リリース4ヶ月で700社超が導入。労務管理をスマートにする「SmartHR」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

スタートアップ系コンテストで次々優勝。煩雑な労務手続きをスマートにするサービスが急成長中。
展開している事業の内容・特徴

20160421-1TechCrunch Tokyo 2015『スタートアップバトル』、Open Network Lab『第10期 DemoDay』、『B Dash Camp 2016』など、名だたるスタートアップ系コンテストで次々と優勝しているベンチャーがある。2013年2月に設立された株式会社KUFUだ。同社が開発・運営しているサービスSmartHRは煩雑で面倒な労務手続き・労務管理をスマートにするクラウドサービスだ。

社会保険や雇用保険といった労務手続きは、毎回同じような書類を作成し、役所に提出しなければならないため、非常に手間がかかる。同社ではそうした手続きをオンライン上で完結し、無駄な手間を省くためのサービスを提供している。

入社・退職の手続きから扶養の追加・削除、従業員の住所変更手続き、報酬月額の変更、給与明細の発行など、中小企業で頻繁に発生する労務手続きの無駄を省くことが出来る優れものだ。また、総務省が提供する電子政府”e-Gov”(イーガブ)のAPIとも連携しており、従来だと10日ほどかかっていた保険証の交付などが最短2日程度に短縮されるなど、スピードも上がった。今後は勤怠管理などにも広げていくほか、社労士と連携し、社労士向けに顧客先企業への管理システムという方向でサービスを広げていく構えだ。

利用料金は、従業員数5名以下で月額980円(年間一括払い)のマイクロプランから従業員数50名までに対応した月額19800円(年間一括払い)のラージプラン、さらに51名以上の場合にはエンタープライズプランとして対応している。すべてのプランに15日間の無料トライアルがついている。

同サービスは2015年11月に正式版がリリースされ、わずか4ヵ月で導入社数は725社。
ノンプロモーションながら、各種メディアに取り上げられた記事や人事担当者のSNS上での口コミなどで認知が広がり、毎月100社超というペースで伸びている。

10万人に1人という難病を経験して社会保険制度のありがたさに気づき、開発を思いたつ。
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160421-2SmartHRを開発・運営する株式会社KUFUを起業した宮田 昇始氏。
「学生時代はITが大の苦手でメールアドレスすら持っていなかった」と語る宮田氏だが、広告代理店やメディア会社でインターンを経験したことがきっかけで、インターネット業界で働こうと決意。当初はまったく仕事にならず、先輩に怒鳴られながら鍛えられ、1年ほどでWebディレクターとして頭角を現しはじめた。

27歳の時に10万に1人という重度のハント症候群という難病を発症。顔面の半分が麻痺。平衡感覚に障害が出てまともに歩くこともできず、完治する見込みは20%と宣告を受けたが、傷病手当金(社会保険の一つ)を受給できたおかげでリハビリに専念でき、無事に病気を治すことができた。その後、自身の働き方を考えた上で独立しよう決意し、2012年に友人3名で設立したのが『株式会社KUFU』だった。

当初は受託仕事をしながらいくつかのサービスを企画していた。その中の1つで『Open Network Lab』に応募したところ、最後の6社に選抜される。しかし、検討していたサービスに疑問を持つようになり、さまざまな試行錯誤をした結果、かわりに思いついたのが『SmartHR』だった。難病を患った際に社会保険制度に金銭的に助けられたこと。また、妻の産休手続きを宮田氏が代行し、不慣れな労務手続きに面倒を感じたことがきっかけとなっている。

サービス開発にあたっては、役所に提出する資料の独特な体裁や、国のAPIの仕様書の解読などに苦労したそうだが、SIer出身で証券会社向けのシステムを開発していた創業メンバーがいたことが幸いした。また、WEB上のデザインをモダンなUIにしてわかりやすくしたことが功を奏し、リリース直後から利用者は順調に増加していった。

人事部を楽にするサービスで社労士とともに業界を発展させたい。
将来の展望

主な顧客層である中小企業で働く人口が約2700万人。最大1300〜1600億円ぐらいの市場があるとみている宮田氏。

今のところ直接的な競合はいないが、大きな括りでは業務系システム・サービス全般が競争相手になると見ている。しかし、今は市場自体を作る段階のため、むしろ業務系システムベンダーと協力体制を構築していきたいとのこと。

また、社会保険労務士と連携し、2016年1月に『社会保険労務士法人スマートエイチアール』を設立。社会保険労務士の視点からSmartHRの導入をサポートし、煩雑で時間のかかる労務手続き・労務管理から、経営者や人事担当者を開放することを目的としている。

人事部門の役割やあり方にはさまざまな議論があるだろうが、宮田氏によれば、本来は組織設計や人事評価、従業員のモチベーション向上、そして優秀な人材の採用が人事部門の本義だ。しかし、煩雑な手続き系の業務が多いと、そうした本質的な業務に時間を割けてない。人事部門の効率化、業務改善を図ることで、人事部門が本質的な仕事に取り組めるようになり、より強い組織になる。SmartHRによって人事部門の変革を実現する。それが同社の目指す未来だ。

株式会社KUFU
代表者:宮田 昇始氏 設立:2013年1月
URL:http://kufuinc.com/ 事業内容:SmartHR の企画・開発・運営

当記事の内容は 2016/04/19 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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