エンタメに革命!? 個人制作の動画販売プラットフォーム「necfru (ネクフル)」が登場

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

個人がつくった動画をすぐに販売できるプラットフォーム・サービスが登場
展開している事業内容・特徴

 necfru1休日に、家でゆっくりとDVDを観ながら過ごす人は多いだろう。今、DVDなどのソフトの販売、レンタルの国内市場規模は約4000~5000億円(※)といわれている。ちなみに、当該市場規模は日本とアメリカが非常に大きく、あるリポートによると、世界全体の3分の2程度を両国で占めているそうだ。
(※)一般社団法人日本映像ソフト協会調べでは2011年度で5021億。
http://www.jva-net.or.jp/report/annual_2012_4-11.pdf

しかし、この市場は年々減少している。一方、動画などのネット配信サービスは急速に伸びている。最近テレビCMでもよく目にするHulu(フールー)や、携帯電話での動画サービス、NTTdocomo提供のNotTVなどが有名だ。国内のベンチャー系でいえば「ニコニコ動画」なども含まれる。

映像制作を生業としていたプロクリエイターにとって、DVDソフトが売れなくなることで収益機会が減っている。テレビ番組などの制作費も年々減少しているようだ。クリエイターにとっては辛い時代が到来したわけである。

今回紹介する「necfru(ネクフル)」は、クリエイターたちの窮状を救う可能性を秘めている。個人が制作した動画を投稿、販売できるサービスだ。動画投稿の仕組みはとても簡単で、いくつかの項目を設定するだけ。しかも無料。動画には視聴可能期間も設定できるので、「1週間だけレンタル」といったことも可能。気になる著作権管理については、JASRACなどの著作権管理団体の許諾も受けているそうなので安心だ。クリエイターにとっては、至れりつくせりのサービスだ。

無料利用の場合の制限容量は1GB以内、その容量を超える動画を売りたいという場合は、有料版として、上限10GB、50GB、100GBといったプレミアムアカウントが用意されている。これは主にコンテンツホルダーである制作会社などの法人向けという位置づけだ。

ユーザーは見たい動画があれば、クレジットカードやペイパル、ビットキャッシュなどで支払ってすぐに購入して観ることができる。動画販売額のうち30%が手数料として、サービス運営元である株式会社ネクフルの収益になる。

2013年1月末にリリースされたばかりのできたてほやほやのサービスだが、すでに100本の動画が買われている。取材をした2013年3月時点で動画の投稿数は500本。会員数は1700人と上々の滑り出しをみせている。

リリース当初はハウツーものが売れていたそうだが、今はエンタメ系をはじめ、インディーズバンドのライブ動画や受験対策動画など、幅広いジャンルの動画が売れ始めている。著名な動画クリエイターのファンが口コミでサイトにアクセスして購入するケースが多いようだ。

現在、ネクフルは、独自に収集した3万人のクリエイター・リストをもとに、「necfru」の仕組みをとにかく説明して歩き、認知してもらう活動に注力している。

「自分が欲しいサービスがなかったのでつくった」。個人でJASRACと交渉し許諾も取り付け、起業!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

necfru2「necfru」の開発・運営元である株式会社ネクフルは、草薙俊介氏が2011年11月に立ち上げたベンチャーだ。

草薙氏が起業に至った経緯が面白い。草薙氏は明治大学を卒業しているが、就職活動をせず、趣味であるサーフィンをしていた時にふと見上げた空に飛行機の姿を見た。その時突然、「飛行機に乗りたい」とひらめき、パイロットを目指したという。航空大学校を受験し、ペーパーテストには合格したものの、身体検査にひっかかり結果は不合格。スポーツマンで体力には自信があったので、なぜ落ちたのかはわからないらしいが、二度挑戦してダメだった。その後、年齢制限のためパイロットへの道は断念し、実家がある北海道に戻ってフリーターをすることになる。

しかし、東京で遊びたくなったので再度上京。その際、偶然見つけたのがECサイトのコンサルティングを行う会社の求人広告だった。その会社に入社した2009年頃、仕事のためにプログラミングの勉強を始めたことが、「necfru」発想の原点となっている。

DVDでプログラムが学べるという教材を購入したが、全部見ても役に立ったのは全体の10%くらい。「これならインターネットで動画配信(ストリーミング)してくれたほうが便利だし、必要なところだけ見れたらいいのに」と思い、DVDの制作者に問い合わせをした。

そうしたところ、「実はDVDをつくってパッケージソフトにして販売するのはとても労力が多くて大変、ストリーミング形式で有料販売できるものならそうしたい」という話を聞き、探してみたところ、そのようなサービスが世の中にないことに気づいた。

「それなら勉強がてら、自分でつくってみよう」とあいなった。サラリーマンなので自由に使える時間は限られているが、帰宅後や週末の時間を使いサービス構築をスタート。それから9カ月後の2011年末、ベータ版を完成させた。

そのベータ版をいくつか映像系の会社に見せたところ反応がよかったため、「これは本格的にやるべき」と考え、草薙氏は事業化に向けて動き出す。2011年11月、会社を設立。資本金の500万円は親から借りた。設立メンバーは2名。もう一人は知人の紹介で知り合った経営者で、彼の会社の一角を借りてのスタート。

まずは著作権管理団体であるJASRACに法的に問題がないかを問い合わせた。前例のないことなので明瞭な回答がなかったものの、毎週のように催促するなど粘り続けて、設立から8カ月後の2012年夏に、許諾を取り付けた。

その後、ビジネスモデルやサービス全体のUI-UXもすべて見直した。デザインについてはGoodpatchという会社に相談し、協力を依頼。ちなみにGoodpatchという会社は、最近UI-UXの分野で急成長しているベンチャーで、非常に評価の高いクリエイター集団だ。

それから、半年ほどの開発期間を経て、2013年1月には正式版となる新バージョンをリリースした。

ちなみに創業メンバーでもあるエンジニアの木村氏は、草薙氏のブログをみてSNS経由で問合せしてきたそうで、それがきっかけでネクフルの開発に参加したそうだ。

また、草薙氏は六本木に起業家や企画マン、メディア関係者が集まる「awabar (アワバー)」という知る人ぞ知るバーによく顔を出している。そこで知り合った起業家やメディア関係者からビジネスの引き合いも多く、「necfru」以外に水面化でいくつかビックプロジェクトが進行中だそうだ。

目指すはビデオソフト市場の革新!クリエイターが個人でも食える仕組みをつくりたい
将来への展望

冒頭でも紹介したように、日本のビデオソフト市場は世界でも有数の規模である。現在、草薙氏の目標は、「まず国内マーケットで確固たる地位を確立する」ことである。

長期的には、「necfru」のプラットフォーム上でヒットしたクリエイターを複合的にプロデュースしていく仕組みをつくり上げたいと草薙氏は計画している。たとえば、イベントやライツビジネスなどだ。

アメリカではYoutubeやHuluなど動画サービスのベンチャーが多数生まれている。日本でもニコニコ動画などがあるが、ネクフルのビジネスモデルと直接競合するところはまだない。

ニコニコ動画は規模的にいえば巨大メディアに匹敵するレベルだが、よい意味でも悪い意味でもアマチュアイズムが浸透している。サブカル的な空気感はニコニコ動画らしさともいえるが、「necfru」は差別化要点として、プロ意識の高い動画、売れる動画ということを意識を運営している。ブルーオーシャンである今がチャンスというわけだ。

また、今年いっぱいは国内市場に集中して、来年度には英語版もリリースする計画だ。ソーシャルゲームの隆盛もそうだが、日本には独特のマーケットが存在する。ゲームや飲食などの分野は、世界中でも日本は特出してサービスが進化している。エンターテインメント分野でも日本は超大国といえる。同社のサービス「necfru」が、世界的なエンタメ・プラットフォームになる未来を期待したい。

株式会社ネクフル
代表者:草薙 俊介 スタッフ数:3名(役員2名、エンジニア1名)
設立:2011年11月2日 URL:http://necfru.jp/
事業内容:
動画のマーケットプラットフォームnecfru(ネクフル)の開発・運営。

当記事の内容は 2013/4/2 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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