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「高級感」「本物感」に着目した、コンシェルジュ型定期購入サイト。全ユーザーの3割から感謝のメールが届くほどの人気!
展開している事業内容・特徴
今回は、日本全国の“セレクター”と呼ばれる専門家たちが厳選した、“本当にいいもの”だけを届けてくれるコンシェルジュ型定期購入サイト「HATCH(ハッチ)」を紹介しよう。
「HATCH」は、2012年7月にオープン。コーヒー豆、米、九州野菜、インテリア雑貨など、2013年2月現在12種類のカテゴリーが用意されている。欲しい商品、好きなカテゴリーを選び、6カ月間あるいは12カ月間を選択。それぞれカテゴリーのセレクターが厳選した商品が、毎月8日(ハッチ)に届けられるというスタイルだ(お届け期間・頻度はカテゴリー・商品によって異なる)。
費用は月額5250円から。ユーザーは、気に入った商品を購入することができるが、すべて6ヶ月コースなどのコース制にし、決済は一括前払いにしている。これは商品を「モノ」ではなく「ストーリー」で売っているためであり、すべての商品にストーリーをもたせている。現在の最高金額は、スタイリストの武田泰輔氏が提供する「スタイリング」。武田氏がユーザー一人一人に似合う色やサイズを選んでくれるというサービスで、1カ月あたり5万2500円だ。
ターゲットは30代後半のこだわりのある層。「高級感」「本物感」をコンセプトに顧客に訴求している。
月に一度、商品をユーザーに届ける「定期購入サービス』は今までもあったが、例えばお酒など、1つの商品に特化したものだった。一つのカテゴリーに絞らず、さまざまな商品を扱っているモール型の定期購入サイトは「HATCH」が日本初で、現在唯一の存在だ。
ビジネスモデルのユニークさから、さまざまなメディアに取り上げられ、口コミを中心にユーザーを獲得している。
「HATCH」を運営していく上での要となる“セレクター”は、運営会社の株式会社eightの代表取締役社長・三浦有人氏と、取締役副社長・浅倉由香氏の2人で厳選。三浦氏は、ネット・アパレル企業の勤務経験を持ち、浅倉氏はリアル店舗を中心としたアパレルのブランドの立ち上げに携わってきた。この2人の研ぎ澄まされた「感性」で採用を決めている。
今後、著名人も“セレクター”として採用していきたいと考えているが、タレントなど、名前だけで商品が売れるような人はあえて入れない。「あくまで商品が主役であり、その商品が持つ“本質”をいかにサイト1ページに凝縮できるかがユーザー説得への鍵だ」と三浦氏は言う。「高級感」「本物感」で「HATCH」自体のブランディングを強化しながら、差別化を図っているのだ。
売上などの詳細は非公開だそうだが、「全ユーザーの3割から感謝のメールが届く」というほどの人気ぶりだそうで、例えば、洋楽CDをセレクトしてお届けしているお客様からは、「基本洋楽は幅広く聴きますが、最近はなかなかこれだ!って思う音楽に出会えなくてHATCHの商品をかってみました。久しぶり、これはスゲーって思える音楽に出会えました!来月はどんなCDが送られてくるかいまからワクワクです!!」 というような声が届いた。
「当サービスは、リアルでもネットでも従来できなかった、「出会い」をあたえて、本物だけにふれてほしいというコンセプトですが、この声をきくと、そのようなサービス提供ができているのかな、と感じております。」と三浦氏は語ってくれた。
現在、Eコマース企業が抱えている問題を解決したい
ビジネスアイデア発想のきっかけ
実は三浦氏、キャリアのスタートはなんと国税局職員。だが、ユーザーとして実際に利用していた「ZOZOTOWN」に魅力を感じ、運営会社である株式会社スタートトゥデイに転職したというユニークな経歴の持ち主だ。6年の勤務のなかで、経営企画室マネージャーとして、グループ全体の事業戦略および数値計画の企画・立案を担当していた。
三浦氏はスタートトゥデイ勤務時代に、Eコマース企業が抱える課題に気づいた。まずは、カスタマーのリピート率が低いこと。この課題を解決するために、「HATCH」では“定期購入”スタイルを取り入れた。仕組みとしてリピート購入を増やし、エンドユーザーとの良好かつ長期的な関係構築を目指しているわけだ。
もう一つの課題は、商品が本来持っている“価値”で市場が動いていないということ。2011年頃から、Eコマースでは商品が定価で売れにくくなってきている。仮に定価で売れたとしても、ポイントが付いたり送料が無料だったりと、商品の価値ではなく、“オトク感”に釣られて商品が動いているという状態だ。
しかし三浦氏は、「あくまでも商品が持つ付加価値で勝負したい。ポイント制度やディスカウントなどでの一時的な売り上げ増加を狙う計画は一切ない」と言う。では、商品を定価で動かすために、「HATCH」が提供する付加価値とは何だろうか?
三浦氏は、付加価値には2種類あると考えている。それは、「かたちがあるもの」と「かたちがないもの」。
「かたちがあるもの」としての付加価値は、その商品自体をより楽しめるものだ。例えばコーヒー豆の定期購入であれば、そのコーヒーをより美味しく飲めるようなコーヒーグラインダーやマグカップを合わせて送っている。
そして、「かたちがないもの」としての付加価値は、薀蓄的なもの。つまり、商品が持つ“ストーリー性”だ。また、一定期間お届けする事で、「モノ」ではなく「ストーリー」を届けて、ただ単に消費する物を提供するのではなく、商品が持つ本質的な付加価値を最大化しながら、ユーザーに豊かなライフスタイルを提案している。
Made in Japanが“ささる”国に進出ていきたい
将来への展望
三浦氏に今後の目標を伺うと、「日本にはよいものがたくさんある。それを海外の人たちにも届けていきたい」と語ってくれた。事業の拡大にも意欲的だ。今後、資本政策を強化しながら、近い将来の上場も目指している。そのために、現在、「HATCH」自体のブランディングを強化し、ほかの定期購入サイトとの差別化を図っている。
また三浦氏は、これから起業する人へのメッセージを語ってくれた。「起業をして壁にぶつかることもあるが、意外となんとか乗り越えられる。乗り越えられるような人しか実際に起業はしない。サラリーマン時代は自分の部署のことだけやればよかったが、今はすべてを一人でやらなければならない。とても貴重な経験になっている。起業すればきっと、今よりもドラスティックな毎日が送れると思う」
「独立してから仕事が100倍楽しくなった」と笑顔で語る三浦氏。今後の「HATCH」の展開が楽しみだ。
株式会社eight | |
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代表者:三浦 有人 | スタッフ数:2名 |
設立:2012年12月3日 | URL:http://hatch8.jp/ |
当記事の内容は 2013/2/26 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。