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高価なレジが要らなくなる? 格安でPOSシステムが利用できるアプリ
展開している事業内容・特徴
店舗ビジネスにとって、在庫管理やマーケティングツールとして欠かせないPOSシステム。コンビニをはじめ、飲食店や小売店でも見かけることが多いだろう。
しかし、POSシステムを導入するには、数百万円ものコストがかかるという。その高額さから、個人経営の店舗では導入しづらかったPOSシステムだが、なんと無料で導入できるサービスが登場した(毎月の使用に関しては有料)。それが今回紹介する「ユビレジ」だ。
従来のPOSシステムは、専用の機械が必要で、そのうえ機能が複雑で上手く使いこなせないユーザーが多かった。しかし、「ユビレジ」はiPadを端末することで、専用端末導入することなく、簡単操作を実現した。また、iPadアプリは簡単に更新できるため、ユーザーからの声をすぐに反映、ソフトとしての使い勝手をスピーディに向上。さらに、POSレジ機能だけに限らず、顧客管理機能なども搭載し、より高度な業務システムとして進化させている。
3G回線、またはWi-Fiがつながる場所であれば、どこでも導入できる。iPadなので持ち運びも自由。スタッフiPadさえあれば、いつでも売上情報や顧客情報を閲覧することができる。
さらに、オプションの「ユビレジエクステンション」を利用することで、市販のレシートプリンタ、キャッシュドロアー(現金を出し入れする箱)、バーコードリーダーをつなげて使うこともでき、本格的なPOSレジシステムを構築することが可能。
“店員も楽しく使うことができる”ということもコンセプトの一つである。
こうした仕組みで、従来のPOSにあった不満を一気に解消した革新的な製品として、2010年8月にリリース。導入先は飲食店や整体店、各種小売店、美容室など多岐にわたる。プレミアムプランでも月5000円という低価格ながら、ユーザーからは「従来のPOSレジよりも使いやすい」と評判のようだ。決して安かろう悪かろうではない。
ユーザー自身がツイッターなどで宣伝したり、店舗で「ユビレジ」を見たお客さんが珍しがってツイートしてくれることも多い。口コミだけで認知度が徐々に上がっているのだ。
さらに、2012年7月17日には、セールスフォース・ドットコムと資本および業務提携。これにより、ユビレジのAPIを通じてセールスフォースの顧客管理システムと連動させることが可能となり、より高度な業務システムへの組み込みが可能になった。今後、こうした大手サービスとの連携を積極的に進めて行く予定だという。
アルバイトで毎日書く日報の負担をなくしたかった。このニーズが思いのほか大きかった
ビジネスアイデア発想のきっかけ
「ユビレジ」を開発・運営する株式会社ユビレジの共同創業者の一人である木戸啓太氏が、同サービスの構想を思いついたきっかけは、学生時代のアルバイト経験にある。
当時アルバイトしていた飲食店にはPOSシステムが導入されておらず、毎日閉店後に売り上げをまとめるための日報を書かなければならなかった。それがとにかく面倒だったそうだ。この作業を面倒だと思っている人はたくさんいるはず……。常に、この苦労を軽減させるサービスはニーズないかと考えていた頃に、iPadが登場。「この端末は、POSレジとして使えそうだ」と思いついた。
株式会社ユビレジは、2009年9月の設立で、もともとは「ホームサーチ」という会社名で、不動産系のWebサイトを運営していた。なので、事業としての「ユビレジ」は本業でなかった。しかし2010年8月、「ユビレジ」のファースト・バジーョンをリリースしたところ、思いのほかユーザーからの反応がよく、「ユビレジ」がメインの事業になると直感。こちらをメイン事業にシフトしたという。
2010年8月当時、iPadをレジとして使うアプリ開発は世界初の取り組みだった。そのため、開発にとにかく苦労したという。しかし、その甲斐もあり、「ユビレジ」は登場してすぐに大手マスコミやメディアに取り上げられ、すぐ有名なアプリとなった。リリース後、1カ月に一度というハイペースでバージョンアップし、試行錯誤を重ねながら進化してきた。このスピード感も、AppStore経由で簡単にアップデートできるというインフラがあったおかげだろう。
また、最初から有料版としてリリースしたことも大きかった。無料のサービスだとユーザーは「無料だからこんな程度かな」と思ってしまい、真剣な反応が届かない可能性が高い。
しかし、最初から有料版を提供することで、真剣に使用してくれるユーザーからのフィードバックを受け、その意見を製品改良に生かしながら、ハイペースで製品のブラッシュアップを繰り返してきた。
一番のターニングポイントは、大幅な機能拡張を実行した2011年9月の「ユビレジ2」のリリースだ。iPadユーザーの急拡大も「ユビレジ」の認知度アップを後押ししているが、この時にいっきににダウンロード数が伸びた。その後、事業の成長もスピードアップした。
目指すは「誰でもレジ」。世界中の人に使用してほしい
将来への展望
最近では「NEC」や「NCR」といった大手メーカーも「iPadレジ」に参入してきており、それら大手企業が出してきた価格も「ユビレジ」を意識しているもののようだ。
巨大企業が競合として参入してきたということが、逆にこのビジネスの将来性を確実にしたといえるが、さまざまな競合が参入してくることはむしろ大歓迎だそうだ。現在は、iPadやタブレット端末を業務に使用するということが、まだまだ浸透しているとはいえない状況である。ユビレジ社としては、まずマーケット自体を広げていきたいと考えている。
ちなみに、レジを使って仕事をする人は、世界中に約6億人もいるという。そんな巨大マーケットに対して、ユビレジ社は、“世界中で一番使いやすいレジ”を提供していくことを使命としている。
同社は、アイデア一つで革新的なサービスを生み出し、世界を視野に入れて急成長している。まさにベンチャーらしいベンチャー。これからの展開が、実に楽しみだ。
株式会社ユビレジ | |
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代表者:木戸 啓太 | スタッフ数:30名 |
設立:2009年9月 | URL:https://ubiregi.com/ja |
事業内容: 「ユビレジ」の開発・運営。 |
当記事の内容は 2012/8/23 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。