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悩める女性のプラットフォーム!! オンラインカウンセリング『ボイスマルシェ』
展開している事業内容・特徴
2014年9月24日開催のTOKYOイノベーションリーダーズサミットにも参加したベンチャー、株式会社バーニャカウダの展開する女性専用のオンラインカウンセリングサービス『ボイスマルシェ』が人気だ。
2014年9月の予約数は前月比140%増で成長している。さらに2014年9月12日にはSMBCベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資も実施した。
利用料金は55分で12,000円。利用時間を超過すると自然に電話が切れる仕組みになっており、会話が弾み高額な請求が発生することはない。25分で3,000円というお試しプランも提供しており、カウンセラー1人につき1回のみであるが、通常料金相当で4名のカウンセラーに相談できる。
サービス利用時間は8:00〜27:00まで。申し込みは最短10分前から可能なので、平日や休日問わず自分の空いた時間で利用でき、かつ、ふと思いついた相談事も即座に相談可能だ。
同サービスが人気となっている最大のポイントは、カウンセリングをぐっと身近にしたことにある。アメリカのドラマではよく登場するカウンセリングだが、日本ではちょっと敷居が高いイメージもあるが、実は大きな市場が古くから存在する。それは占いマーケットだ。
女性にとって、占い師は「話し相手」であるという。仕事・恋愛・お金・将来等々…。さまざまな悩みを打ち明けるのは、現状の悩みを解決したいのはもちろん、しばし会話することによって精神的ストレスから解放されたいからでもあるそうだ。このような側面を持つ占いの市場規模は、1兆3,000億円にも達する。
占いサービスの本質的な需要がカウンセリングという見方をすれば、カウンセリング市場は大きな可能性を秘めている。
株式会社バーニャカウダの創業者である古川 亮氏によれば、カウンセリングと占いマーケットの共通課題として、価格の不透明さ、個人経営が主で、時には怪しげな肩書き等から、利用者にとっては不安な面が多い事に気づいた。そこで、そうした課題を解消したサービスにはニーズがあるのではと考え、2012年にサービスインした。
女性のためのオンラインカウンセリングと銘打った同サービスの最大の特徴は、いつでも、どこからでも、匿名で相談できることである。
在籍するカウンセラーは、2014年9月時点でのべ160名。「心理カウンセラー」、「セラピスト」、「キャリアカウンセラー」、「風水コンサルタント」、「ライフオーガナイザー」等がおり、恋愛からキャリア、生活全般に至るまでの悩みに対し、適したカウンセラーを見つけることが可能。テーマや職種別でのランキング評価や口コミも表示されているので、初カウンセリングの人でも相談しやすい。
利用方法も非常に簡単で、かつユーザービリティに優れている。必要なのはサイトへの会員登録と電話のみ。ニックネーム・氏名・電話番号・メールアドレス等を登録し、『ボイスマルシェ』が提供する仮想貨幣「マルシェフラン」を購入すれば準備完了。カウンセリング・カルテと称されたカレンダーで、各カウンセラーの空いている時間を選び、相談したい内容をコメントすれば申し込みは終了。あとは統一された050のボイスマルシェ専用電話番号から電話がかかってくるのを待つばかりだ。そして、相談開始となるが、ユーザーの氏名・メールアドレス・電話番号等はカウンセラーに開示されることは無い。カウンセラーはあらかじめ、事前に事務局からオンラインで伝えられた相談内容を吟味しているので、電話を受けた瞬間からスムーズに相談ができる。当然ながら、相談内容が外部に漏らされることはない。さらに、終了時にはカウンセラー評価もあるので、「有名な先生だから〜」といった肩書きに惑わされることもないのである。占いやカウンセリングは相談する・される側に弱者強者の関係がつきまとう傾向にあるが、それが同サービスにはまったくない。この点も、画期的なサービスの特徴と言えるだろう。
縁を味方につけ、アイデアを具現化。幼少の頃より抱いた事業家へ
ビジネスアイデア発想のきっかけ
『ボイスマルシェ』のアイデアは、代表取締役である古川亮氏と取締役の菅野彩子氏が出会ったリクルート時代に遡る。
古川氏は小学校の頃に松下幸之助の著書に感銘を受け、幼少より事業家をめざしていたそうだ。その大志を抱き、一橋大学商学部経営学科に進学し卒業後、リクルートへ入社した。
不動産広告事業で営業職の激務をこなす日々。その傍らで、自分の事業を成すべく起業ノウハウやエッセンスを蓄えながら、旧知の同僚とともに事業アイデアを練り、着々と起業の準備を進めていった。2009年前後のことだった。
しかし、事情により、同僚が実家に一時戻ることを余儀なくされ、計画はストップしてしまう。そのとき、たまたま社内研修で知り合ったのが菅野氏である。起業をめざす古川氏と、新規事業立ち上げに携わり後は起業を見据えていた菅野氏は意気投合し、同僚が戻ってくるまでの間、事業アイデアの収集をともに行うことになった。このときにフォーカスしたのが「占い」だという。
「私はもともと、個人が持つ技術や知識を集約し活用するビジネスを模索していました。占いの市場調査をしてみて、占いが悩み相談所として機能していることに驚きました。世の中には例えば、心理カウンセラーやファイナンシャルプランナーなど、あらゆる相談の専門家がいるわけです。しかし、現状はそういった内容も占いに頼っているという女性が多かった。この結果を見て、カウンセリング市場に自分が模索するビジネスがあるのではと確信したのです。そうして、提供側の課題とユーザーが抱く敷居の訳を分析して、考案したのがボイスマルシェでした」
残念ながら、同僚は戻ってくることはなかった。しかし、ビジネスアイデアを固め、ニーズの確信を得た2人は、ともに『ボイスマルシェ』を事業とし起業する意志を固めた。そして、2010年1月に誕生したのが株式会社バーニャカウダだ。
その後、2年のインターバルを経て『ボイスマルシェ』が正式に誕生するわけだが、これまでの苦労話を古川氏に尋ねると、一番は資本金や、開発費用等の資金繰りだったと笑う。特に開発では毎月100万円単位の資金が飛び、貯蓄も底を尽いたそうだ。だが、一橋大学時代の恩師沼上幹教授、友人、(株)リクルートOBの事業者たちなどの人脈から、支援を受けることができ、氏は局面を乗り切りながらリリースに向けて猛進した。
そうしてサービスインした『ボイスマルシェ』。在籍するカウンセラーが、各自のブログやHPなどで紹介することにより、口コミで認知度が広まり、確実に女性ユーザーを獲得していった。
市場規模は未知数!? ボイスマルシェが切り開く新しい事業領域
将来への展望
2014年9月。同社はSMBCベンチャーキャピタルを引受先として第三者割当増資を実施、資金調達に成功した。今度、一層のサービスの拡充、経営基盤の強化、人員採用に取り組んでいく構えだ。
近々の目標は年内に在籍カウンセラー数200名体制にすること。また、今年12月には社員2名の採用も決定している。
古川氏自身はこの事業分野を「エアポケット」であると表する。
「ボイスマルシェに参加する、法人でない個人事業主の女性カウンセラーと協働する考え方は、従来の組織内の労働者を対象とする組織論や、市場での法人の振る舞いを研究してきたミクロ経済学的な考え方では、捉えきれない領域だと考えています。まさにエアポケットで教科書が無いんですね。そして、この市場開拓の鍵を握るのがインフラの構築です。現状、専業のオンラインカウンセリングサービスは他にないため、旗手として後続のサービスのお手本となるノウハウやセオリーの構築にも力を注いでいきたい」
株式会社バーニャカウダは、今、成長期に突入している。サービスの普及並びに事業領域のバリュー確立など、取り組むべきテーマは膨大だ。
狙いは占い市場をカウンセリング市場にリプレイスすること。そうすれば、潜在的な事業規模はとても大きいと言えるだろう。このエアポケットにはあふれんばかりの潜在ニーズとベンチャービジネスの魅力が詰まっている。
株式会社バーニャカウダ | |
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代表者:古川 亮氏 | 設立:2010年1月 |
URL: http://bagna-cauda.co.jp/ |
スタッフ数:5名 |
事業内容: ・自社メディアの企画・運営・マーケティング ・Eコマース事業 |
当記事の内容は 2014/10/9 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。