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スクール業界のキラーサービスとなるか? 毎月5000円から使える総合ASPが登場
展開している事業内容・特徴
日本人は勉強、習い事が好きな国民性を持っているようだ。それを裏付けるデータとして、日本国内には約10万ものさまざまなスクール・教室が存在している。
今回紹介する「Scoolism(スクーリズム)」というサービスは、スクール運営をスムーズにしてくれる格安ASPである。初期費用10000円、月額5000円からという低価格で、2013年3月にリリースされたばかり。開発・運営するのは株式会社ドルク。2011年6月に設立したベンチャーだ。
「Scoolism」が現在提供しているのは、生徒管理、講座・スケジュールリング管理、予約管理システムという3つの機能。
今回取材した株式会社ドルクの村山毅氏によれば、スクールは主にスポーツ系、文化・カルチャー系、塾・学習系の3つに大別できるそうだが、スクールごとの業務内容には細かい差異が多く、異なるスクールで使える業務システムの標準化は難しいといわれていた。
しかし、標準化できないとみんなが思い込んでいるからこそチャンスがある。村山氏はすべてをカバーする必要はなく、どのスクールでも使えるような最大公約数的な機能を提供すればいいと考えて開発を進めた。
取材をしたのが2013年4月。リリースされてまだ1カ月ほどだが、毎日のように問い合わせが届いているそうで、予想以上の好調さだという。また、同社はデモ版も用意しているが、このデモ版を試用したユーザーの10%以上が本契約を結んでいる。
「Scoolism」の収益源はASPの使用料だが、同社は、スクールのコンサルティング、SEO、マーケティング支援なども行っている。そもそも「Scoolism」リリース前はコンサル業務の受託が主な収益で、その売り上げを開発費に回してきた。念願のサービスインで、今後は経営資源を「Scoolism」に集中していき、年内に300社との契約を見込んでいるという。
>無謀といわれた標準化を、たった1人で実現した元会計コンサルの挑戦
ビジネスアイデア発想のきっかけ
村山氏が起業を意識したのは中学生の頃。iPhoneケースの鏡面仕上げなどで有名な新潟は燕三条で工具メーカーを経営していた祖父の姿を幼い頃から見ていた村山氏は、自然と経営者の道を目指すようになった。中学校になる頃にはと社長になりたいと周囲に言うようになった。
村山氏の前職は会計系コンサルティング会社。サラリーマン時代は会計システムのコンサルとシステム構築を主な業務としていた。
「Scoolism」を開発するきっかけは、某Webデザイナー養成スクールに会計システムを導入した際、「生徒管理システムの構築もしてほしい」と依頼されたことにある。そして、村山氏が導入したシステムは、クライアントから高い評価を得た。
その後いろいろ調べてみると、スクールの運営管理に特化したASPが少ないことがわかった。あったとしても、初期費用が数十万円もするような大規模なもの。これでは資金力のある大手しか導入できない。一方で、国内には個人経営のカルチャースクールや英会話教室などがたくさん存在している。これは大きな需要があるのではないかと考えるようになった。
ここにビジネスチャンスを見いだした村山氏。もともと30歳ぐらいで独立・起業しようと考えていたこともあり、1年間ほどの準備期間を経て、2011年6月に会社を設立した。
もともと会計システムのコンサルタントとして、システムの設計から開発までを手がけていたので、システム開発自体はお手のもの。企画・設計・詳細仕様などをつめて、プログラムだけは外部に委託して開発を進めていった。。
とにかく使いやすいシステムにしようと、UI(ユーザーインターフェイス)に徹底してこだわった結果、開発期間は9ヶ月1年に及んだ。一方、スクールの経営者100人ほどに会って操作性や価格などをリサーチ。顧客となるスクール経営者には、元講師が多い。その道のプロである一方、ITにそれほどくわしくなく、資金力も乏しいことがわかった。そこで、生徒数が数十人規模の零細スクールでも導入できる価格帯を狙い、初期費用は10000円、月5000円からという価格を打ち出した。このような低価格でスクール向けにシステム提供している会社が存在しなかったため、競争相手はほぼ皆無という状況だった。
そんな「Scoolism」だが、試しに完成前に宣伝したところ、いきなり引き合いがあった。まだデモ版すらなかったが、紙ベースの資料と電話口の説明だけで2件が成約。この成果には村山氏本人も驚いたというが、「Scoolism」に対するニーズがあることを確信できた出来事となった。
ちなみに、成約したスクールの中に、広島で80名ほどの生徒を抱える英会話スクールがある。もちろん、こちらから営業したのではなく、先方からの問い合わせで、メールと電話のみで成約に至っている。同スクールは「こんな小規模なスクールでも導入できる料金設定がとても有難い」と言う。
同社はとにかく低コストで運営できるサービスを目指している。例えば、会員カードもその一つだ。従来の会員管理システムやPOSシステムは、ハード代だけで数十万円はかかる。しかし同社は、数千円程度の市販のバーコードリーダーを使って読み込めるシステムを構築。会員カードの制作においても通常1000枚で十万円以上かかるところを半額程度で提供する。こうしたコストを抑えるための提案も、小規模なスクールからとても喜ばれているようだ。
「スクール運営に革新を!」。新たなスクールマーケットを創造し世界に打って出る!
将来への展望
村山氏に今後の展望・目標をうかがったところ、「日本国内にある約10万のスクールのうち、シェア10%、1万スクールを顧客にしたい」という回答が帰ってきた。当面は年内に300スクールとの契約。3年以内に3000社を目標にしている。さらに5年目以降は海外向けにも展開していく計画で、最終的には「Scoolism」を、世界で一番使われるサービスとして育てるのが村山氏の夢だ。
「スクール向けにさまざまなサービス・システムを開発することをライフワークにしたい」と語る村山氏。現在提供しているASP以外でのスクール向けサービスも展開し、5年後の年商50億円を目指す。当然、IPOも視野に入れており、ファイナンスの準備も進めている。さすがは元会計コンサルタント、こちらの質問によどみなく、数字や事業発展のイメージも実に明快だった。確かに、マーケットそのものがない分野に挑戦するのは難しい。しかし、村山氏へのインタビューを通じて、「このベンチャーは確実に成功する」と筆者は直感した。同社のこれからの挑戦に、注目していきたい。
株式会社ドルク | |
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代表者:村山 毅 | |
設立:2011年6月 | URL:http://www.scoolism.com/ |
事業内容: スクール向けのシステム開発・提供。コンサルティング業務 |
当記事の内容は 2013/5/16 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。