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都心でもサバゲーを楽しみたい!
休眠不動産を活用した「遊び場」の構築
展開している事業の内容・特徴
サバイバルゲーム、通称「サバゲー」。ご存じ、BB弾が出るエアガンを駆使して行う戦闘ゲームだ。プレーするのは主に野外のフィールドだが、何よりのネックは都市からの距離感である。首都圏なら、千葉県の山中にあるフィールドで遊ぶと1日がかり。ビギナーにとっては、お試し体験ですらハードルが高い状況が続いていた。
そんな状況にくさびを打ち、都心でもサバゲーが楽しめる室内型フィールドを展開しているのが株式会社ASOBIBAだ。2013年、八重洲に1号店をオープンさせて以来、秋葉原やお台場などに13店舗(営業中は6店舗)を展開してきた。地代家賃の高い都心で規模感のあるフィールドを確保できているのは「休眠不動産」を有効活用できているからだという。代表の小林肇氏は語る。
「都内には再開発による取り壊し、経年による建て替えが決まっているビルや土地がいくつもあります。工事が入る前の一定期間、サバゲーのフィールドとして有効活用させてもらえないか、というのが僕たちの狙いです。オーナーも工事までの空白期間に賃料が入るならうれしいところ。この利害が一致したことから、展開が可能になったのです」
従来の郊外型フィールドは、マニアによるマニアのためのサバゲープレイ空間。フル装備を揃えた歴戦の勇者たちは戦闘の機微に通じており、阿吽の呼吸でゲームに興じる。一方、ASOBIBAのフィールドは「初心者対応力」がウリ。初めての利用者にはマナーやレギュレーションの説明も時間をかけて行う。自己責任ではなく安心・安全な運用を旨とし、ASOBIBA負担で利用者の傷害保険にも加入した。まずは室内での近接戦闘でサバゲーの魅力を体感してもらい、本格的な野外フィールドへのステップとして活用してもらう戦略だ。
「初めての方が手ぶらで来ても十分楽しめるよう、レンタル装備を充実させています。ガンマニアの遊びというイメージが強いサバゲーですが、必ずしもそうではありません。僕が知っているだけでも、敵陣から飛んでくる手りゅう弾に覆いかぶさって『みんな逃げろ!』と映画のワンシーンを動画で撮ろうとする人、進軍ラッパを吹いて突撃し、一番先に被弾したい人など、さまざまですから(笑)。スキルや体力に依存せず、老若男女が自分なりに楽しめる。それがサバゲーの魅力なんです」
クラウドファンディングで予想以上の反響。
サバゲーファンから温かい応援をもらえた
ビジネスアイディア発想のきっかけ
小林氏をはじめ、創業メンバーはいずれもサバゲーに魅せられし者たち。「友だちがどんどんできていた少年・少女時代のマインドを取り戻し、もっともっと遊び仲間を増やしたい――」。そんな思いから、ASOBIBAの母体が生まれた。
「初めての人をサバゲーに誘おうと思っても、従来の郊外型フィールドは片道数時間かけて足を運ばなきゃいけないし、数カ月先まで予約が埋まっていることもしばしば。だったら、自分たちでつくっちゃえばいい。自分たちも楽しいし、参加してくれる人も楽しい。ASOBIBAのミッションは『遊びを通じて、リアルなコミュニケーションを増やす』ですが、一言で言えば『一緒に遊ぼうよ!』ということですから」
逆転の発想で生まれた「安・近・短」の都市型サバゲーフィールド。エポックメーキングなアイデアは、サバゲーファンの熱い支持を得た。2013年、まだ物珍しかったクラウドファンディングで、あっという間に目標額を達成している。
「『さぁ!東京八重洲でサバイバルゲームフィールドを始めよう!プロジェクト』というタイトルで出資を募ったら、目標額50万円は数日でクリアし、最終的には153万円もの資金が集まった。サバゲーファンの期待が数字で表れました。ただ、『本当に集まっちゃったのかよ!』というのが僕たちの正直な感想でした。八重洲の物件とは契約を折衝している最中でしたし」
かくして、創業メンバー6名で株式会社ASOBIBAを設立したが、1号店となる八重洲店は、オーナーとの契約が完了したのがオープン間際という慌ただしさ。工事が間に合わない……ギブアップしそうになったメンバーの前に、クラウドファンディング出資者、開店を待つファンが工具を片手に一人、また一人と集まってくれた。
「フィールドづくりをお客さまに手伝っていただいて、何とかオープンにこぎつけることができました。感謝の気持ちでいっぱいの僕らに、来てくれたお客様は『つくってくれてありがとう!』という言葉をかけてくれた。僕たちが欲しかった都内でのサバイバルゲームフィールドがみんなに受け入れられたと感じた瞬間でした」
都市に遊び場を増やしたい。
信念のもとに笑顔を増やす事業を展開
将来の展望
サバゲー好きが集まって作ったASOBIBAだが、コンセプトは「都市に遊び場を増やす」こと。サバゲー以外にもさまざまな「遊び」を企画しており、事業展開は活発だ。フットサルコートで弓矢を使ったサバイバルゲーム「アーチェリーハント」、カラーインクを込めた水鉄砲を撃ち合う「カラーガン」、室内でドリフト、スピンが楽しめるクレイジーカートを駆る「ASOBIBA Ride」などなど、そのアイデアは尽きることがない。
「街中での遊びを増やし、笑顔を増やしていくこと。それが僕たちのビジョンです。これからも、楽しいことを見つけたらどんどん事業にしていきたい。ただ、根っこにあるのはサバゲーの振興ですね。シンクタンクの試算では、サバゲーの市場規模は約144億円(矢野経済研究所 2015年)で、右肩上がりに伸びていると言いますが、依然として拡大途上の遊びだと思うんです」
「例えば……(取材者の私に質問して)サバゲーって、まだやったことないでしょう? 情報感度が高く、好奇心旺盛な都市生活者であっても、そうなんですよ。知り合いにやっている人がいる、Facebookで見たことがあるレベルにとどまっています。だから、まだまだ伸びしろはある。秋葉原フィールドでは平日の昼でもフリー参加者が20名ぐらい集まっていますから、手ごたえは十分。都市の遊びとして、ハマる人をさらに増やしていければ」
2014年には株式会社セイアから出資を受け、社外取締役も招聘。ビジネス的な急拡大を目指すべく、経営体制の強化にも乗り出している。「サバゲーを一緒に楽しむ遊び仲間を増やしたい」というピュアな思いをそのままに、ビジネス的なステップは着実に。ASOBIBAチームの歩みは続く。
株式会社ASOBIBA | |
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代表者:小林 肇・小谷 翔一氏 | 設立:2013年9月 |
URL:http://asobiba-tokyo.com/ | スタッフ数:20名 |
事業内容:・サバイバルゲームフィールドなどのレジャー施設の運営 |
当記事の内容は 2017/1/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。