自宅でできる腸内細菌叢(腸内フローラ)検査サービス「マイキンソー」。2015年11月3日よりamazonで販売開始!

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執筆者: ドリームゲート事務局

「腸内環境」を手軽に可視化。検査キットのお値段は1万9440円とリーズナブル!
展開している事業・特徴

20151119-1昨今、人間の腸内フローラに注目が集まっている。そのきっかけとなったのは、2015年2月22日にNHKで放送された『NHKスペシャル 腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー』という番組。腸内フローラとよばれる腸内細菌叢が、健康や美容に大きな影響を与えるという内容で、がん、糖尿病、うつ病、ダイエットなどとの関係もあるという。

特に衝撃的だったのが「糞便移植」。健康な人の糞便を腸内に注入することで腸内フローラが移植され、腸内フローラのバランスが正常化し、さまざまな症状が改善されるというもの。エキセントリックな方法もさることながら、太っている人の腸内フローラを移植してしまうと移植された人まで太ってしまうといったケースが紹介され、その逆を行えば画期的なダイエット法になる可能性もあるのだとか。

ちなみに人間の大人1人が持つ腸内フローラは1~1.5kgほどといわれ、肝臓と同じくらいの重さ。また、その数は100兆以上、種類は約1000種類あるそうで、それぞれが相互に依存しつつ主に大腸の中で共生している。

今回紹介するのは、腸内フローラを検査してくれるサービスを展開する株式会社サイキンソーというベンチャー。2015年11月3日、同社が開発した検査キット「マイキンソー」の一般販売がスタートした。取材を行った2015年11月時点では、amazonでのみ購入可能となっている。

価格は1万9440円だが、神奈川県の未病市場創出事業に採択されているため、神奈川県在住者は実質40%OFF(後日、7000円分の商品券がもらえる)で購入できる。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0175ZRCXK

検査方法は簡単。ユーザー登録を行うと採便キットが自宅に送られてくる。健康診断などでよくある検便キットをイメージしてもらえればわかりやすいだろう。採便キットで自分の大便を採取して送り返すと、4週間~6週間程度で検査結果が判明。検査結果は専用のWebサイトのマイページで閲覧する仕組みだ。この検査では150~200種類の腸内細菌の存在比を分析することができるという。

遺伝子検査のベンチャーで役員を経験。遺伝子解析をより身近なものにすべく、B2C型のサービスを目指して起業
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20151119-2サイキンソーを創業した沢井悠氏。東京大学工学部応用化学科を卒業後、インキュベーション事業を手がけるイーソリューションズ社に入社し、バイオ分野での事業創出を担当した。その後、遺伝子検査のベンチャーに身を転じ、取締役経営企画室長を務めた。そこでは主に法人向けのサービスを展開していたが、消費者に直接サービスを提供するB2C型の事業を構想し、腸内フローラのDNA検査に着目。仲間と一緒に2014年11月に同社を立ち上げた。

同分野は2007年、東京大学大学院教授の服部正平氏が腸内フローラを「メタゲノム解析」したことがブレークスルーとなったといわれている。その後、急速に検査技術などが進歩し、2007年頃は1000万円以上かかっていた分析費用が数万円台にまで下がった。そして前述したNHKの番組により、世間での注目が一気に集まることとなった。

マイキンソーは、大阪大学微生物病研究所との共同研究で開発したDNA分離離・解析プロセスをもちい、従来の20倍以上となる多種類の菌を解析できるようになっている。

また、同分野で有名な理化学研究所の辨野(べんの)研究室とも連携し、同研究室が調査・蓄積している数千人の腸内細菌データベースを利用したサービスの開発も進めているという。

マイキンソーはまだ販売を開始したばかりだが、すでにamazonでは売り切れ状態になっている。

ちなみに正式販売前にクラウドファンディングサイトで資金援助の募集を行ったところ、目標100万円に対して、463万円もの支援が集まった。腸内フローラの状態を調べるというまったく新しいビジネスながら、潜在的な需要の高さが伺える。

最初期のターゲットユーザーは、健康に強い関心がある30~40代のビジネスパーソン。この層がアーリーアダプターとなると見ているが、その後のターゲット層としてシニアマーケットも有望と沢井氏は見ている。しかし、このシニア層をインターネットだけで捉えるのは難しいため、早期に各種量販店などで販売することも視野に入れている。マイキンソーの検査キットは小型であり、店頭でも場所を取らないので、小売店などに並べるのは容易だろう。

腸内フローラ検査のB2C型サービスをスタートさせた先行者メリットを生かし、誰よりも早く世界をリードする存在になることが目標
将来への展望

沢井氏は、1年目に3000セットの販売を目指している。その後は、3年以内に年間1万セット以上の販売を計画。細かな数字は企業秘密だが、年間1万セットを超えることが、同社の採算ラインのようだ。

販売価格をもっと高く設定すれば、より早い段階で採算が取れるだろうが、沢井氏はむしろ価格を下げる方向を検討しているという。その理由は競争戦略。このサービス内容で2万円を切る価格というのは、業界的に考えると採算的にギリギリの数字。しかし、あえて低価格でスタートさせることで、先行者メリットを最大限に生かし、後発組の参入意欲を抑える戦略をとっているのだ。

同社は第3回ILSにも参加したが、商談を行った大手企業はいずれも強い興味を示したようだ。例えば、ある大手飲料メーカーからは、自社製品のキャンペーンのツール、健康食品のエビデンスをとるための調査・検証、社員の健康管理の一環としてトライアル利用してみたいなど、さまざまな要望をいただいたという。

ちなみに、近年、遺伝子検査市場にはいろいろなプレイヤーが参入している。例えばDeNA社が、遺伝子検査ビジネスに乗り出したことは大きなニュースになった。

ただ、腸内フローラに着目したベンチャーは世界的に見ても珍しく、米国のuBiome社とエストニアのWellBiome社というベンチャーがあるだけ。

当然、遺伝子検査分野はさまざまなノウハウ、技術の塊で、一朝一夕に参入できる市場ではない。それが最大の参入障壁だといえるだろう。この分野にいち早く参入し、サービスを開始したサイキンソー。沢井氏は、これから集まる大量なデータをもとに、腸内フローラの研究で世界をリードし続ける存在になることを本気で目指している。

株式会社サイキンソー
代表者:沢井 悠氏 設立:2014年11月
URL:https://www.cykinso.co.jp/ スタッフ数:
事業内容:
・腸内細菌叢(腸内フローラ)を、郵送検査により自宅でも簡単に検査できるサービスを開発・展開。

当記事の内容は 2015/11/19 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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