トップアスリートが子どもたちを直接指導!
人生を変える、夢の“出会い”を提供する

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 東 雄介  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

オリンピックのメダリストを
指導者に迎えたプログラムも
展開している事業の内容・特徴

20161201-1テーマは「人生が変わるヒーロー・ヒロインとの出会い」。株式会社チャレンジワールドは各種スポーツキャンプをはじめとした子ども向けの「体験プログラム」を企画・提供している。

ここでいうヒーロー・ヒロインとはプログラムの指導者のこと。その多くは各競技分野のトップアスリートたちだ。

アイススケート教室を指導するのは、同社取締役でもある黒岩敏幸氏。アルベールビルオリンピックのスピードスケート男子500Mの銀メダリストである。野球キャンプは、元千葉ロッテマリーンズの4番バッター、立川隆史氏。ほかにも、そうそうたる顔ぶれのアスリートが名を連ねている。

プログラムが開催されるのは、基本的に夏・冬・春の長期休暇中のみ。また、事故防止のため、チャレンジワールドの代表を務める齋藤正明氏が同行できる場合に限られている。したがって泊りがけになるプログラムは多くて年間16本前後だが、「それだけに内容には自信があります。リピート率も高くて、私との付き合いがもう数年になるという子どももいるぐらいです」(齋藤氏)

参加料金は1泊2万円×日数が基本。参加者は1プログラムにつき45名以内と少人数制を徹底している。これも齋藤氏のポリシーだ。当然だが、収益を考えるならば参加人数を増やしたほうがいい。だが人数が多くなるほど、プログラムのテーマである“出会い”の効果が薄まってしまうという。プログラムの実施期間中は、子どもたちとトップアスリートが1つ屋根の下で生活を共にする。その距離の近さがもたらすものは大きい。

「子どもたちの気持ちの変化がプログラムの本当の狙いです。トップアスリートも多くは挫折を経験していて、だからこそ『頑張ればできる』と教えられる。また結果を残すこと以上に、キャンプ終了後の日常生活でも、目の前にある課題に自主的に取り組むことが大事だということを子どもたちは学びます。保護者からは『プログラムから戻ってきた子どもが部屋の片付けを率先してやるようになった』なんて声をよくいただきます」

「どこにいくか」「何をするか」より、
「誰に出会うか」が一番大事
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20161201-2齋藤氏は起業前まで、日本通運に勤めていた。その間21年、旅行事業一筋のキャリアで、子どもたちの野外教育プログラムや、スポーツ選手の海外遠征にかかわった。「子どもたちを連れてマイケル・ジョーダン選手にバスケットボールを習いにいったこともあります」。スポーツとのかかわりは学生時代から。中学・高校では格闘技に親しみ、今も武術の指導を受ける。大学時代は4年間、アメリカンフットボール部に所属した。

日本通運での仕事はやりがいがあり、待遇も満足いくものだった。しかし事業再編により、斎藤氏が携わっていた子ども向けプログラムからの撤退が決まると、「これは社会的にも意義がある仕事。自分がやらなくては」と独立を決めた。

「人生が変わるヒーロー・ヒロインとの出会い」という理念は、自身の少年時代を振り返るなかで生まれたものだ。あの頃もし、ヒーローとの出会いがあったら人生が変わっていたかもしれない。そんな思いがある。だからプログラムでは、「どこにいくか」「何をするか」以上に「誰に出会うか」を大事にする。

「私自身、出会いで人生が変わった経験があります。プログラムに参加した子どもの人生が変っていくのを何度も見ました。でも普通、子どもは自ら出会いを選べません。たまたま親の知り合いにスポーツ選手がいた、たまたま学校にいい先生がいたという人はいいけれど、そうでなければ出会いは限られる。だったら私がヒーロー・ヒロインと出会うきっかけを作ってあげたいと思ったのです」

同社の創業は2014年。創業時の資本金は会社員時代に貯めた貯蓄から捻出した360万円だった。日本政策金融公庫や区の創業支援融資制度などから受けた融資で運転資金を回しながら、順調に事業を成長させ、現在は1060万円まで資本金を積み増している。

一人でも多くの子どもたちにこの機会を!
新たなプログラムをどんどん企画する
将来の展望

20161201-3同社の年商は、初年度が1000万円、2年目が1500万円。3年目の今年は3000万円を見込んでいる。右肩上がりで伸びているが、営業利益に関してはまだ苦しい。とはいえ「プログラムごとの粗利はプラスに転じています」と齋藤氏も手応えを感じている。

今後の課題はいっそうの集客増だ。「現在は、リピーターによる口コミ、アスリートからの情報発信、HPでの告知からの申し込みが中心です。なかでもリピーターが5人、10人と知り合いを連れてきてくれたり、夏の水泳教室に参加した人が冬のスキー教室にもきてくれたりと、口コミの力がやはり一番強力です」

新たなプログラムの開拓も急ぐ。前述のとおり、事故防止のため泊りがけのプログラムは今以上には増やせない。そこでオフシーズンのプログラムを企画中だ。現在は、立川隆史氏を指導者にした平日夜の「野球塾」をテスト的に始めている。

この取り組みには「子どもたちを継続的に応援したい」という思いがある。「泊りがけのプログラムは確かに子どもを変えるきっかけになります。しかしその後、うまくいかないこともある。落ち込むこともある。そんなときのために継続的なサポートが必要です」

とはいえ、平日夜の開催では参加しにくい子どもが多いのも事実。この問題を解消するため、齋藤氏はリアルとネットの融合に着目した。

「野球塾に通う子どもと保護者、指導者である立川さんをネットでつなぐ仕組みを構築しています。例えばネットを通じて試合中の動画を送り、立川さんにアドバイスをもらう。やがてはリアルのプログラムに通わなくても指導を受けられるシステムも導入するつもりです。こうやって子どもたちとトップアスリートが“出会う”場を増やすことが先決。まだまだその接点を増やしていきたいのです。それと同時に、引退後のアスリートのセカンドキャリアづくりにも貢献していきます」

ヒーロー・ヒロインとの出会いの機会創出により、子どもたちに有意義な人生の可能性をもたらす――日本の未来を背負う現代の子どもたちの成長を支援する、チャレンジワールドと斎藤氏の挑戦をこれからも応援していきたい。

株式会社チャレンジワールド
代表者:齋藤 正明氏 設立:2014年6月
URL:http://www.challengeworld.co.jp/ スタッフ数:3名
事業内容:・スポーツキャンプを中心とした子ども向け体験プログラムの企画

当記事の内容は 2016/12/01 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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