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運命の1本に出合える、日本最大級のメガネ通販サイト
展開している事業内容・特徴
メガネを通販で購入? 一見、通販として成立し難い製品に思えるが、そこにビジネスチャンスを見いだしたのが、今回紹介する株式会社ミスタータディの運営する「Oh My Glasses(オーマイグラスィズ)」というサービスだ。
メガネ通販サイト「Oh My Glasses」では、気になったメガネを最大5本までお試し用として選ぶことができ、送られてきたメガネを自宅で実際にかけた感じや素材の質感も確認したうえで、購入可能。そんな画期的なサービスによって、インターネットだけでは売りづらいと思われていたメガネの通販をビジネスとして成立させた。
扱うメガネのラインナップは、福井県鯖江市のMade in Japanを中心とし、ほか海外有名ブランドまでと幅広い。またそのサイトでしか買えない遊び心にあふれたカラフルでユニークなメガネフレームのファンも多い。ちなみに、鯖江市は世界的にも有名なメガネ生産の町で、フレームの国内シェアは95%、世界シェアでも約20%を占める、メガネの聖地である。
また、購入時と購入後のサポートシステムも充実している。購入時には、専属のコンシェルジュチームに直接メールで相談することもでき、購入への不安を解消してくれる。また購入後のフィッティング、修理、クリーニング、視力測定等の各種サービスは、提携先となっている丸井(直営20店舗)でできるので安心だ。
自宅で家族や友たちの感想を聞きながらメガネフレームを選べるというのは、「運命の1本」と出会う楽しみを提供してくれている。
同社のビジネスモデルのポイントである「送料無料」、「返品無料」、「気に入るまで何度も交換可能」を聞いて思い浮かぶのは、靴の通販サイトで有名なアメリカのザッポス社のサービスだが、それをメガネ販売に適用して急成長したケースといえる。同社は2011年7月に創業、翌年1月からサイトをオープンした。フレームのみで約2, 3万円という比較的高級な商品を中心としているが、オープンわずか3カ月で約400本を販売。これはメガネの通販サイトとして日本最大級の規模。同社代表の清川忠康氏によれば、12年中に販売本数5000本、売り上げ約1億円を目指すという。
日本のメガネ業界を再生させたい!
ビジネスアイデア発想のきっかけ
清川氏は、米国スタンフォード大学大学院在学中に、Google会長エリック・シュミット氏の講義を聴いた際に、現在の「Oh My Glasses」のビジネスモデルの原型を思いついた。
留学前に、日本で数多くの企業の事業再生を手がけたという清川氏。もともと「日本の競争力の源泉である製造業を活性化させたい」という思いが強く、自分がなんとかしなければいけないという使命感に駆られて起業への道に進んだという。
起業にあたって清川氏は、製造業の中でも近年、韓国産や中国産に押され気味なメガネ事業に目をつけた。Made in Japanのメガネの95%は鯖江市でつくられている。しかしながら、OEMで生産を請け負っていたために、各社が工場を海外に移し、国内での製造は縮小傾向にある。だがコストに勝る、鯖江市のメガネづくりのクオリティの高さに可能性を感じていた。
そして、実際に起業へと行動に移すきっかけとなったのは、東日本大震災だった。大震災により被災した日本各地の痛ましい姿を見て、「今だからこそ、事業再生が必要だ」という一念で帰国。「Oh My Glasses」を立ち上げた。
では、なぜメガネの販売チャネルとしてネットでの通販を選んだのであろうか? それは主に2つの理由があるという。1つは日本のイーコマース市場の成長性、そしてもう1つは全国展開としての可能性だ。
国内のメガネ産業全体が縮小傾向にあるなか、特に地方はメガネの小売店が減少傾向にある。Made in Japanのメガネのかっこよさを日本全国の人に幅広く知ってもらうには、ネットが有効だ。実際、同サイトの顧客の5割は地方が占めており、今後も地方のユーザー成長の見込みが高い。
職人気質の高いメーカーから反対の声もあった。初めは会ってもくれない企業も多かったという。しかしながら、清川社長のメガネ業界再生への熱意が業界内での人脈を徐々に増やしていった。またベンチャー企業としての信頼性も、丸井との取引を広げることなどによって勝ち取ってゆき、積極的ではなかった企業も徐々に取引先となっていった。現在は「Oh My Glasses」でしか買えない商品、ブランドが生まれるまでに至っている。
Made in Japanはかっこいい!
将来への展望
最後に、清川氏に将来への展望を伺ったところ、「鯖江のメガネはこんなにかっこいい!ということを若い人たちに伝えたい」という返事が返ってきた。今後の事業計画としては、「Oh My Glasses」独自のブランドを一から立ち上げる動きもあるというが、しかしながら、清川氏には「メガネ事業の再生」というビジネスを越えたビジョンがある。
「メガネをネットで買う文化として根付かせたい」と語ってくれた。今後のMade in Japanのメガネの進化が楽しみだ。
これから起業をされる方へ清川社長からのメッセージ
やらなかった後悔は一生悪い気分が残るけど、何かに挑戦して失敗した時の後悔は時間と共になくなる。なので、ぜひともチャレンジしてほしい!
株式会社ミスタータディ | |
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代表者:清川 忠康 | スタッフ数:15名 (2012年6月現在) |
設立:2011年7月 | URL:http://www.ohmyglasses.jp/ |
当記事の内容は 2012/6/26 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。