年商前年比170%アップと急成長中! 主婦や定年退職者を組織化した事務代行サービス「ジムニスト」が大人気

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 三宅 哲之

事務のスペシャリスト「ジムニスト」を養成するベンチャービジネス
展開している事業内容・特徴

thoreau1小規模・中小企業向けの一般事務・経理、事務処理を主な事業内容とする、株式会社ソローサービス。事務代行ビジネス自体は特に目新しいものではないが、同社の年商は前年比170%アップと急増している。

小さな企業にとって、専任の経理や総務担当など、バックヤードの事務員を抱えるのは経費がかかって大変である。さまざまな事務作業を、経緯者自らが片手間に処理する経営者も少なくないだろう。「専属の事務スタッフがほしいけど、雇うほどのお金はない。そもそもフルで働いてもらうほどの仕事量でもない……」。そうした悩みを持つ経営者は多い。

人を雇うことなく事務効率を上げる仕組みを提案しているのがソローサービスである。同社が働き手として目を付けたのは、即戦力として十分なスキルを持っているが、子育てで仕事を中断した主婦や、まだまだ仕事をやれる定年退職組だ。女性やシニアの勤労機会の創出と、中小企業の活性化という時代のニーズにマッチしたビジネスといえるだろう。

ソローサービスの差別化ポイントは、一人で数社を掛け持ちできる事務のスペシャリスト「ジムニスト」を養成している点だ。事務代行ビジネスを行っている会社は多数あるが、登録スタッフをそのまま派遣して「時間当たり○○円です」というモデルが大半。ソローサービスでは業界内で、スタッフの教育にもっとも力を入れている企業なのかもしれない。そんな、スペシャリスト育成の取り組みが、急成長の陰にある。

「ジムニスト」という事務のスペシャリストというネーミングも秀逸だ。そんなスタッフを育成する一方で、同社はビジネス交流事業も展開している。各種交流会や朝食会、ランチ会、セミナーなど、月に10回ほどのイベントを主催。創業時には2000ほどだった顧客リストだが、そこで生まれたネットワークにより、今では顧客リストは7000を超えた。こうした潜在顧客層の発掘やビジネスパートナーとの提携手法も、同社の急成長を支える大事なマーケティング戦略なのだ。

「ジムニスト」の例をあげると、毎週3時間~4時間程度かかっていた給与計算業務を引き受けたが、EXCELでプログラムを作り、業務時間を1~2時間程度に短縮したというケースがある。これは、時給計算ではなく業務委託という形でスタッフと契約しているため、業務時間を短縮することでスタッフ自身がより高い評価を得られることにつながる。通常の人材派遣とはまったく違うポイントだ。

同社ではジムニストの勉強会(ジムカフェ)で行なっており、 ・経理事務の効率的な方法(帳票の整理方法、入力方法等) ・EXCEL、WORDのスキル(計算式、プログラムまで含む) ・環境改善の方法(情報セキュリティ等) などを、それぞれプロフェッショナルの人間が担当して講師を交代で努め、互いに学ぶということをしているという。

サラリーマン時代のリサーチにヒントを得て
創業ビジネスアイデア発想のきっかけ

thoreau2ソローサービスを創業した鈴木氏の生まれた環境を聞くと、父は自営業、母は障がい者支援の仕事をしていたという。特に障がい者支援をしていた母の影響から、子供の頃は、世の中には男も女も、健常者も障がい者も分け隔てがないと思っていた。しかし、社会に出ると、人はそれぞれ生まれや育ちで扱いが違う。誰しもが、決して平等には扱われない…。そんな現実に気づいた。「すべての人に役割がある世の中をつくりたい」。それが、鈴木氏の根本にある志なのだ。

鈴木氏は19歳で高等専門学校を中退して社会に出たが、その頃から独立・起業を考えていたという。最初は、ライターという職業に憧れて 2年間ほど広告代理店で働き、その後は出版社に転職。6年間ほど勤務している。27歳で、メールマガジン事業で独立したもののうまくいかず、再度、修行の目的で某大手情報通信系企業に入社した。その後、上司がベンチャーを立ち上げると同時に一緒に退社して、事業立ち上げの具体的方法を実践で学ぶ。そんな紆余曲折を経て、ソローサービスを起業するのである。

同社のビジネスは、鈴木氏が某大手情報通信系企業にアウトソーシングを軸とした新規事業の立ち上げに携わった経験が元になっている。当時、中小企業を中心に、アウトソーシングサービスについてのリサーチを 行なっていたが、さまざまな企業へのヒアリング活動を続ける中、相手先の社長が自ら電話してきて「これについて調べてくれないか?」と依頼されることがたびたびあったという。そんな実態権から、「中小企業には人を雇わないで作業だけを外注したい」というニーズが大きいことを実感した。

大企業は違って中小企業は、担当者を社員として一人雇うのも大変。しかし、企業として成長戦略を描くのであれば、大企業も中小企業も必要なリソースやノウハウは一緒。経理をはじめ、法務や総務などのバックエンドはもちろん、事業を拡大する体制を整えるには、営業やマーケティング、市場調査、広報・PRの専門家なども必要になる。しかし、中小企業の社長が慣れない事務仕事や総務関連業務、広報などの対応に忙殺されていては、企業を成長させるコアの仕事に集中することもままならない……。まして、中小企業が、事業拡大に必要な人材を十分にそろえることはコスト的にも非現実的である。

中小企業でも大企業が持つようなさまざまなノウハウ・リソースを、必要に応じて必要な分だけ使える仕組みがあれば面白いのではない。そう考えた鈴木氏は、大企業の中にしかないようなノウハウ(暗黙知)、人材、リソースを、アウトソーシングで使えるようにできれば、それ自体が事業として成り立つはす。そう確信したところから、同社のビジネスがスタートした。

中小企業が持つそれぞれの得意分野をつなぐプラットフォームを目指す

将来への展望

ソローサービスの目指すところは、過去、中小企業が大手企業の下請けを受け持つような、既存の商流を変えることにある。言ってみれば、すべての中小企業がそれぞれの得意分野をつなぎあわせて、大手企業と対等な立場でビジネスができる世界を実現すること。

一人が持っている能力を 色々な企業でシェアすることが気軽にできるような仕組みをつくり、あらゆる分野のスペシャリストが自立して、それぞれが対等で多様な働き方が認められる世の中をつくること。「すべての人に役割がある世の中をつくりたい」というのが鈴木氏の志だ。

今年で4期目となるソローサービスだが、まずは年商1億円に 持っていくことが当面の目標で、そのためにはクライアント数500社が目安だ。日本の中小企業数は400万社以上。同社が目指す点と、商流の需要が一致すれば、急成長は間違いないだろう。

株式会社ソローサービス
代表者:鈴木 拓 社員:4名
設立:2008年5月 URL:http://www.thoreau.co.jp/
事業内容:
小規模、中小企業向けの一般事務・経理事務処理代行サービス業
 

当記事の内容は 2012/3/7 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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