訪日外国人観光客の97%が目的にあげ、キラーコンテンツとなった世界遺産 「和食」のインフラを目指す「和食エクスプローラー」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

追い風吹く「和食」を、全世界へ届ける。「和食エクスプローラー」が本格始動!!
展開している事業・特徴

20150818-1農林水産省の公表資料によれば、2020年までに世界の食の市場規模は680兆円に達するという。これは2009年の340兆円と比較し約2倍、とりわけアセアン諸国市場では、82兆円から229兆円と3倍近くに跳ね上がる試算で、アジア圏食市場の急成長が予想されている。

この巨大な市場のシェアを獲得すべく、我が国ではこれまで、日本の食産業の海外展開や輸出促進を活性化させるさまざまな施策が取られてきた。

最近、その取り組みの成果が、表れてきたようだ。2013年12月の「和食」世界文化遺産登録もあり、近年まで世界の340兆円に対し5000億円前後と少なかった我が国の農林水産物並びに食品輸出額だが、昨年2014年は過去最高の6000億円となった。また、東京オリンピック開催決定によりインバウンドも過去最高の1300万人を突破。多くの外国人が”ニッポンの食“を楽しみ始めたといえよう。

そして、来訪する外国人の実に97%が「和食」を目的の1つにあげている。つまり、今後の日本にとって、和食は、世界にリーチできる有望なキラーコンテンツなのだ。だが、市場を俯瞰すれば、外国人にとって和食はまだまだ身近ではない。寿司・天ぷら・すき焼きなど・・・、名前ばかりが先行し、どんな食材が和食に使われており、また適するかなど、ほとんど情報・文化は浸透していない。

日本の食のさらなる普及、そして今後も右肩上がりを続けるインバウンドの一層の獲得のためには、外国人向けの国内での食環境の整備はもとより、外国人が世界で和食に触れられるインフラが必要となるのは明確である。

今回紹介する「和食エクスプローラー」は、まさにそのような和食情報のインフラを目指して株式会社ラックが今年5月19日に立ち上げたサービスだ。

その第1弾としてリリースしたのが、海外向け和食テイスティング型ECサービスである。同サービスは、和食に興味を持つ外国人と海外展開をめざす国内の中小生産者とをつなぐ。サービスモデルは、クラウドファンディングを踏襲しており、生産者が起案者(プロデューサー)となって、食材や加工品、生産者自身の紹介ページをアップし、それを海外の会員ユーザー(バッカー)が支援・購入する仕組み。期間内に目標額に達すれば、商品が配送される。

利用はユーザー登録、生産者の初期コストなど費用は無用。プロジェクト成立時のみに手数料が発生する。また、PayPalを活用したクレジット決済なので、代金未収の不安もなく、各商品の起案・プロジェクトページ作成に関して、生産者側に障壁はない。商品を訴求する画像やテキスト、英語翻訳から、集客・海外PR・多言語問い合わせ対応・海外配送サポートまでラック社が行う。つまり、新しい販路を求める生産者が、ノーリスクで手軽に全世界へ商品をプッシュできる、プラットフォームといえよう。

現在、和食エクスプローラーに並ぶのは、独自製法の「日本茶」、希少種「黒菌きくらげ」、ヘルシーで健康的な「ごまとくるみの麺つゆ」、114年の歴史を持つメーカーの「ふりかけ」。どれも、全国各地で展開してきた生産者のこだわりの逸品だ。この言わば、“本物の日本食”を届けんとするところに、外国人に和食を発信する以前の、同サービスの大きなミッションがある。

和食に追い風が吹く昨今だが、実を言えば、エンド生産者には、その恩恵が十分に行き届いていない。

海外のある和食店では自国の食材を使い、一方の日本では、チェーン店を利用する外国人も多いと聞く。注目度は日に日に増す和食だが、その根底を支える中小生産者にとっては、よい環境とは言い難い。高まる和食熱の反面、凪が続く生産者。この課題改善に貢献する役割を担うのが、和食エクスプローラーなのである。

エンド生産者に充分な環境を。現代の農水産業が抱える課題から生まれたアイデア
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150818-2「和食エクスプローラー」を立ち上げたラック社は、もともとは商業ビルに入るテナントの内装工事の進捗や設計のマネジメントなどを業務とする内装監理業を行う会社だ。設立20周年を数え、クライアントには三井不動産など大手が名を連ねる。

そんなラック社が専門外ともいえるインターネット事業に進出し、和食エクスプローラーをスタートさせたのは、代表取締役・前村誠氏の幼なじみである、俳優の永島敏行氏との繫がりがきっかけだった。

永島氏は事業家としても知られ、農業への造詣も深く、有限会社青空市場の代表者としても知られる。青空市場は各地から生産者を集め、農水産品の販売を行う都市型ファーマーズ・マーケットで、零細な中小生産者の販売支援活動を実施している。

青空市場に前村氏もたびたび顔を出すことがあり、生産者の現状を知り、問題意識を感じていたという。

そこで、前村氏の旧知の仲であり、Webやインターネットに明るく、その分野でのプランニングに実績を持つ齋藤 氏(現:和食エクスプローラー事業統括マネージャー)に相談したことから、ビジネスモデルの構築に至った。齋藤氏は大手デベロッパーに勤務していたが、同事業に大きな可能性を感じて事業参画した。そうして、和食エクスプローラーはスタートを切った。永島氏もアンバサダーとして加わっている。

余談だが、ラック社は和食エクスプローラー以外にも、ハンバーガーショップ「エア―ズバーガーカフェ」や、キックボクシングジム「PHOENIX」の運営でも知られている。多角化経営を行っている同社だが、特にPHOENIXは設立して10年以上を数える老舗。会員数は480名にも上り、WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王者である梅野源治選手も輩出した。

その健全かつ順調に拡大させる事業運営の秘訣は、前村氏によれば「人」なのだという。「ハンバーガーショップやジム、そして和食エクスプローラーも気心の知れた仲間とのスタート。興味あることや課題解決を共に取り組んでいくこと自体が仕事のバイタリティにつながっていると思いますね。雇用を創出し、税金を払っていくことが法人の義務ですから、会社としてもよい体制をつくれていると感じています」

新たなECサイトと情報メディアとの三本柱で、確固たる和食のバリューを打ち立てる!
将来への展望

サービスローンチの約2カ月前からパイロットサイトとして、Facebookページを開始した和食エクスプローラーは、2015年8月時点で13000もの「いいね!」がついている。また、本家サイトも月間PVは3万と順調に伸びている。

ラック社が今後のリーチ獲得の重要国として据えているのは、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、香港。現在、この5か国で積極的にリスティング広告などのマーケティングを実施。

一般的に海外マーケティングは難しいとされるが、同社は英語サイトのSEO対策に精通し、東アフリカ向け中古車販売台数を日本1位に導くなどの実績を持つ「世界へボカン株式会社」の代表取締役・徳田裕希氏をアドバイザーに迎えるなどして、事業を強力に推進している。

ターゲットに据えるのはインバウンド、海外駐在の日本人、海外の日本食レストラン関係者、健康意識の高い中間所得層以上のファミリー並びにDINKS。これら、ヒアリングから割り出された、こだわりの日本食を求める人々の獲得をめざす。

また、年内には、同サービスを相乗的に盛り上げ、収益の永続化を担える通常購入用のECサイトをローンチ。そして、タイミングを図り、集客機能を担う和食情報発信メディアもリリースしていく予定だという。この三本柱で、同社は海外へ和食文化を打ち立てていく構えだ。

全世界と本物の和食をつなぎ、かつ生産者支援にもなる、和食エクスプローラー。この国内初となるサービスが担うところは、今後の日本にとっても非常に大きな意味を持つといえるだろう。

株式会社ラック
代表者:前村 誠氏 設立:1997年1月
URL:
海外向け販売サイト(英語):https://www.washokuexplorer.com/
生産者募集サイト(日本語):https://www.washokuexplorer.com/producer/
スタッフ数:
事業内容:
・和食テイスティング型ECプラットフォーム「和食エクスプローラー」の開発・運営
・内装監理業

当記事の内容は 2015/8/20 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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