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NEET株式会社代表の若新氏を編集長に据えた、今の若者気質を捉えた新サービス「ベツルート」
展開している事業・特徴
さまざまな業界を、ベンチャーがディスラプト(破壊的革新)し始めている。求人広告業界なも例にもれず、従来と比べて非常に安価となり、さらに無料のサービスも次々と登場している。
今回紹介するサービス「ベツルート」は、その名のとおり、業界の巨人・リクルート社をもじった、まったく新しい新卒採用サービスだ。ベツルートの編集長には、最近の若者気質を的確に捉えられる人物として、NEET株式会社代表の若新氏を招聘。また、元ワイキューブ社長の安田佳生氏も非常勤取締役として参画している。
http://betsuroute.jp/
ベツルートに登録した学生は「やりたくないこと」に×をつけて、志望企業を「くじ引き」する。通常のサイトでは、希望職種など「やりたいこと」から探していくが、「転勤は無理」「残業はしたくない」「営業は嫌だ」などといった、否定の選択項目から志望先を探してくれる。そして「くじ引き」も大きなポイントだ。
ベツルートを運営する株式会社アドヴァンテージの中野尚範社長(ドリームゲート・アドバイザーでもある)によれば、くじ引きの意図は、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱された「計画的偶発性理論」によるものだという。
http://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/advantage
この理論に基づき、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」と想定したうえで、その偶然を計画的に設計しようという考え方だ。
変化の激しい時代、新卒時に、将来にわたってどのような仕事・会社が自分に合っているかを考え尽くすには限界がある。むしろ、理詰めで考え込んだキャリアプランが、学生自身の可能性を狭め、マイナスに作用するかもしれない。反対に考えると、「くじ引き」で見つけた会社がよい出合いとなる可能性もある。一見すると「ゆるい」サービスと思われるが、設計の裏には、そんな論理性・戦略性が隠れている。
2015年度の新卒採用からスタートしたサービスなので、まだリリースして半年あまりだが、すでに千数百名の学生が登録・利用しており、とあるベンチャー企業は、同サービスから京大生を採用したという。
同サービスを利用している学生の4割が東大、京大、早慶、MARCHなど高学歴層だ。また、芸大や美大など感性が尖がった学生の利用も目立つという。
同サービスは成果報酬型で、採用が確定すると50万円前後が同社の売り上げとなる。ちなみに、日本国内で1年間に約60万人の大学生が就活を行っている。
名の知れた大企業の新卒採用枠は7万人程度。リクナビ、マイナビなどはどうしても大企業が目立つため、そうした大企業へのエントリーが集中しがちだ。しかし、中小企業は新卒採用にコストがかけられないため、優秀な新人が欲しいと思っていても、なかなか採用できない。このミスマッチを解消することを目指して、ベツルートはスタートした。
中野氏はベツルートを、全就活学生のうち5%、3万人が利用するサービスに成長させることが目標だという。この5%というシェアは、同社が独自に調査した「尖がった就職意向のある学生比率」から算定している。
HR業界に起きつつある変革の波。求人媒体から自社採用サイト経由の採用にシフト
ビジネスアイデア発想のきっかけ
中野氏によれば、従来型の採用の構造自体も変わりつつあるという。同社では15年前から、「自社で直接採用する」取り組みを支援する事業を行っており、これまでに250社以上の「自社採用サイト」や「採用ランディングページ」を立ち上げてきた。最近だとオウンドメディア戦略という言葉で説明されるが、その言葉が生まれる以前からそうした活動を続けてきたわけだ。
アドヴァンテージ社のクライアントの1社である大手A社では、約8割が自社採用サイトからの採用で、残り2割がほかの求人サイト経由という割合になっている。
同社のこれまでの実績によると、外部の採用サイトに100%頼っていた企業でも、採用に特化した自社採用サイトを立ち上げることで、どの会社も自社採用サイト経由の採用比率が3~4割に達するのだという。特にパート、アルバイト等の大量採用なら成功事例が多数でてきているとのこと。
また、自社採用サイト経由の採用に切り替えることで、採用コストを抑える効果もある。
また、採用活動におけるオウンドメディア戦略が進む要因として、検索サービスの存在も大きい。今や、何かを調べる際にGoogleなどの検索サイトを使わない人はいないだろう。就職活動や転職活動も同様で、例えば、渋谷+飲食業+採用といったキーワードから、ダイレクトに求人情報にたどり着くケースが多くなっている。
求人情報自体が、各社の自社サイトをはじめ、SNSや人材紹介会社、求人媒体などに散らばっていた状況から、検索サイトの進化によって自動的に収集・整理されデータベース化された。GoogleやYahooのような古くからの検索サービスのほか、求人情報専用の検索サービス、データベースサービスも登場している。
「ダイレクト・リクルーティング」の動きは、海外では顕著で、LinkedIn やIndeed、Monster、Ladders.com、Careerjetといった求人情報専用の検索サービスが伸びている。LinkedInの登録者数は全世界で3億人を誇り、Indeedは世界55カ国、28言語で展開し、月間ユニークユーザー数が1.5億人に達している。
米国のIndeed社は、採用情報の検索サービスで世界的大手の1社で、2012年9月に日本のリクルート社が買収したことが大きなニュースとなった。Indeedの買収額は非公開だが、600億~800億円と推測されている。また、2007年には日本の求人情報検索サービス「ジョブダイレクト」も買収している。求人広告業界の巨人であるリクルート社自身が、積極的にこの分野に取り組んでいることがわかる。
国内でもビズリーチ社のスタンバイや、Wantedly、Coojin、仁王など、さまざまな求人情報サービスが成長をしており、ダイレクト・リクルーティングを支えるインフラが整いつつあるようだ。
株式会社アドヴァンテージ | |
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代表者:中野 尚範氏 | 設立: |
URL: http://ad-vantage.jp |
スタッフ数: |
事業内容: 採用コンサルティング事業 自社採用サイトの構築、運営、集客支援(採用マーケティング事業) ニッチ求人サイトの事業構築、新規事業開発支援 有料職業紹介(人材紹介) |
当記事の内容は 2015/8/18 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。