48000人が”いいね!”。国内最大17アプリを無料で提供するベンチャー「Hivelo Social App(ハイベロ・ソーシャル・アップス)」

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執筆者: 福田 秀樹

48000人から「いいね」。Facebookで動く無料の企業向けアプリのプロバイダー
展開している事業内容・特徴

hivelocity1Facebookを企業のビジネスシーンに活用するのは、もはや当たり前になってきている感があるが、そんななか、Facebook内の企業ページ、ファンページの運営者にとって、ぜひ活用しておきたいのが、今回取材した「Hivelo Social App(ハイベロ・ソーシャル・アップス)」というサービスだ。

「Hivelo Social App」はFacebookページ(Facebook内で作るホームページのようなもの)に使える無料のアプリケーションで、17種類ものラインナップがある。同様のサービスは他にもあるが、ラインナップ数は現在、日本で一番豊富だ。そして、すべてのアプリケーションが無料で使えるというのがポイント。導入するのにコストがかからないのが嬉しい。さらに、すべてがSSLという暗号化通信に対応している。インターネット上でのサービスは、どうしても個人情報の流出などが懸念事項になるが、SSL対応でセキュリティ面もばったりで、情報管理の厳しい大企業などでも安心して利用できるように配慮されている。

導入すると、お問い合わせフォームやFAQ機能などが使える。実際に、ドリームゲートが運営しているFacebookのファンページに導入したが、ボタンを数回クリックするだけで設定が完了して、上記のアプリケーションもクリック一つで簡単に作れた。あまりの簡単さにちょっと感動してしまったほどだ。

同サービスが想定しているユーザーは主に中小企業だ。今までは自前のホームページ作成も難しいと考えていたような中小企業が、Facebook上で「Hivelo Social App」のアプリケーションを使えば、とても簡単にホームページを作ることができる。

競合としては、世界で一番有名なインボルバーというアメリカのベンチャー企業があり、同様のサービスを行っているが、日本では今のところ同社のサービスがもっとも有名だ。

2011年にスタートしたサービスだが、すでにものすごい反響があり、Facebook向けアプリのインストールページは2012年2月時点で約3万ページ。17種類のアプリを合計すると、約7万インストールされているという。

同サービスの収益モデルは2つあり、1つはアプリケーション自体が宣伝となり、同サービスを運営している株式会社ハイベロシティのプロモーションになっている。同社はWeb制作の受注を行っているが、その収益増に繋がっている。
 もう1つは有利版の展開だ。同アプリ使うと、ハイベロシティー社のロゴが出るようになっているが、企業によってはそのロゴを消したい、あるいは表示されているアイコンを変更したいなどのカスタマイズニーズがある。そこで、有料版として月額固定費をいただくという形だ。さらに、今後はアプリの中で課金ができるような仕組みも検討中だそうだ。

元ヤフーのWebエンジニアが立ち上げた新事業
ビジネスアイデア発想のきっかけ

hivelocity2「Hivelo Social App」の立ち上げは、実は一人のエンジニアがすべてやったそうだ。開発した針北氏は、2011年4月に株式会社ハイベロシティに入社。ハイベロシティは3社目で、前職は頓智ドット(スマートフォンアプリ:セカイカメラで有名なベンチャー)で広報、その前はヤフーでWebエンジニアとして働いていた。

針北氏がソーシャル関連の仕事をやりたいと思っていたところ、株式会社ハイベロシティもソーシャル関連の事業を検討していたため、双方の思いが一致して「すべて任せてください」ということで転職したという。
 ハイベロシティ社自体は2004年に設立された会社で、事業としてはWebサイトの制作を主に行なっていたが、2011年6月1日に「Hivelo Social App」をリリース。現在17種類アプリケーションを提供している。

「Hivelo Social App」が生まれたきっかけは、針北氏のソーシャルで何かをしたかったという単純な思いからスタートした。企画を検討していた当時、一番流行っていたのはソーシャルゲーム(グリー、モバゲー等)。しかし、皆が参入してきているところに、いまから首はつっこみたくなかった…。
 そこで、まだ誰もやっていない領域を探していたところ、Facebookページ向けのアプリは、まだちらほらと出てきた程度。まだまだ未開拓のこの分野で一番になれば、事業としても面白いのではないか、ということで検討を重ねた結果、誕生した。

ハイベロシティ社に入社する一ヵ月半前から、何を作るかという企画部分については会社と話し合っていたため、入社直後の4月頭からすぐに開発をスタートさせた。

サービスの立ち上げで苦労した点を聞いたところ、Facebook専用のプログラム言語である「FBML」を学ばなければならなかった事だという。FBML言語を学びつつ、平行してサービスを開発していたが、2011年4月下旬に、突然Facebookから「FBMLは廃止する」という衝撃的な一報があった。それまでに学んだこと部分も含めて、また作り直しになったことは苦労したという。結局、予定では5月頭にはリリースするはずだった計画が、6月1日にずれた。それでも開発期間はわずか2カ月程度というスピードは驚きだ。

そうして超特急で開発された「Hivelo Social App」は、まだ競合が少ない時期にリリースしたこともあり、瞬く間にFacebook上のアプリとしての認知度が広がり、Facebookアプリケーションやソーシャルといえば、必ずハイベロシティの名が上がるほどになった。ブランディングとしては大成功といえるだろう。

実はライブドアやネットエイジなども、同時期に同じようなアプリケーションをリリースしたが、ハイベロシティは最初から5個のアプリケーションをリリースし、数で他社との差別化を図った。そこから短いスパンでとにかくアプリケーションを出しつづけていった。ポイントは「80%のクオリティ」でも出し続けること。とにかくスピードが勝負だったという。改善の部分については、ユーザーの声を吸い上げてはすぐに反映することによって満足度を上げて、それがユーザーの共感を呼び、そこからさらに違うユーザーにも広がっていく。そうしたプロセスが成功した要因だ。

また、アプリケーションのPRを広めていきたいと考えていた時、いきなりマスメディアに取り上げられるのは難しいので、「ソーシャルブロガー」といわれる、新しいことに感度が高く、影響力を持っている方に声をかけて、ブログに書いてもらうようお願いしたこともあったという。

そんななか、とあるソーシャル関連のブログを書いている方と知り合い、「Hivelo Social App」のアプリを紹介したところ、とても共感して頂いたので、その方のブログに書いてもらったところ、いきなり1000以上の“いいね”を獲得、さらに一気に拡散されはじめた。すでに自社のホームページが1550の“いいね”を獲得していたので、その相乗効果で一気に伸びていき、あっという間に5000“いいね”に到達。その後もソーシャルの力で広まり続けて、2012年3月現在、48000人ものユーザーから“いいね”を貰うにまで至った。

実は、リリース初期までは針北氏が1人で開発していたという。企画して、開発して、デザインだけは他に依頼していた。そしてプレスリリースを出して、また次のアプリを企画して…。一とおり自分でやっていたが、今ではチームで開発している。針北氏自身が、それまでチームを回して仕事をしてなかったので、今はチームマネジメントに一番苦労しているという。

日本のFacebookページで50%以上導入されているサービスに育てたい。ソーシャル業界においてナンバーワンを目指す。
将来への展望

日本のFacebookページがどのくらいあるかは統計データも出ていないが、その50%以上のシェアを取りたいというのが同サービスの目標だ。

ビジネスとしては、アメリカのインボルバーを意識しており、現在はアプリケーションをローカライズして世界に持っていくことを検討している。ゆくゆくはインボルバーを抜いて、世界最大のソーシャルアプリプロバイダーになるのが夢だ。

そもそもソーシャルネットワークは、国によって使われ方がまったく違う。なので、国ごとにリサーチをして、それぞれの国にマッチしたアプリをリリースしていきたいという。

株式会社ハイベロシティとしての目標は、ソーシャル業界においてナンバーワンになること。現在はFacebookアプリケーションを提供している「ソーシャルアプリカンパニー」というイメージを定着させる第一段階。最終的には「ソーシャルメディアカンパニー」といったらハイベロシティ、といわれるような存在になるのが目標だ。

株式会社ハイベロシティ
代表者:福光 了良 社員:33名
設立:2004年8月 URL:http://www.hivelocity.co.jp/
事業内容:
インターネット関連事業、インターネットコンサルティング、システム開発、企業プロモーション、メディアレップ業、カタログ制作など。
メッセージ:今回インタビュー取材した針北氏から、これから就職される方に向けたメッセージ。
「社会人1年目の時は、自分が”やりたいこと”を発言してはいけないものだと勝手に思っていました。上司に言われたことをなんでもやる、学びの姿勢が大事だと。もちろんそれも大事ですが、自分のやりたいことに近づく努力はしていくべきだと私は考えています。何か行動を起こさなければ、何も変わらずに終わってしまいます。そのための手段として、自分の考えや想いは、アウトプットしていくことが重要です。同僚でもいいですし、上司や部長に話したりしてみると、意外と聴いてくれたりするものです。発言することで、自分の想いへの共感、共通認識してもらえる。そうして伝えていくことが重要だと私は考えます。伝えていくことで、自分がやりたいことに出会えるチャンスが絶対生まれます。やりたいことが出来てないという人は、自分の考えに共感してくれる仲間を作ることからまずははじめて欲しい。」

当記事の内容は 2012/3/8 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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