70カ国の人と繋がって小遣い稼ぎもできる。新しい代行サービス「j-Grab(ジェイグラブ)」が世界で人気

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執筆者: 谷垣 俊介

海外の人とつながって、お小遣いも稼げる!70カ国に広がる代行サービスとは?
展開している事業内容・特徴

j-grab1ヤフージャパンや楽天が提供している、国内のオークションサイトで出品されている商品を、海外の居住者に代わって購買代行をすることで、お小遣い稼ぎができるサービスがあることをご存じだろうか。

「わざわざ物価が高い日本の、それもオークションサイトの商品を海外の人がほしがる?」と疑問に思う人が多いかもしれない。しかし、実は日本国内で売られている商品は、意外に需要があるのだ。例えば、海外では日本製の下敷きが1000円で売られていたり、「ツバキ」というシャンプーがロシアでは3000円という高値で売られている。

この内外価格差に目をつけたのが、今回ご紹介するサービス「j-Grab(ジェイグラブ)」だ。海外から日本のオークションサイトに出品されている商品を、同サービスを通じて外国人が購入するわけだが、その際に発生する手数料や送料を加えても、自国で買うよりは安くつくという仕組みだ。

「j-Grab」のユーザーには、海外から購買代行を依頼するバイヤーと、国内で購買代行を行うシッパーの二種類が存在する。バイヤーは通常のオークションサイトでの購入手順とほぼ同じ操作で、シッパーに対して購買代行を依頼する。通常のやり取りと一つ異なるところは、シッパーの評価数やプロフィールを見て、誰に依頼するか選択できるということだ。ユーザーインターフェースがとても見やすいデザインで、快適に商品を探したり、閲覧することができる。

海外とのやり取りのため、翻訳機能も充実している。グーグルのシステムをベースとし、辞書登録、文字化け対応など、独自に機能を強化させて精度を高めているため、異なる言語圏に購買代行を依頼する場合でも簡単操作で翻訳が可能。また、為替情報も画面表示されるため、決済も問題ない。

このサービス上でのやり取りは、まず、バイヤーがほしい商品を見つけて、シッパーに購買代行を依頼する。次に二者間で送料についてのやり取りをする。その後、シッパーは代理入札、代理購買、さらに商品の発送を行い、バイヤーから手数料を受け取る。バイヤーもシッパーも取引全般の処理はすべて「j-Grab」のサイト内で完結させることができる。ちなみにシッパーの利用は無料だ。

購買代行手数料はシッパーに決定権があり、多くが商品価格の7~8%程度。利益は多い人で月7、8万円程度。当然だが商品の価格が高ければ高いほど、手数料は大きくなる。商品情報はヤフーや楽天のAPIをとおして取得しており、決済はペイパルと連携している。ヤフーオークションのエンジン開発者が携わっているので、サイトの安定性・安全性は高い。2012年7月現在で、バイヤーの登録者が約1600人。シッパーの登録者は約160人で、そのうち約130人がアクティブユーザーだ。シッパーのアクティブ率は非常に高い。

シッパーの内訳は男女比が半々で、年齢は22歳から60歳と幅広い属性・年齢層が登録している。また、これまでに70カ国で利用された実績があり、特にアメリカ、カナダ、ヨーロッパの利用が多く、今までの取引数は延べ3000件に上るという。ちなみに、バイヤーは日本好きの外国人がほとんどだという。特に、リラックマやハローキティなどのキャラクターもの、またはプリキュアのお弁当箱、下敷き、カード、東京の文化を象徴するようなサブカルチャー商品の人気が高い。母親が、娘のために買っているケースも多いようだ。

また、海外で日本車の旧車を長年愛用しているユーザーも。そうしたユーザー向けに多様なアクセサリーパーツを買い求める人もいる。車・オートバイのパーツ、カー用品(カップホルダーなどのアクセサリー系)などがよく売れているという。

シッパー登録者には海外に興味がある人、外国人と友達になりたい人、英語を学びたい人が多い。単にお小遣い稼ぎだけが目的ではなく、「j-Grab」の中で翻訳機能を使いながら、取引の中で英語力を高めることができるというところにも注目されている。

バイヤーと交わす会話は、「これがほしい」「いくらなのか?」「ほかのサイズ・カラーは?」への回答が中心だ。そのため、シンプルな英語でコミュニケーション可能。楽しみながら取引をし、ひとつの取引が上手くいったら、その成功に喜びを感じられる。そんなグローバルな世界を体験できるところが、ただのオークションサイトとは違うところだ。

なかには、ラフォーレや東急ハンズで売っている新品を買って送ってほしいというリクエストもある。それに応えるかどうかはシッパーしだいだが、このような個別対応によって、EC取引を超えた友だち付き合いに発展することも楽しみの一つである。

海外進出したいという要望を実現。あるセミナーで紹介されてユーザーが急増。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

j-grab2「j-Grab」は、ヤフーとイーベイの元社員によって開発された。同サービスを運営するジェイグラブ株式会社代表で共同創業者の一人である山田彰彦氏はヤフーの元社員だ。

「j-Grab」の創業のきっかけは、山田氏がヤフーに勤めていた頃のある経験にさかのぼる。 当時、ヤフーに出店しているストアからは、「国内市場だけでは立ち行かない。海外進出し たい」という要望が数多く寄せられていた。しかし、ヤフーには「世界に出て行けない」 独自の規定があったようで、その要望には応えられなかった。

しかし、山田氏は、何とかそんな期待に応えられないかと考えていた。そこで、オークションサービスの国際化を目的として、山田氏を含む元ヤフーの社員3人とイーベイの社員1名の計4人が独立。ヤフーオークションに出店しているストアであれば、これまでのやり方を変えることなく、海外に商品を販売できる決済機能や翻訳機能をつけた「j-Grab」をリリースしたというわけだ。

先述のとおり、創業メンバーはわずか4人。サービスプラットフォームのベータ版を完成させるまでに1年かかった。山田氏によれば、今でも当初想定していたすべての機能ができ上がっておらず、まだフェーズ1、開発途中段階という感覚だという。

また、サービス開始時は資金も潤沢でなかったため、マーケティングにもお金を掛けられなかった。そんななか、とあるビジネスセミナーで「j-Grab」が紹介された。そのセミナーが終了後、突然、サポートへの質問メールが多数寄せられて驚いたという。後々聞いた話では、ビジネスセミナーの主催者は偶然にもヤフーの社員だったそうだ。思いがけないラッキーな出来事だったそうだが、現在でもサイドビジネスのセミナーで「j-Grab」が取り上げられることが多くあり、セミナー受講者が会員になるケースが多い。これまでのシッパー登録者の約半分が、そうしたセミナーからの流入だという。

信用力を高めて、世界中の人がつながれるサイトに
将来への展望

山田氏に今後の展望を聞いたところ、当面の目標はユーザー数を1万人にすることだそうだ。

ジェイグラブ社の強みは、サービス開発のバックエンド部分の技術力。フロンドエンドの部分やコンテンツ制作については、それらが得意なパートナー企業と協業している。今後は、ユーザーが使うフロンドエンド部分をより強化していくのと同時に、日本の文化、ファッションなどのトレンドを面白いかたちで海外へ発信していくために、発信力のあるパートナーとの協業体制を強化していく方針だという。

また、今は日本の商品を海外へ送り出すというかたちをとっているが、今後は海外商品が日本に流れるような仕組みも構築する計画だ。

実はシステム的にはもう完成しているそうだが、大きな問題が残っている。それは、「信用力」。インターネットオークションの取引は、「商品が確実に届く保証があるのか?」、というリスクがつきまとう。「j-Grab」が成り立っているのは、日本人に対する海外の「信用力」が非常に高いことに起因している。そのため、日本人であれば、取引実績がゼロでも次々と注文されやすい。しかし、その逆はどうだろうか。そこに大きな課題があると山田氏は考えている。

海外展開にあたっては、facebookで相手の素性がわかる仕組みを取り入れるなど、いかに「信用力」を高める仕組みがつくれるか――今もって模索中のようだ。

また、将来的には、EC取引だけではなく、昔でいうペンパルのコミュニティを形成したいそうだ。実際、既存ユーザーからも会話が活発になるような仕組みがほしいとの声が多数挙がってきており、そうした要望に応えるべく、海外の人と日本人とがつながれる仕組みを検討している。

オークションサイトの商品購入代行サービスからスタートして、ゆくゆくは国際的なソーシャルサービスへの発展まで視野に入れているジェイグラブ社。同社の今後の展開がとても楽しみである。

ジェイグラブ株式会社
代表者:山田 彰彦 スタッフ数:12名
設立:2010年2月 URL:http://www.j-grab.co.jp
事業内容:
オークションサイトの商品購入代行サービス「j-Grab」の開発・運営。

当記事の内容は 2012/8/9 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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