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開始3カ月で、登録エンジニア、クリエイター数2000名超、登録企業数1000社超!
展開している事業内容・特徴
「アウトソーシング」ならぬ「クラウドソーシング」が、現在注目を集めている。アウトソーシングは、企業などが外部の企業等に業務を委託するサービスだが、クラウドソーシングは、インターネットを活用して不特定多数の外部の人材に業務を委託するサービスである。群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語で、米国で急成長中のビジネスなのだ。
今回ご紹介する「クラウドワークス」は、クラウドソーシングを活性化させたサービスの一つ。わかりやすく説明すると、アプリやWebサイトの更新など、短期作業を求める企業や個人と、全国のエンジニア、クリエイターをマッチングさせるプラットフォームである。
「オンラインで、仕事のマッチング・業務遂行・報酬支払いまでを完結」という点がウリで、企業や個人は、1時間単位で日本中のエンジニアやクリエイターに仕事を発注することが可能。そのため、いつでもどこでも気軽に仕事を頼める、自分だけのWeb制作チームを確保することができる。
実際のマッチング事例を聞くと、例えばWebサイトの改修を考えていた依頼主が、システム開発会社に見積もりをとったところ、作業期間が2カ月で20万円だった。しかし、「クラウドワークス」を利用した結果、2週間で4万円程度の費用で引き受けてくれるエンジニアとめぐり会えたという。従来では考えられなかった格安・短納期で仕事をしてくれるプロと出会えるのが、同サービスのすごさだ。
「クラウドワークス」 は、2012年3月にβ版のサービスを開始したばかりだが、すでに登録しているエンジニア、クリエイターは2000名以上、登録企業は1000社を超えている。
現在、FacebookなどのSNS、スマートフォンアプリなど、メディアコンテンツの進化は加速し続けている。その一方で、企業にとって、これらを請け負うエンジニア、クリエイターの獲得がどんどん困難になっているのが現状だ。だが、「クラウドワークス」を使えば、企業は必要な人材を経済的に獲得することができるわけだ。
登録メンバーは、自分の過去の実績や経歴、スキルなどを詳細に登録することができ、クライアントに対して効果的にアピールしている。クライアントは登録者がどういったスキルを持っているか、どのような実績があるのかを一目で確認できる。だから、クライアントは安心して仕事を発注することができ、双方のミスマッチも回避されやすくなっている。
「クラウドワークス」に登録して仕事を引き受ける側の仕組みもユニークだ。給与換算は「時給制」と「固定報酬制」の2種類がある。「時給制」は、週ごとに数時間からの仕事が可能なため、クライアントは細かいタスクの発注や定期的な更新、メンテナンスの依頼が気軽にできる。秘密は独自開発のタイムカードシステム導入にある。このシステムを通じて、メンバーは実際に仕事をした時間に応じた報酬を受け取るという仕組みだ。一方「固定報酬制」は、あらかじめタスクに値段が定められており、そのタスクが終わりしだい、指定されていた金額を受け取ることができるというもの。
クラウドソーシングは、エンジニア、クリエイターの空時間を活用することができ、また、地方在住のエンジニア、クリエイターが東京の仕事を請け負うことも可能。雇用環境に良質な変化をもたらすことが期待されている。
エンジニアの潜在能力を最大限に発揮できる仕組みをつくりたかった
ビジネスアイデア発想のきっかけ
「クラウドワークス」を運営する株式会社クラウドワークス代表の吉田浩一郎氏は、起業前に、長らくインターネット上のシステム開発の仕事にかかわってきた。しかし、既存の会社組織や人事制度の枠組みの中で、エンジニアは強いストレスを感じており、不満が多いことに気付いた。そして、エンジニアが自らの技術を最大限に発揮し、最良の報酬を得る仕組みはないものかと考えていた。
そんな折、米国でクラウドソーシングが普及していることを知った吉田氏は、この仕組みこそが自分の求めているものだと直感。すぐに「クラウドワークス」の開発を決断したそうだ。
クラウドソーシングは、一般的に、「ITを活用して発注価格をコストダウンする仕組み」というイメージが強い。しかし「クラウドワークス」は、コストダウンを目的としたサービスではなく、世界中のスキルの「見える化」を目的としている。登録しているエンジニアやクリエイターのスキルを「見える化」することで、その技術を適正なコストで流通させることが可能になる。結果として仕事の大小にかかわらず、発注者側・受注者側の双方にとって有益なサービスに育てることを目指している。
「クラウドワークス」の運営で一番重視しているのは「コミュニケーションづくり」だという。クラウドソーシングは、ヴァーチャルのWeb空間を活用した、無機質な場のように見られがちである。しかし吉田氏は、「ロールプレイングゲーム上の酒場のように、同志が集まる場を提供したい」と語ってくれた。当然だが、エンジニア、クリエイターは、一人ひとり、技術力も性格も異なる。だからこそ吉田氏は、「クラウドワークス」を、個々の特技を持ったメンバーたちのスキルを透明化した“集会場”にしていきたいと考えているのだ。
21世紀の新しいワークスタイルを提供して、社会の発展と個人の幸せに貢献したい
将来への展望
吉田氏は、「クラウドワークス」を通じて新しいかたちのワークスタイルを提供していきたいと考えている。20世紀は「お金が中心の時代」だったが、現在の日本の社会環境を考えると、これからの時代は「人が中心の時代」になるはずだ。
終身雇用が崩壊しつつある中、「会社に一生を捧げる」というワークスタイルよりも、「会社よりも自分流」のワークスタイルを支持する人が増えており、多様なワークライフバランスを追求する時代になってきている。
事実、「クラウドワークス」に登録しているエンジニアやクリエイターの中には、生活の拠点を都会から地方に移した人も出てきており、自分流の生活を志向する人々にとっての集会場になりつつあるそうだ。そんな人材の流動が、日本の地域経済への貢献につながる可能性もある。
今後は、国内だけでなく、シリコンバレーなど、海外からの仕事の要請を受けたり、アジア圏の技術者にも仕事情報を提供していく計画だという。「クラウドワークス」を活用することで、田舎に暮らしながら数カ国とのクライアントを相手に仕事をする――。そんな日がくるのも、近いかもしれない。
株式会社Crowdworks | |
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代表者:吉田 浩一郎 | スタッフ数:7名 |
設立:2011年11月 | URL:http://crowdworks.jp/ |
事業内容: エンジニア・クリエイターのクラウドソーシングサービス「Crowdworks」の開発・運営。 |
当記事の内容は 2012/7/5 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。