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誰でも手軽にオンライン教室が開講できる、クラウド型のラーニングシステムが登場!
展開している事業内容・特徴
教育ビジネスにとって、今や欠かせないのがeラーニングシステムだ。教室の確保、講師の拘束も不要。誰もが時間と場所を問わずに学べるため、従来必要とされていた教育サービスのコストが劇的に下がった。
大学や企業内研修などで利用したことがある人も多いだろう。しかし、eラーニングシステムを導入するには、数百万から数千万円ものコストがかかるといわれてきた。
そんな導入コストの高額さから、大企業や大学以外では導入しづらかったeラーニングシステムだが、なんと月額1万円程度から導入できるサービスがついに登場した。それが今回紹介する「edulio(エデュリオ)」だ。
従来、eラーニングシステムを稼働させるためには、専用サーバや専用ソフトが必要で、システム上で提供する教材作成も難しく、かなりの時間と費用がかかっていた。
しかし、「edulio」はクラウド型のサービスで、サーバや専用ソフトを必要とせず、誰でもすぐに使い始めることができる。
「edulio」の最大の強みは、説明書を見なくても簡単に操作できることだ。開発元の株式会社マイデスクの代表・松野広志氏は言う。「特に導入企業側が使う“管理画面の利便性”に徹底的にこだわり、とにかく使いやすいものを追及していった結果、顧客の反応がガラリと変わった。デモをするたびに『これは運用が簡単そうだ』『こういうシステムが欲しかった』『すぐ導入したい』という反応が増えていった」。
ひたすらクライアント企業からの声を聞き、すぐに要望を反映しながら、ユーザビリティを改善。さらに、eラーニング機能だけに限らず、アンケート・テスト・実地研修の履歴管理(今夏リリース予定)・受講管理なども実装し、より高度な業務システムとして進化させている。さらに、「Googleハングオン」を利用することで、Live配信も可能になっている。
従来のeラーニングシステムの不具合を一気に解消した革新的な製品として、2012年9月からサービスを開始。半年ほど経った2013年3月時点で、すでに数十社が導入済みで、アカウント数はすでに数千のオーダーとなっている。導入先は一般企業・研修会社・資格学校・学習塾・カルチャースクールなど多岐にわたり、アカウント数が万単位の契約も進行中だという。同社の陣容は、松野氏とエンジニア、デザイナーの3名のみというベンチャー。引き合いが多すぎて対応に手が回らず、うれしい悲鳴状態が続いている。
宣伝活動や営業はいっさいしておらず、クライアント企業からのお問合せや、クライアントが別のクライアント企業を紹介してくれることが多いそうだ。口コミだけで認知度が上がっている。
導入プランは「セールス機能付きのPlan-S」と「社内や学校内のインターナルな利用のPlan-I」という2種類のみ。月6000円から導入でき、アカウント数に応じて料金が上がるというシンプルな価格体系だ。松野氏によれば、従来のeラーニングシステムに比べて1/10以下というコストメリットがあるそうだ。
こうした小さなベンチャーが、いきなり数千アカウントもの顧客を管理できる秘密は、ずばり“クラウド”にある。「edulio」のシステムはクラウドサーバ上で稼働しているため、サーバ台数の増設もボタン一つでOK。専用サーバのような複雑な作業は必要ない。アカウント数が数千、数万単位の大型契約が取れても、同社はすぐに対応できるという。
二度の事業転換を経てたどり着いたサービス。開発のきっかけはクライアントからの声
ビジネスアイデア発想のきっかけ
実はマイデスク社は、過去に二度、事業の転換を行っている。2010年8月の創業時に行っていたサービスは、資格試験などの過去問サイト「カコモン.tv」。B2C型のビジネスだったが、5カ月で見切りをつけて、社名でもある「myDesk」というサービスに転換した。
「myDesk」は、複数のクライアント企業や個人事業主が資格試験の教材を掲載・販売できるポータルサイト。これもB2C型のビジネスだったが、あまり反響がよくなく、結局、7カ月ほどで2度目の事業転換を行った。それが現在展開している「edulio」だ。
「edulio」が生まれたきっかけは、myDeskのクライアント企業から「自社専用のeラーニングシステムがほしい」という声が非常に多いことだったという。マーケットを調べてみると、中堅企業が気軽に利用できるeラーニングシステムが存在していないことがわかった。
ここにビジネスチャンスがあるとみた松野氏は、「edulio」の開発に着手。1年近くの開発期間をかけて、システムをつくり上げた。クラウド型のeラーニングシステムを運営している会社は皆無だったため、手探りのなか、開発にはとにかく苦労したという。
そして、2012年9月、「edulio」のファースト・バジーョンをリリース。それまで、多くの中堅教育サービス会社は、教材をDVDなどにして販売していた。DVDは、制作コストや流通コストがeラーニングシステムより高いうえに、ユーザーがどのように学習しているかはわからない。一方通行の情報配信だったわけだ。
しかし、本格的なeラーニングシステムを導入すると高いコストがかかる……そうしたジレンマが渦巻くマーケットに向けてリリースされた「edulio」は、すぐに注目され始めた。
リリース後は、1カ月に一度というハイペースでバージョンアップし、試行錯誤を重ねながら猛スピードで進化させていく。最初から「有料版」としてリリースしたことも奏功した。有料のサービスだとクライアント企業は、真剣な要望を返してくる。真剣に利用してくれるクライアント企業の要望を受けて改良を重ねることで、ハイペースで製品のブラッシュアップを繰り返すことができた。それが成功のポイントだと松野氏は分析している。
もう一つのターニングポイントは、某大手上場企業への導入。ベンチャー企業の製品・サービスでは、クライアントから見るとセキュリティや実績の点に不安を持たれてしまう。しかし、有名な上場企業の審査基準をクリアしたという実績一つで、他の企業の反応もがらりと変わり、それまで検討中だったクライアント企業の不安が払拭されて、契約数がどんどん増え始めたそうだ。
目指すのは「世界でもっとも手軽に使えるeラーニングシステム」
将来への展望
松野氏に今後の展望を伺ったところ、「世界中のノウハウや知識を発信したいと考える人たちがオンライン学習市場に気軽に参入できる社会をつくりたい」と答えてくれた。
松野氏によれば、現在、教育ビジネスマーケットは、オンライン学習への移行期にある。20代以下の世代は、スマートフォンやタブレット端末を簡単に使いこなす。また、タブレットの導入する学校も増えている。調べ物もインターネット検索が当たり前だ。
しかし、企業研修、カルチャースクール、資格の学校などのメイン顧客層は40代以上。そうした年配ユーザーに配慮して「eメールが使えない人にはどうすればいい?」「電話での質問受付はどうすれば?」といったアナログ的問題への対応が今も求められている。
しかし、スマートフォンやタブレットで学習することが当たり前になった若い世代が年を重ねて、教育ビジネスの主要顧客層になってくる頃には、eラーニングシステムを使うことは当然。そんな時代が、すぐにやってくる。これからそこに行き着くまでに、教育ビジネスは劇的に変わると松野氏はみている。
まずeラーニングマーケット自体を広げていきたい。これがマイデスク社の当面の目標。“新教育時代”の到来に向けて着々と布石を打つ、松野氏と同社の今後に期待したい。
株式会社マイデスク | |
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代表者:松野 広志 | スタッフ数:3名 |
設立:2010年8月 | URL:http://edulio.com/ |
事業内容: たった5分で自社専用のオンライン教室が開講できる Total Learning Platform「edulio(エデュリオ)」「edulio」の開発・運営。 |
当記事の内容は 2013/3/26 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。