1日に600ダウンロードも記録!医学博士が開発した視力回復アプリ「EyeMaster(アイマスター)」

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執筆者: 谷垣 俊介

1日3分のトレーニングで視力が回復!医学博士が開発した大人気アプリ
展開している事業内容・特徴

EyeMaster1
近年、日本人の視力が低下している。ビジネスパーソンにとって欠かせないパソコン、今や小学生の頃から持つのも珍しくなくなっている携帯電話、また、今や子供だけでなく大人もはまっている携帯型ゲーム機…。現代には視力を低下させる原因になるものが多く普及している。

現在の日本の高校生のうち約6割が近視の症状を持っていると言われており、また、30代から目の調節力の低下による近いところが見づらくなる人が現れ、50代~60代になると眼の眼内レンズによる調節が殆ど出来なくなり視力の低下が深刻となる。高齢化社会へと急速に進んでいる現在対応の急がれる重要課題である。

今回は、このような日本の視力の低下を救うサービスを紹介する。医学博士が開発した視力回復アプリ「EyeMaster(アイマスター)」だ(図1)。

「EyeMaster」とは、スマートフォンを使って簡単・手軽に視力回復のトレーニングができるアプリだ。1日1回3分以内のトレーニングだけで、視力が回復する。2012年1月にリリースされ、現在、iPhone、iPod、iPad、Androidにて450円で販売されている。

 

EyeMaster2利用方法は簡単。「EyeMaster」を起動し、視標を映したスマートフォンを眼と同じ高さの位置で持つ。眼前25~60cmの間で最大1m/秒のスピードで前後に移動させる。指標が大きくなる時にスマートフォンを遠ざけ、指標が小さくなる時にスマートフォンを近づけるようにして、目に見える指標の大きさが常に同じになるように動かしていく(図2)。この動作を右眼・左眼の眼前でそれぞれ10往復させ、間に30秒の休憩をはさむ。個人差はあるが、3ヵ月ほどトレーニングを続と成果は現れるという。

YouTubeで操作説明の動画がアップされている。

2012年9月20日のバージョンアップにより、視標として用いる画像が自由に選択できるようになった。例えばインターネットからダウンロードした好きな芸能人の写真を使用することも可能だ。視力回復の効果を得るにはリラックスして視標をじっと見る必要がある。人やペットの顔写真を使い、その目を見ながらトレーニングするとアイコンタクトが生まれ自然に集中できトレーニング中にその効果を実感できるという。

また、視標として利用する画像の遠近や移動スピードを変更する事もできる。視力をチェックする機能やトレーニング実績などの使用履歴を確認できる機能もある。

「EyeMaster」の原理は2004年に、サービスを運営する株式会社テクノマスターが開発した、ピント調節機能に着眼した視力改善装置(特許3766681:堀江秀典)に基づいている。視標が動いても網膜上のイメージサイズと明るさが一定に維持されるような装置を開発(図3)。この視標を高速で前後に移動させて見るトレーニングを反復することで、ピントを調節する毛様体筋、縮瞳などを強化し、視力低下によるイメージのボケを解消して、視機能を向上させることができる。このトレーニングは老眼、近視・遠視の人を主な対象としている。他の視力回復トレーニングアプリとは違い、学術的にしっかりとした基盤のもとに開発しているのだ。

その証拠に、以下のような実験がある。

6~12歳の近視学童を対象に、眼科でアプリと同様のトレーニングを受ける者と受けない者に分かれてもらい、トレーニングを受ける者は週2回のペースで3ヵ月以上アプリと同様の動作をしてもらった。その結果、アプリを使用したグループで、図4Bのように85%以上の学童で視力改善が見られ、0.1視力の学童の50%が0.4以上に回復した。回復した視力は、トレーニングを継続することで維持することができた。一方、トレーニングを行わなかった学童は、半年から一年の経過で視力が全例で有意に低下したという。
EyeMaster3

この結果は、海外の専門誌「Clinical Ophthalmology」に論文として発表されている。また、「EyeMaster」はパソコン業務などによる眼精疲労の疲労回復にも効果があるそうだ。

脳は再生可能。この情報にビジネスチャンスを見出した
ビジネスアイデア発想のきっかけ

EyeMaster41940年頃までは、一度機能が低下してしまった人体の各器官を 再生することは不可能だと言われていた。

同様に、近視や老眼、視力低下への対策は、眼鏡をかけたりコンタクトレンズを装着するというのがほとんどで、“視力を回復させる”というよりも、“今の視力で装置を使って補完する”という発想がほとんどだった。

 しかし近年の脳研究の進歩により、損傷した脳の機能を復活させることができると言われるようになり、脳を再生する治療が現実問題となってきた。

過去に神経の再生について研究していた堀江氏は、脳の一端を担う“視覚”に着目し、人間の持つ眼の能力には潜在的な可能性があるのではないかと考えた。視覚に関連した機能を活性化するトレーニングをすることにより、視力低下に悩む人々の悩みを解決したいと思い、視力回復というテーマで事業を立ち上げた。

まずは近隣の眼科の院内で、高齢者や、近視学童の視力トレーニングをスタートした。トレーニングを普及させていく中で、日本全国に広めたいという思いが芽生え、2012年1月に「EyeMaster」をスマートフォンのアプリとして発表した。

EyeMasterの実用化はスマートフォンの出現により実現できた。画素数の少ないケータイ電話の画面では近接時の小さな画像が不鮮明でトレーニングに使用できなかった。しかし、PC同様の機能を持つスマートフォンは高解像度なので「EyeMaster」の開発が可能になったのだ。

開始当初は思うようにいかず、1日1ダウンロード程度だったという。しかし、新聞などメディアへの露出などで徐々に周知され、2012年9月にバージョンアップをしてから一日に600ダウンロードを記録したこともあるという。現在(2012年10月時点)までに累計2500ダウンロードされている。

オンラインとオフラインの両方で視力回復できる環境を整備していく
将来への展望

バージョンアップをきっかけとして「EyeMaster」が一気に普及した現在、堀江氏は、数多いアプリの中で、“どれだけ多くの人に知ってもらえるか”がカギだということに気付いたという。今後は、アプリの広告宣伝はもちろん、地方自治体や民間企業と提携することによってサービスを広めることに力を注いでいくという。

眼科など医療の場で「EyeMaster」を導入してもらうことも現在検討中だという。

また、ソーシャル機能を付加することにより、ユーザー同士がお互いに視力回復に切磋琢磨できるようなコミュニティを形成できるようにすることも思い描いている。

アプリの機能を充実させたり、民間企業と提携することにより、オンラインとオフラインの両方で効率よく視力回復ができる環境を整備していきたいと語ってくれた。

株式会社テクノマスター
代表者:堀江 秀典 スタッフ数:4名(2012年4月1日現在)
設立:2004年5月 URL:http://technomaster.jp/tech/TOP.html
事業内容:
デジタルマーケティング事業、統合型マーケティング事業、アプリ事業

当記事の内容は 2012/10/16 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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