1日で地球4周分もの記録が集まる、ランナーのためのSNS「JogNote(ジョグノート)」

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執筆者: ドリームゲート事務局

1日で地球4周分もの記録が集まる、ランナーのためのSNS「ジョグノート」

展開している事業内容・特徴

wingstyle1昨今、健康のため、気軽に運動を楽しむため、ジョギングやマラソンに挑戦する人が老若男女問わず増えている。平日の街中でも、早朝や夕方から夜にかけて、ジョギングしている人たちとすれちがうことが多い。東京マラソンをはじめとした地域マラソン大会が、応募しても何倍もの抽選という話もよく聞くようになった。

そんなブームのなか、ランナーを中心にとあるSNSが人気を博している。「ジョグノート」というSNSがそれだ。「ジョグノート」では、ランニング、ウォーキング、自転車、水泳を趣味で行っている人たちが、自分の日々の練習記録をつけることができる。そして、その記録を友人などに見せ合うことができる仕組みになっている。さらに、ランニングに適したコースを紹介しているジョグマップや、各地で開催されるマラソン大会などのイベント情報も確認できる。

「ジョグノート」の主な収益源は、Web広告とi-mode公式サイト(計測アプリ)の課金収入である。さらに、スポーツグッズ・メーカーや小売店が、同サービス内で商品を販売できる機能も提供しており、そのシステム利用料と販売手数料も売り上げの一部を占めている。

「ジョグノート」の訪問者数は年間で約300万人。登録ユーザーは、2012年3月時点で20万人強。特別なプロモーションは行っていないそうだが、口コミなどで毎日100~150人のペースで増え続けている。

1日で多い時には1万5000件もの記録が投稿されるそうで、投稿された各記録は平均して10km以上と、中上級レベルのランナーが多いのが特徴だ。ちなみに、「ジョグノート」のユーザー全員が1日で走る距離をすべて足し合わせると、なんと地球4周分という計算になる。

SNS全盛のなか、特化型SNSとしてヘビーユーザーを獲得し、成長中!

ビジネスアイデア発想のきっかけ

wingstyle2「ジョグノート」を運営する、株式会社ウイングスタイルは、Webサイトの制作やECサイトの開発を受託する会社としてスタート。「ジョグノート」が誕生したきっかけは、技術者が実験として始めたSNSにあった。

mixiやGREEなどのSNSが注目されはじめた2005年2月の当時、技術開発担当者は、「今から同じようなSNSで勝負を挑むのは厳しいが、ランニングというテーマに絞った特化型SNSなら面白いのではないか」と考えた。そして、実験的にリリースされた「ジョグノート」だったが、プロモーションなしにもかかわらず、口コミで会員が集まりはじめたという。結果、スタートして約1年後の2005年12月、同社の本格的な事業として取り組むようになった。“瓢箪から駒”とは、このことだ。

先行していたmixiやGREEなどの大手SNSは、できるだけ多くの人に利用してもらうことを目的とし、ユーザー数が爆発に増加していた。一方の「ジョグノート」は、特化型SNSとして、爆発的ではないが、徐々に口コミだけでユーザーを増やしていった。プロモーションコストはゼロ。そして、6年で20万人ものユーザーを抱えるSNSに成長を遂げた。

「ジョグノート」は、特化型SNSとして、ほかのSNSよりもリアルに近い関係性の構築を狙っている。その狙いどおり、ライフスタイルの1つとしてランニングを趣味にするユーザーたちは、コミュニケーションのネタとして記録を投稿し合っている。「トレーニング」や「競争」といった辛いイメージではなく、あくまでもランニングなどのスポーツを趣味とするユーザーが集まってきているのが同サービスの特色だ。

代表の荒井氏は、「ランニングに対するイメージが変わって来た」と断言する。確かに、筆者も一昔前まで、フルマラソンはかなりの難易度があると感じていた。しかし、最近は東京マラソンのような大会に市民ランナーの申し込みが殺到して抽選になるなど、本気で走り込んでいるユーザーがどんどん増えている。フルマラソンは今や、ランナーたちが気軽に参加できるイベントなのだ。

2009年には、大幅なリニューアルを敢行。半年以上の開発期間をかけて準備し新たな機能を盛り込み、満を持してのリニューアルだった。しかし、「使い勝手が悪くなった」というユーザーからの意見が1日で数百件も殺到……。リニューアルした当初は、大不評だったという。せっかくのリニューアルが裏目に出てしまったわけだが、それだけ熱心に使ってくれているユーザーが多数いるという証明にもなった。

現在、スマートフォンやfacebookとの連動機能も開発中だ。もちろん、前リニューアル時の反省点を生かし、安易にユーザーインターフェースを変えたりはせず、ユーザーにどのような価値を提供すべきかを熟考しながら、「ジョグノート」をさらに進化させていく計画だ。

ランナーが楽しく走れる環境を、SNSを介してさらに整備していく

将来への展望

今では、「ジョグノート」は大手スポーツグッズ・メーカーの担当者や、マラソン大会の主催者などにも広く知られるサービスになり、さまざまな企画や話しが持ち込まれるようになった。そして新たな収益源として、大会主催者向けのシステム提供を開始している。

例えば、マラソン大会への集客をサポートするサービスや主催者とユーザーとをつなぐサービス。具体的には、主催者側からユーザーに直接メッセージを送ることができ、大会の開催予定から悪天候の場合の変更情報など、ユーザーとイベント主催との間を直接つなぐ機能を付加したのである。

主催者向けのシステムは、年間7万円から利用できるサービスだが、すでに15件を超える申し込みがあるそうで、1年後には300件の登録を目標としている。飲食店などとの提携も視野に入れ、さらに新たなビジネスモデルを探っていく予定だという。

日本のランナー人口は約2000万人といわれているが、「ジョグノート」のユーザー約20万人は、ランナー人口でいえばまだ1%。また、日本全国で開催されるランナー向けのイベント・大会は年間2000件を超えており、一つのイベント・大会で平均4000人の参加者がいる。つまり、少なく見積もっても述べ800万人もの熱心なユーザーが存在するわけであり、実はかなり有望なビジスネマーケットといえるのだ。

ただ、「ジョグノートに登録したものの、途中で面倒でやめてしまう人も相当数いる」と荒井氏は語る。結果、本気でランニングをしている人だけが残るかたちになり、「初心者には敷居の高いSNSになっているのではないか……」という課題も残っている。今後、多くのユーザーが、もっと気軽にランニングを楽しめるような環境を整備し、そのうえで脱落者を一人でも減らすサービスを提供していくことが、「ジョグノート」の目標だ。

株式会社ウイングスタイル
代表者:荒井 啓 社員:7名
設立:2005年4月 URL:http://www.wingstyle.co.jp/
事業内容:
SNS「ジョグノート」の運営

当記事の内容は 2012/4/12 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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