世界最大のホテル予約サイト「Expedia」とも提携。自分だけの旅行がつくれるツール「tripro(トリプロ)」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

アナログで面倒だった旅行計画を簡単にしてくれるツールが登場!
展開している事業内容・特徴

tripro1旅行代理店が販売しているパッッケージツアーに対して、目的地への交通手段、宿泊施設などを自分で組み立てるツアーは「ダイナミックパッケージ」と呼ばれている。大の旅行好きでもない限り、あまり馴染みのない言葉だが、日本では2005年頃に大手商社がサービスを開始、2006年には旅行代理店国内最大手のJTBも参入している。インターネット上で航空券、ホテル、レンタカーの予約などが一度にできるのが特長だが、あまり使いやすいサービスではないのか、いまいち普及していない。

今回紹介するのはOrange株式会社が開発・運営している「tripro(トリプロ)」というサービスだ。一言でいうと、「旅のプランニングツール」である。

国内・海外の目的地選択からスタートし、滞在日数やキーワードを指定し、行きたい旅行スポットを入力することで、旅行計画を自動的に作成してくれる。GoogleMapとも連動しており、スポット間の距離や移動時間(車・徒歩)、1回の旅行でも、例えば晴れた場合と雨の場合などのプランをあらかじめ作成することができるもの。アナログな紙媒体、ガイドブックなどは、掲載されている情報が古いケースも多い。しかし「tripro」ではインターネットの特性を活かし、誰もが最新の情報を投稿できるような設計がされている。

2013年8月にPC版、同10月にスマートフォン版をリリースしたばかりだが、すでに数百プランほどが作成されており、サイトの利用数は月に2倍のペースで伸びている。

同社の陣容は、創業者である甲斐考太郎氏(代表取締役CEO)と佐藤永武(代表取締役COO)ほか、社員のITエンジニアが1名、アルバイトとインターンなどが9名の計12名。

現段階のマネタイズの方向性に関しては、ユーザー課金は考えていないが、例えば、世界最大手のホテル予約サービス「Expedia」と提携して、ホテル予約・手配を来年初頭を目処に開始予定。ユーザーが「tripro」を通じてExpedia掲載のホテルを予約すると、同社にも手数料が入るという仕組みとなるそうだ。

テレビマンと広告マンがタッグを組んで創業。旅行の素晴らしさを伝えたい!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

tripro2Orange株式会社を創業した甲斐氏と佐藤氏は、ともに学生の頃からずっと大の旅行好き。しかし、旅行の計画をつくる作業はほとんどアナログで、自分でガイドブックを調べたり、紙やExcel上などで計画をつくっていたが、もっと快適に簡単なツールが欲しいと思ったのことが、「tripro」を開発するきっかけとなった。

ちなみに佐藤氏は、バックパッカーとしてマレーシアを旅行した際に、人生観が変わるほどの感動を経験している。その時、この感動を一人でも多くの人に経験してほしいと、心から思ったそうだ。

そもそも、よほどの旅行好きでもない限り、計画自体を自作する人は少ない。基本はガイドブック任せ、あるいは旅行代理店の企画したパッケージツアーに申し込む方が大半ではないだろうか。そこで、これまでアナログで作成していた旅行計画を、ITを用いてスマートにしようというのが同社の狙いだ。

甲斐氏と佐藤氏の出会いは前職時代。甲斐氏は大学卒業後、テレビ宮崎に入社。4年間在籍した。佐藤氏は大学卒業後に博報堂DYメディアパートナーズに入社。フジテレビ系列の営業担当となり、そのつながりで二人は知り合った。

その後、佐藤氏は博報堂から外資系生保に転職したが、共通の知人の結婚式で再会。そこで甲斐氏と旅行ビジネスについての話で盛り上がり、そこから半年ほど起業について話し合った結果、2人で起業することを決めた。

そして甲斐氏と佐藤氏は、勤務先を退職し、2人で事業計画書を作成しながら、ベンチャーキャピタリスト回りを始めた。

2012年4月、Orange株式会社を資本金わずか200万円で設立。半年間のリサーチ期間を設けた後コンセプトを固め、開発をスタートした。

また、運転資金は制度融資などで資金調達。知人や親戚など、個人からの出資も受けて、資本金は1500万円に増えた。

旅行先で現地の人と出会い、地元の人ならではのスポットを紹介してもらいながら旅を楽しめる「Meetrip(ミートリップ)」というWebサービスがある。実は2人が最初に計画していたのは、このサービスに近いものだったそうだ。

しかし、外国人旅行客を地元の日本人が案内するには国家資格が必要という法的課題もあり、また旅行中のアクティビティーより旅行前に計画をしっかり作ることが、旅行をより豊かにより快適にできるという考えに至り、方針を転換。現在の旅行プラン作成ツール「tripro」を、2013年8月に本格的にリリースした。

サービスインの準備を進める中で、「Expedia」と提携できたことはとてもラッキーだった。きっかけは、海外におけるオンライン旅行業界のトップリーダーたちと日本のオンライン旅行業界をつなぎ、ともに成長するための国際会議「WIT(Web In Travel)Japan」というカンファレンス。そこで2人がピッチに立ったところ、その場にいた「Expedia」の担当者と知り合い、話がとんとん拍子に進んだという。

ちなみに、開発でもっとも苦労した点を伺ったところ、「エンジニアの採用」と即答。ちなみに、同社の社員エンジニアとは、クラウドソーシング系のサービスを通じて知り合ったそうだ。

世界中の旅行を より豊かに より快適に――
将来への展望

tripro3インタビューの最後にこれからの展望を伺ったとところ、「単なるITベンチャーではなく、旅行に軸を置いた会社にしていきたい。旅行計画を自分で作成するという文化をつくり上げるのが目標。旅行付きの人たちにとって、なくてはならないインフラになるようなサービスとして育てていきたい」と答えてくれた。

具体的な目標数字は今のところ非公開だそうだが、5期目までにはIPOをする計画で事業を運営している。

ちなみに、Orange株式会社が品川に拠点を置いたのは、日本に旅行に来る外国人は品川を起点に動くことが多いという理由から。羽田空港にも近く、新幹線などのターミナル駅でありホテルなども集積している品川は、まさに旅行ベンチャーにはピッタリの街だ。取材帰りに品川駅を歩くと、確かに多くの外国人旅行客が目についた。

2020年に東京オリンピックの開催が決定したが、そうしたトピックも同社にとって追い風の一つとなりそうだ。「オリンピックの開催に合わせて面白いことを仕掛けたいですね」とは(甲斐氏、佐藤氏)。56年ぶりに日本で開催されるオリンピックで飛翔するのはスポーツ選手だけではない。彼らのような起業家もまた、世界に向けて飛び立って欲しい…そんな期待がふくらんだ。

Orange株式会社
代表者:甲斐 考太郎氏、佐藤 永武氏。 スタッフ数:12名
設立:2012年4月 URL: http://tripro.me
事業内容:
旅のプランニングツール「tripro(トリプロ)」の開発・運営。

当記事の内容は 2013/10/31 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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