11万1375種類の不思議な生き物ぬりえをつくる知育アプリが大人気! 子どもの想像力を育む「シャッフルぬりえ」

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執筆者: 山口 大輝

ウサギ×ヘビ×ライオン=◯◯◯!? 自分だけの生き物がつくれる知育アプリ
展開している事業内容・特徴

shufflenurie1 もし、色の付いていないライオンが描かれた絵を渡されて、「そこに色を塗ってください」と指示されたら、あなたならどうするだろうか? 多くの人がたてがみを茶色、体を黄色で塗りつぶすのではないだろうか。しかし、子どもはそうとは限らない。青色を使ったり赤色を使ったり、たてがみをピンク色にしたり、体に模様をつけたり、自由な発想で塗りつぶす子がたくさんいる。

今回は、このような子どもの「自由な発想」に着目したサービスをご紹介する。いろいろな生き物の体のパーツを組み合わせ、自分だけのオリジナルぬり絵をつくる知育アプリ「シャッフルぬりえ」だ。

アプリ内には、ウサギやライオンなどの「動物」、アヒルやイセエビなどの「水の仲間」、ティラノサウルスやステゴサウルスなどの「恐竜」と、各15種類セットの計45種類がラインナップ。これらの中から、例えば、頭部はウサギ、胴部はヘビ、脚部はライオンというように組み合わせ、現実世界では見たこともないような生き物を作成する。画面上でそれぞれの部位をタッチすれば、その部位のみ変わるようになっているので、簡単にオリジナルの生き物をつくることができるのだ。オリジナルの生き物ができたら、色だけでなく、名前や性格も想像するよう促される。完成した作品は、「シャッフルぬりえ」Webサイト内の「ギャラリー」に保存することも可能だ。

「シャッフルぬりえ」の狙いは、楽しく遊びながら子どもたちへ自由に発想する機会を提供すること。さらに、完成した生物のぬりえについて会話することで、親子間のコミュニケーションを促進することだ。

 利用料金は通常350円(2013年4月現在、キャンペーン中)。ダウンロード数は多い時で週5000~7000件程。主に3~10才の子どもを持つ、知育に関心の高い両親が購入している。「世界の常識を変えるWebサービス100」に認定されたほか、iPhone/iPadの有料アプリとしては「教育部門」で第2位も記録。アプリ自体のコンセプトやワークショップイベントなどでの取り組みが評価され、2011年には「キッズデザイン賞」を受賞した。

本アプリを活用したワークショップイベントは、2007年に開始。最近では、商業施設を中心に催されるさまざまなイベントに招かれるようになった。現実のイベントでアプリの魅力を伝えながら、創造的な交流を楽しむ場づくりのため、日本中を奔走している。

 また、現在では、教育業界を中心とした多くの企業から、アプリ開発やコンテンツ制作の相談を受けるようにもなってきた。本アプリを土台とした各種アプリの開発、制作協力につなげるなど、業務の幅も大きく広がっている。

 コラボレーション事例としては、40万ダウンロードを誇る「ドラキッズ×シャッフルえあわせ」(株式会社小学館集英社プロダクション)の共同制作や同アプリのLINEアプリへの採用、施設での参加型コンテンツ「プラスサイエンス」(千葉市科学館)への制作協力、大阪市の橋下徹市長が小学1年生からの導入方針を決定したという英語の読み方に関する学習方法 “フォニックス” を基にしたiPhone/iPadアプリ「ABCフォニックス」(IGS株式会社)への制作協力など、パートナーやクライアントの種類も多種多様だ。

大学時代に携わったプロジェクトで、子どもの感性に興味を持った
ビジネスアイデア発想のきっかけ

shufflenurie2 「シャッフルぬりえ」を運営する株式会社ピコトン代表の内木広宣氏は学生時代、子どものアイデアから生まれたキャラクターを使って地域活性化を目指すプロジェクトに参加していた。

その活動の一つに、「オバケーション」というワークショップ型プログラムがある。子どもたちが身近に感じる不思議や興味をキャラクター化するという内容だ。同プログラムは、第10回インターネット活用教育実践コンクールで「内閣総理大臣賞」を受賞している。

 内木氏はこの「オバケーション」での活動をとおして、子どもの考え方や感性への興味を深めていった。子どもたちが成長していく過程で、斬新な考え方や感性を失わずにいてもらうために、自分には何ができるだろうと考え続けた結果、今のアプリビジネスのアイデアにつながったという。

成功のポイント

本当の成功要因は、アプリを表示する画面の外にあった

 「シャッフルぬりえ」が最初にヒットしたきっかけは、App Storeのトップバナーでの紹介。それを機にダウンロード数が急速に伸びた。しかし、ほかの子ども向けアプリすべてが競合となり、App Store上では熾烈な競争が繰り広げられている。

そんな中、飛躍のきっかけとなり、今もそうであり続けているのが「現実世界でのイベント」の開催だ。日本中の親子に「シャッフルぬりえ」を楽しんでもらいながら、イベントの度に改善につながるフィードバックを受け、ユーザーニーズを汲んだバージョンアップを続けている。

これこそが、同社の大きな強みと言えよう。ビジネスモデルの中に、フィードバックループの重要なパーツとして「現実世界のイベント」が組み込まれているわけだ。同社は、ユーザーとまさに “直接” 交流しているのだ。

その結果、アプリのダウンロード数が伸び続けるばかりか、上述のとおり教育業界を中心にさまざまな企業から相談を受けるようにもなった。アプリとイベントとの相乗効果を土台として、各種コンテンツの開発、制作協力につながるなど、業務の幅が大きく拡大してきたのだ。

一方で、イベントの開催は参加する親子に喜ばれているにも関わらず、直接収益には繋がりにくいことに悩まされた。そこから、「パッケージ化」の必要性を感じ、懸命に取り組んだ。これによりイベント出展の業務効率が改善され、スタッフの時間を大幅に割くことなく、フィードバックループとしてもさらに機能するようになった。

見過ごされがちだが、事業が成長し始める段階で顧客へ提供する価値の「品質」と、それを提供するための「効率」とを同時に維持、改善していくプロセスは非常に重要なポイントだ。

「親子向けコンテンツならピコトン」。そんなブランドを確立したい
将来への展望

shufflenurie3「親子がアプリの画面を見ながら楽しそうにコミュニケーションしている様子を目にするにつけ、アプリ自体の市場は拡大するが、その一方で画面の中だけで完結するアプリの市場は縮小していくと確信している」と内木氏。

同氏は今、電子教科書が普及した世界をイメージしている。そのような近未来に求められるのは、端末の画面で完結するアプリではなく、イベントなど現実世界とつながる仕組みだ。同社はそこで活躍できる企業として、さらなる成長を目指している。

「親子向けコンテンツならピコトン」と呼ばれるようなブランドを目指し、同社は徹底して上質なコンテンツの制作を続けている。

株式会社ピコトン
代表者:内木広宣
設立:2007年5月 URL:http://shufflenurie.picoton.com/
事業内容:
キャラクターの企画・制作・グッズ製造・販売
パンフレット・チラシ・ポスターの制作
ウェブサイトの企画・制作・運営
子ども向けイベントの企画・運営・制作
iPhone/iPad/Androidアプリの企画・開発

当記事の内容は 2013/4/18 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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