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自分だけの教材を自らつくる英会話サービスが大人気!
展開している事業内容・特徴
グローバル化が進む今、多くの企業が海外に進出しており、採用試験や昇進の際にTOEICなどの点数が問われるようになってきた。この流れは今後さらに加速するだろう。
そんな状況に伴い、英語を勉強する社会人が増加しているが、忙しい日常のなかで、どうすれば効率的に英語力が身に付くのかわからないという人も多いのではないだろうか。
今回は、英会話学校に通うなど必死で学習しているのに、「英語がなかなかしゃべれない。口から出てこない……」という悩みを抱えている読者のために、オンラインの英語学習サービス「Best Teacher(ベストティーチャー)」 を紹介しよう。
「Best Teacher」のウリは、講師と一緒に自分専用の教材をつくることができるという点。これまでにないオンライン英会話サービスだ。
「自分で教材をつくる?」と思われた方も多いだろう。しかし、あなたがビジネスシーンなどで使う言葉や文章は自分自身が一番よく知っているはず。つまり、自分でよく使う文章や言い回しから覚えていけば、効率的に英語力が向上するというわけだ。
「Best Teacher」では、ユーザー自らがつくった教材を元に、講師と「テキストチャットレッスン」と「ビデオチャットレッスン」を繰り返すことにより、英語の定着を促進させていく。テキストチャットレッスンは24時間いつでもスキマ時間に行うことができ、移動時間などちょっとした合間でも学習が進められる。そうして「PDCA(plan–do–check–act)」を素早く回すことにより、英語がスラスラと喋れるようになるという仕組みだ。
「テキストチャットレッスン」は、最初に与えられた英文に次々と会話をつなげていくかたちで、講師とチャットのやり取りをするレッスンだ。最初から正しい英文を書くことが目的ではないので、受講者はやり取りの中で辞書を引いたり、Webを使ってわからないフレーズを検索してもOK。先生から返信が来ると、画面右上の「notification」にアラートが表示される上にメールが届くようになっている。チャットが5往復終了したら1レッスン終了。受講者が送信したテキストを講師が添削してくれ、結果が音声付きで届く。これにより、耳から英文を確認することができる。また、自分の発音を録音することもでき、先生の音声と比較することも可能だ。
このような添削・音声付のスクリプトをどんどん蓄積することにより、自分だけの英会話教材ができあがるというわけだ。
添削結果を確認した後は、1回10分の「ビデオチャットレッスン」をSkypeで受講することもできる。「テキストチャットレッスン」で先生と作成したスクリプトをベースに英会話を実践する。ビデオチャット終了後は、そのレッスンの成績が先生から届くという仕組みまである。
「Best Teacher」はこのように、“講師と一緒に作成したスクリプトをもとにSkypeで実践する”というメソッドを日本で初めてオンライン英会話の世界に導入したという。
コースは「ビジネス英会話」と「日常英会話」に分かれており、それぞれ初級、中級、上級、特集の4つのレベルで構成されている。レッスンは全部で400シーン(2012年9月26日現在)。利用料金は月額3980円。法人用パッケージも用意されている。
パソコンの前に長時間拘束される従来型の「オンライン英会話」とは違い、「Best Teacher」は生徒も先生もお互いのスキマ時間を活用するため、時間や場所の制約はほとんどない。
40カ国以上の講師が在籍しており、世界中に英語の先生を設置することで、時差を利用して24時間365日いつでもレッスンができる体制を整えている。
受講生の大半は社会人で、主婦層も比較的多いという。先生はUS英語のネイティブや、現役英会話スクール講師などを採用しているので、ビジネスパーソンのニーズも満たすことができる。急な海外赴任の場合など、海外在住者で英語力を早急に上げたいという人にとって最適のサービスだろう。
2012年5月に招待制でリリースをし、サービス開始2カ月半でユーザー数1000人を突破。これはオンライン英会話のサービスでは非常に早いペースだ。5ヶ月目に入った現在も順調にユーザー数は伸びているという。
英会話上達法を突き詰めたサービスで起業。発想が次から次へ出てきて止まらなかった
ビジネスアイデア発想のきっかけ
株式会社ベストティーチャー代表の宮地俊充氏は、大学卒業後、大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパースに就職。その後、M&Aコンサルティング会社、ベンチャー企業の役員を経て、29才で起業した。
宮地氏がこのビジネスを始めようと考えたのは、自分自身が社会人になってから英語教材を買ったりオンライン英会話を試したものの思うように上達しなかったという実体験からだ。
“英語が話せるようになるためには、英語を話すしかない”とよく言われるが、多くの人はそもそもいいたいことが英語で出てこないから困っていると考えた。そこで、英会話上達のためには何が必要かと突き詰めていった結果、普段から自分が使う英語のフレーズをストックしておき、日常の中で自然と英語のフレーズが出るようになれば上達するのではないか……と思い至った。
しかし、日常会話を正しい英語に翻訳する作業を自分でやろうとすると、毎回のようにGoogle翻訳や辞書などで類文を見つけなければならず、手間もかかって面倒で、なかなか続けられない。そこで、その手間を省くことができるようなサービスができないかと考えていった結果、なんとなくいいたい英語を書けばネイティブの講師が添削してくれてそれがそのまま教材になるという、現在の「Best Teacher」のコンセプトに行き着いた。
思い立ったアイデアを事業計画書というかたちにまとめ始めたが、新しい発想が次から次へと出てきて止まらなかったという。自分で事業計画書を書いていくなかで、このようなサービスがあるなら早く自分も利用したいと思い、それならば一刻も早くつくるしかないと起業を決意した。
しかし、宮地氏にとって起業は初めての経験。最初は右も左も分からず手探り状態だった。当初は、講師集めに苦労すると思っていたそうだが、講師に関しては意外と多くの応募が寄せられた。また、「Best Teacher」の活動に賛同してくれた人から、「メディアで紹介したい」「何か一緒に企画したい」という話を持ちかけられることもあり、こうした幸運が続いたことも、認知と利用者拡大のスピードを早めてくれた。
2011年11月に起業。2012年1月から本格的に開発がスタートして、開発期間約4カ月強を経て、2012年5月にサービスをリリースした。
英会話ができる人を増やし、国力を上げ、日本の発展に寄与していきたい!
将来への展望
宮地氏に今後の展望をたずねると、まずは年内にユーザー数1万人越えを目指しているという。まだまだ始まったばかりのサービスだが、 「Best Teacherのコンセプトに惹かれた」「友人に紹介したい」という内容のメールやSNSでの投稿が増えてきた。今、宮地氏は、「Best Teacherは間違いなくニーズをとらえているサービスである」という手ごたえを感じている。
今後も英会話上達のニーズは非常に高くなるだろう。しかし、顧客のニーズにしっかり応えるようなサービスはまだ少ない。これを1年やったから独学で英語が話せるようになりました、という声をあまり聞いたことがないことからも分かるように、英会話の習得はいばらの道だ。ちなみに、日本人の98%は英語が話せないといわれている。そんな現状も踏まえ宮地氏は、「Best Teacher」を進化させながら、しっかりと顧客ニーズに寄り添っていきたいと考えている。また、日本人の語学力を上げることで日本の国力も上げたい。さらには日本の発展に寄与していきたいという大きな展望も語ってくれた。
現在はベンチャーキャピタルからの引き合いも多く、次のステップに進むための増資を計画中で、5年後のIPOを目指している。長らくイーラーニング市場の将来性は語られてきたが、「Best Teacher」がその本命となる事業になるかもしれない。日本人の英語学習のキラーサービスとなるか。今後の活躍に期待したい。
株式会社ベストティーチャー | |
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代表者:宮地俊充 | スタッフ数:15名(アルバイト含む) |
設立:2011年11月 | URL:http://www.best-teacher-inc.com/ |
事業内容: 英会話レッスンサービス「Best Teacher」の企画・設計・開発・運営など |
当記事の内容は 2012/10/2 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。