- 目次 -
10カ月で会員20万人突破! 本の要点をみんなでまとめる新サービス
展開している事業内容・特徴
本の要点まとめサイト「ブクペ」は、話題の書籍などの内容を2000字以内という比較的コンパクトな分量にまとめ、サイト上で共有するサービスだ。株式会社ブクペが運営するこのサービスは、2011年2月のスタートから10カ月で、20万人の会員数を突破。月間50万PVを集める人気サイトに急成長した。
勘のいい方はお気づきだろうが、ユーザーは本の要点を閲覧するだけでない。本のまとめを投稿するのもまたユーザーである。ブクペが「ソーシャル・リーディングサイト」を謳っている理由はここにある。
では、いわゆるレビューサイトとはどこが違うのか。同社を創業した鳥羽悠史氏は言う。「『感想』と『まとめ』は違う」と。「感想」は感情的で、面白かった、つまらなかったといった抽象的なものが多い。しかし、「要点まとめ」としての枠組みでは、ユーザーの主観が多少交じることもあるが、本の内容からエッセンスを抽出した具体的な内容解説が期待できるという。
書籍購入を検討している「ブクペ」閲覧側のユーザーにとって、レビューサイトよりも、購入意欲を高める効果があるのだという。また、まとめを投稿する側に対しては、その要点記事の閲覧数に応じてインセンティブが支払われる仕組みなっているため、高いクオリティの記事が投稿されてくることが期待できる
いわゆる“書評ブロガー”たちが、ブクペのプラットフォームを利用することにより、自己のブログなどのプロモーションや閲覧数向上につながるといったメリットも生じる。
さらに、まとめを投稿する側の範囲として、一般ユーザーはもちろん、著者、出版社、さらには書店までに広げているところも面白い。著者、出版社の発信するまとめであれば、確かに説得力があるし、プロモーションのツールにもなる。
書店がブクペを活用して販促プロモーションを仕掛けるという構図も生まれた。書店が売りたい本の宣伝をするために店頭に飾るPOP広告。ブクペのサイト内には、「ブクPOP」というコーナーがあり、著者が自ら作成したPOPや、ユーザーがつくる個性豊かなPOPが展示されている。そんなPOPを書店が手軽に使えるというサービスも、プロモーションのかたちとして非常に興味深い。
主なユーザーは20代~40代のビジネスパーソンであり、まとめの投稿としては、「要点まとめ」という性質上、ビジネス書が圧倒的に多い。現在、“キュレーションサイト”のフィールドには複数のサイトが存在しているものの、「ブクペ」の競合・類似サイトといえるものは存在していないという。
htmlも知らなかった素人が立ち上げたITベンチャー
ビジネスアイデア発想のきっかけ
「『レバレッジ・リーディング』という本との出合いがすべての始まりだった」と鳥羽氏は語る。良書と読者との懸け橋となろうとするブクペの姿勢からは、本への愛情が多分に感じられるが、意外にも鳥羽氏が本を本格的に読むようになったのは、ほんの1年半ほど前のことだった。
『レバレッジ・リーディング』を読んだ時に、同書に書いてあった読書方法を実践するため、本の要点をまとめたサイトがないか検索したところ、該当するものが一つもなかった。
このことがきっかけで、ソーシャル・リーディングサイト「ブクペ」の立ち上げを決めたのだという。起業前はITベンチャーで働いていたものの、業界のキャリアとしては1年ほどであり、Webコンテンツの立ち上げに関しては素人同然。プログラマは立ち上げ時からプロを雇ったものの、サイトのデザインは、鳥羽氏自身がhtmlを一から学ぶところから始めて、作り上げていったそうだ。
そんな経緯から生まれた「ブクペ」だが、スタートから滑り出しは上々で、現在も順調な成長を見せている。2011年内に10万人のユーザー獲得を目標としていたが、現在のユーザー数は2倍の20万人強。来年に向けてさらなる飛躍の戦略を計画しているそうだ。
このような成果をもたらしたのは、SMO(ソーシャルメディア最適化)を意識したプロモーションの力も大きい。しかし、「ありそうでなかったサービスを、スピーディーにリリースできたというポイントがもっとも大きい」と鳥羽社長は考えている。
2011年2月にブクペは産声を上げたわけだが、その2月に500万円、そして9月には2000万円の出資をベンチャー・キャピタルから受けている。サービスインから、予想以上のユーザー数を獲得し、順調な成長を続けているブクペ。「増資の機会を得たことも、優秀なプログラマと出会えたことも、すべてがラッキーでした」と語る鳥羽氏。社長ではあるが、そんな鳥羽氏の謙虚な姿勢が、協力者を引き寄せたのかもしれない。
本を買う前に「ブクペ」を見よう! ソーシャルネットワークでECビジネスを変える。
将来への展望
今後ますます、電子書籍化の流れが加速することが予測されている。そんな環境変化をとらえ、鳥羽氏は「サイトの在り方、プロモーション手法を一層洗練させていきたい」と考えている。
将来的には、アマゾンで書籍を購入する前に必ず立ち寄るサイトとしてのポディションを築くことが目標だ。また、アマゾンに限らず、ほかECサイトとの連携も強化し、さらにサイトのプロモーション力を発揮できるプラットフォームを目指している。良書と読者をつなぐ懸け橋を、より大きく、充実したものにするため、挑戦を続けるブクペから、今後も目が離せない。
株式会社ブクペ | |
---|---|
代表者:鳥羽悠史 | 設立:2011年2月 |
従業員数:6名 | URL: http://bukupe.com/ |
ユーザー数:20万人 | 月間PV数:50万PV |
事業内容 本の要点まとめサイト「ブクペ」の運営 |
|
メッセージ 本を2,000文字以内でまとめ、みんなで共有するソーシャルリーディングサービス「ブクペ」 http://bukupe.com/ 書店員になったつもりで本のPOPを自作し、ウェブとリアル書店をつなげるためのソーシャルPOPサービス「ブクPOP」 http://bukupop.com/ 著者様をお招きして開催する読書会や、まとめを書いて本をもらう献本制度もあります! |
当記事の内容は 2011/11/4 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。