費欄の書式形式にエクスポートできる。
通常の記帳代行サービスは、OCR(光学式文字読取装置)を利用したシステム的な仕訳なので、領収書を送付しても読み取れないデータがあるとそのまま返品されたり、海外に入力を委託している場合は、正確性や納期に問題があることも。しかし、「トッテオクール」では、利用した状況の詳しい情報がわからない領収書、画像が一部不鮮明で入力困難な領収書について、データを返送する際にわかりやすいように「付箋」をつける機能がある。
この「付箋」がついている明細については、顧客自身で確認し、簡単に修正することができる。人間が一つひとつ目で見て入力するからこそ可能になった、かゆいところに手が届くサービスといえる。
さらに、ユーザー独自の仕訳ルールを登録することができたり、返送されたデータを修正する際に、修正内容を登録できるので、仕訳処理数が増えれば増えるほど精度が上がる仕組みとなっている。ユーザーが感じているさまざまな不便や面倒をしっかり引き受けるのが「トッテオクール」のコンセプトだ。
利用料金は、領収書の枚数によって異なる。ひと月50枚までは980円、51枚~100枚までは2980円、101枚~は2980円プラス1枚あたり30円。ちなみに、30日間、上限50枚までは無料で利用できるキャンペーンも行っている。
「トッテオクール」を実際に利用しているユーザーからは、「領収書の入力にそれまで2時間近くかかっていたところ、“トッテオクール”を利用すると12、13分ほどの時間で済むので本業に集中できるようになった」という満足の声が届いている。
地方を活性化させたいという思いで開発。リリース後、多くの問い合わせが殺到!
ビジネスアイデア発想のきっかけ
「トッテオクール」を運営するピリカワークス株式会社は、北海道出身の大沼健哉氏が、地方を活性化したいという思いで2011年に設立した会社。大沼氏自身も地方出身であり、「地方に活気がない」という話を聞くたびに、自分の力で何とかしたいと考えていた。
3.11の大震災の影響で一気に下がった福島県の有効求人倍率は徐々に回復してきたものの、建設業の仕事の割合が高く、パートやアルバイトの仕事は減少したままの状態。仕事をしたくてもできない人々がたくさんいるということを知った。そこで、福島の主婦の方々に在宅でできる仕事を提供することで、世帯あたりの所得を改善させ、県全体を活性化させたいと考えた。
「トッテオクール」のビジネスモデルは、名刺をスマートフォンで撮影するだけで入力してくれるアプリを参考にしている。「ほとんどの経営者が独立当初、領収書をデータ入力するのに苦労した経験がある。この面倒な作業を軽減する便利なツールがあれば、きっと多くの経営者から喜ばれるはず」と考え、「トッテオクール」の仕組みを構築。2013年2月にリリースした。
この「トッテオクール」はサービスリリース前の企画段階で、2012年6月に内閣府の復興支援型地域社会雇用創造事業に選定された。被災地でも主婦の方々が子育てや介護をしながら在宅でできる仕事で雇用を生み出したいという、大沼氏の思いが伝わったかっこうだ。
リリース当初のメインターゲットは個人事業主だったが、リリース後、税務・会計事務所からの問い合わせが多数届いた。また、確定申告書類提出の時期にリリースしたこともあり、医療費控除の入力が面倒な一般の人々が一括して医療機関からの領収書の入力を「トッテオクール」に依頼するケースも。さらには、会計処理代行会社からの業務提携や、大手のシステム会社などから提携の打診もあったという。
多くのユーザーに利用してもらい、地方を活性化、雇用拡大に貢献したい
将来への展望
共同代表の鹿嶋健介氏は、特に税理士事務所の獲得を重点的に考えており、2014年夏には、税理士事務所100社と契約し、合計エンドユーザー数1000件を目標としている。そして現在、税務・会計事務所向けのパッケージ開発に取りかかっている。
現在、税務・会計事務所向けのパッケージ開発に取りかかるなか、協力してくれる税理士などの存在が心強いという。また、大手企業の経費入力代行の受注も検討している。
今後の目標は、もちろん、「トッテオクール」をより多くのユーザーに使ってもらうことだ。インタビューの最後に大沼氏と鹿嶋氏は、「トッテオクールを通じて地方をもっともっと元気にしていきたい。そしてこの活動が、地方の雇用拡大、および地方の活性化という結果につながれば、なおうれしい」と語ってくれた。
ピリカワークス株式会社 | |
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代表者:鹿嶋 健介、大沼 健哉 | スタッフ数:2名 |
設立:2011年7月7日 | URL: |
事業内容: (1) 領収書入力代行サービス「トッテオクール」の運営 (2) お米の産直サイト「ツナギ」の運営 (3) 地方活性化を目的としたWeb制作、コンサルティング |
当記事の内容は 2013/8/20 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。