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500円で自分のスキルを役立てられる!オープン1週間で約3000人が登録した『ココナラ』
展開している事業内容・特徴
自分が持つちょっとしたスキルを活かすことで、人の役に立つことができるマッチングサイトが人気を集めている。「ココナラ」だ。
「ココナラ」は、すべて500円で、自己実現の場を提供したり、質問に回答することができるサービスである。出品者は、自分が提供できる商品やサービスを出品し、一方購入者は、出品内容から自分が欲しい商品やサービスに申し込む。価格を500円に統一することで、売り買いのしやすさを実現している。
ココナラの出品者は、「誰かの役に立ちたい」、「好きなことを仕事にしたい」、「自分の力を試したい」といった想いを持つ人たち。彼らの経験・知識・スキルを活かす場を提供している。
出品されているサービスの例として、ライフキャリアアドバイザーがデスク周りの片付けのコツを提供するもの、エステサロン開業準備中の主婦が個別のスキンケアレシピを提供するもの、年間500冊の読書量を活かして本の紹介をするといった内容のものがある。
購入者側には、「自分に合った答えが欲しい」「詳しい人に聞きたい」「匿名で相談したい」という潜在的なニーズはある。しかし一方で、「相手とのやり取りを公表されたくない」「無料でいい加減な回答はして欲しくない」という声がある。この声を参考に、出品者と購入者のやり取りはすべて1対1となっている。
やり取りはサイト内に限定し、非公開。検索では手に入らない情報や、友達には聞けない相談も解決できる場を提供している。リアルで会わないからこそできるコミュニケーションの場をネットで提供した。これは、マッチング率の上昇にも影響している。
「ココナラ」の収益源は、購入者が出品者に支払う500円のうち30%の手数料。つまり、取引成立1件あたり、150円の収入だ。決済はクレジットカードのみにすることで、コストを極力抑えた。
従来のサービスでは、出品者とユーザーの双方にコストが発生し、かつ時間と距離の制約があった。またリアルで人と会う抵抗感への配慮から、完全オンラインで完結するのが「ココナラ」の特徴である。また、他サービスと比較して、サイトの雰囲気、出品者を大事にしている点に大きな相違がある。
こうした使い勝手の良さから、2012年7月2日のサイトオープン以来 、約3週間で2万5000人以上が訪問し、4000人の登録ユーザー数、出品サービス数は650件、そのうち、750件の取引があったという。
仕事場以外でスキルを活かすことにビジネスチャンスを感じた
ビジネスアイデア発想のきっかけ
同サービスを運営する株式会社ウェルセルフ代表の南氏は、「ココナラ」を立ち上げる前はヘルスケアの会社を事業化する予定だったという。
この時、管理栄養士の話を聞く機会があり、「管理栄養士は病院で栄養指導だけをしていて、自分の知識を使う場が限られている。ダイエットや家庭の献立のアドバイスなどもっといろんな軸で相談にのることができるが、そのような場がない」 という声を耳にした。
南氏は、このようなニーズの受け皿がないということに疑問を持った。そして、無ければ自分で構築すれば良いと思い、「ココナラ」を立ち上げた。
非公開のやり取りの場と小額決済の仕組を構築し、集客代行をすることで世の中の人に役立てるようにとの思いで作ったという。ただし、多様なニーズの受け皿を分野で細分化するとビジネスが成り立たたない。このため、さまざまな分野で誰でも出品できる仕組を作ることを意識したそうだ。
サイトを立ち上げるまでは、どのようなものを構築すれば良いのか分からず、検証の日々。アンケートやインタビューを繰り返し行い、必要な機能・ニーズを洗い出していった。当初、南氏らには消費者向けWebサイトの構築経験がなかったが、必死に考えて構築していき、ついに2012年7月「ココナラ」のサイトオープンに至った。
あらかじめオープン前にコンバージョン率やPV数などを、類似サイトや海外サイトを見て比較・予想していたが、この予測と実績が驚くほど一致した。購入件数も予想と実績は同一だったという。
南氏によると、成功の要因はストーリーとしてサイトを立ち上げたことだという。ストーリーを構築する際にはネット生保を参考にし、例えば、名刺を配るのにも大きめのサイズを作って配ったりした。
また、出品者をビジネスパートナーと考えて大切にしていることも大きい。ツイッターやフェイスブックの他、リアルでの口コミでの拡大を意識した。さらに、「ココナラ」を紹介するブログを書いた人のおかげで、ブログからのアクセス数がかなり増えたことはありがたかったという。
500円で人生は変わる。そのプラットフォーム作りをしていく
将来への展望
2012年7月現在のユーザー構成は、男性:女性=7:3でWeb関連の業種の利用が多い。南氏は、将来的には比較的時間にある主婦・OLをターゲットにしたいという。それは、女性は男性と比較して、悩みごとなどを共感する相手を求める傾向が強いからだそうだ。
さらに、プレミアムサービスの提供も検討中。サイトのアクセス者に対して、サイトの閲覧履歴からトップページをカスタマイズ表示していく方針あるようだ。例えば占いなら、男性はあまり興味がない傾向にあるため、ページ下部に小さく表示するだけでよい。女性なら逆に上位に表示させるような仕組みだ。
南氏は、ユーザーに喜んで「ココナラ」を利用してもらっている現状に満足しているという。一人ひとりが自分のストーリーを生きていく世の中を作っていきたいというビジョンを大切にし、そのために目の前のことに精を出している。
10年後どうなるかということは、誰も予想できないし、予想しても当たらないだろう。「ココナラ」を使うことで、自分に何ができるかを棚卸しするのもひとつの利用法だと考えているという。
南氏は、「自分が役に立たないと思っていた知識や経験がお金になる喜びを知ってほしい。500円で人生は変えれると思っているし、変えて欲しいと願っている」と熱く語ってくれた。
株式会社 ウェルセルフ | |
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代表者:南 章行 | スタッフ数:3名 |
設立:2012年1月 | URL:http://coconala.com/home |
事業内容: Webサービスの開発・運営 |
当記事の内容は 2012/8/2 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。