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友達のお気に入りからレストランを見つける新サービス。アプリが4カ月で5万5000ダウンロードを突破!
展開している事業内容・特徴
グルメな友だち、仲のよい友だちなどの投稿を解析し、あなたの“食の嗜好”に合ったレストランが探せるサービス、「Retty(レッティ)」が人気を集めている。
使い方はとてもシンプル。まず、「Retty 」のアプリをDLしたあと、PCやスマホなどから実際に自分が行ったレストランの料理写真や評価コメントなどを投稿する。さらに、気になるレストランがあれば、自分だけの「行きたいリスト」もつくれる。あとは、「Retty」の会員である、気になるグルメ、気になるコメントを書き込んでいる人、味覚が合いそうな人をフォローしていけば、あなたの嗜好に合ったレストランが見つかるという仕組みだ。
すでに「Retty」に登録されているレストランは、電話番号や住所が登録されており、現在地の飲食店を近い順に表示させたり、また、希望のエリア別に表示させたりできる、並べ替え機能も。
さらに「○○さんの行ってるお店を教えてください!」という形で友達を招待することができて、招待された友人がお店を登録されると、それらを見ることができる。
そして、「Retty」の最大の特徴は、レストランを評価する際は、すべて実名でというルールが徹底されていること。過日に問題となった飲食店の評価書き込みサイトのように、匿名の投稿ではない。それゆえに、信頼性が担保できているのだ。そしてレストラン情報は、2012年3月現在、4万店舗が投稿されており、今でも月平均で5000~1万件のペースで増えている。
Retty株式会社の創業は、2010年11月。同年6月にWebサービス版をローンチし、2011年11月に、iPhoneアプリもリリース。わずか1カ月で、2万5000ダウンロードされており、2012年3月時点では5万5000ダウンロード。この急成長ぶりには、どんな秘密が隠されているのだろうか。
投稿コメントに対するユーザー評価は、4段階(エクセレント、グッド、ノーマル、バッド)だが、ほとんどの評価がエクセレントかグット。Rettyの創業者である武田和也氏は、「自分の友だちに悪い店を教えるわけがない。よい店を教えたい」という心理的な側面があると分析している。つまり、主観的な評価ではあるが、実名での投稿ゆえに、ユーザーが本当によいと思っている店しか掲載されないわけだ。
武田氏は言う。「評価をやりすぎるべきではない。そもそも人の嗜好性を数値化することには限界がある」と。特に、単純な評価付けによるランキングサイトなどは、本当によい店を探すサービスとしては機能しない。人によって好き嫌いの度合いは違うのだから、むしろ「誰がよいと言っているか」という点が大事なのだ。
単身渡米して1年間の武者修行。元営業マンが立ち上げたITベンチャー
ビジネスアイデア発想のきっかけ
武田氏は、学生の頃からECサイトを運営していたそうで、卒業後はネットエイジに入社。モバイル関連のマーケティングを3年間手がけていた。そして、起業を目指して退職するのだが、そこから1年間、アメリカに渡り、ひたすらビジネス・アイデアを模索した。生活は貯蓄を切り崩しながら。1週間に2つのアイデアを出すことを自分に課していたという。自分を追い込みながら考え続けた結果、Rettyにつながるアイデアが生まれ、帰国、起業した。
帰国後、武田氏は仲間を誘って起業する。2人とも、エンジニアではなかったが、とりあえず自分たちでサービスをつくり始めたという。創業後しばらくはビジネスの骨格をつくる時間に充てた。しかし、まさに、徒手空拳、暗中模索……専門書を読みながらの作業だったそうだが、「サービスを開発するのには、何が足りないか」ということが身にしみて理解できるようになった。
エンジニアが集まるイベントにはとにかく参加し、ツイッターで気になる人がいればダイレクトメールを送るなど、地道に自分たちの考えに賛同してくれる仲間を募った。
その結果、プログラミングを指導してくれる“師匠”と知りあい、さらには週末だけ参加してくれるWebデザイナーが現れた。そんな出会いもあり、少しずつ開発が前に進んでいった。開発自体は2011年1月からスタート。ローンチまでに半年ほどかけている。
そうしてローンチした「Retty」はすぐにユーザーに使われるようになり、口コミで広まっていった。スタートアップでPRにかける資金がなかったため、特に意識的なプロモーションはしなかったというが、イケダハヤト氏などの有名ブロガーやメディアにとりあげられたり、ホリエモンのメールマガジンで紹介されたことで、一気に知られるようになった。また、勝間和代氏や広瀬香美氏などの有名人も「Retty」を使っており、それらも大きな宣伝効果を生んだようだ。
さらに、iPhoneアプリをリリースした後は、4週間もの間、Appleがオススメアプリとして紹介。これも予想外の大きなPRとなった。
日本人が世界で一番、飲食店の味にこだわる。ユーザーのニーズ・要求がもっとも高いマーケットで生まれたサービスは世界でも通用する!
将来への展望
現在はまだ4万店舗ほどの掲載数であるが、日本全国で飲食店は70万店舗以上あるといわれており、のびしろはまだまだ巨大に残されている。
2012年3月時点のユーザー数は4万8000人ほど。1年後に50万人、さらにその半年後には100万人のユーザー獲得が目標。そして、2017年にはIPOできるところまで事業を拡大させせていく計画だという。
同社が取り組んでいるサービスは、まだ海外でも際立った事例がないそうで、敢えて挙げるとすれば、「Yelp」くらいだそうだ。
確かに、世界で一番、日本人が飲食店にこだわる。飲食店を選ぶユーザーのニーズや要求がもっとも高いマーケットである我が国で成功したモデルを持ってすれば、海外でも勝てると武田氏は考えている。
そして、同社は2012年の夏に英語版のサービスをローンチし、アメリカとアジアでサービスを展開する予定だ。ただし、細かい数値目標はあまり意識していないそうで、むしろ計画そのものを柔軟に変えられるように意識して事業を進めているようだ。
ユーザーに常に使ってもらうためには、まずはサービスの質を上げること。そのために常にユーザーの方向を向いて、今後も改善を積み重ねていきたい。ユーザーにとって最高のお店が見つかって、実際にお店に足を運んでもらうサービスにしたい。そしていずれは飲食マーケットだけでなく、IT×地域という掛け算で実生活が快適に遅れるサービスに展開していきたい。というのが、同社の理念だ。
Retty株式会社 | |
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代表者:武田 和也 | 社員:5名 |
設立:2010年11月 | URL:http://retty.me/ |
事業内容: グルメサービス「Retty」の運営 |
当記事の内容は 2012/3/29 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。