経営戦略 Vol.49 「ミルクはつけっぺか?」で売上2倍。カリスマ販売員に学べ。

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
マニュアル世代という言葉も若干古臭くなるくらい、今、飲食店などのサービスはどこも均一化に向かっているようですが、そんななか、山形新幹線には、山形弁丸出しでワゴンを引くカリスマ販売員がいるようです。彼女の仕事ぶりには、「仕事の本質」が見え隠れしています。

車内に山形弁が響き渡る!!?

 「コーヒーはあったかいのど、つったいの、どっちがいいべ」「ミルクはつけっぺか」・・・山形新幹線には、こんな方言を響かせながら車内販売用のワゴンを引くカリスマ販売員がいるのをご存じでしょうか? 彼女が通路を通ると、背広姿のビジネスマンは読んでいた新聞を横にずらし、また団体客も会話を止めて一斉に視線を集中させるといいます。時には、ドッと笑が起きることさえあるみたいですが、むやみに客の視線を集めるばかりでなく、ちゃんと“実績”の伴うスペシャリストなのです! (^^)!

 そもそも、車内販売とは、天候や時間帯などによって売上げが左右されるものですが、東京⇔山形2往復間での平均売上げは 20~25万円のところ、方言で売るそのカリスマ販売員の場合、倍に当たる50万円を売り上げた記録もあるのだとか…。約1300人ほどいるJR東日本管内の車内販売員のなかでは、まさに「カリスマ」と評される存在なのです。

 

自分の仕事に個性的な工夫を

 素朴な疑問として、「なぜ方言で売るのか?」と尋ねられることも多いみたいですが、そんな時彼女は、「社内マニュアルでも禁止されていませんから」と答えているそうです。なんでも、入社当時はなるべく山形弁を隠して会話をしていたようですが、ある日ついつい方言が出てしまったところ、乗客から山形の名所を尋ねられたのだそうです。

 “方言を使っていると、お客さんと対話が生まれやすい”

 そう気づいた彼女は、その日から発想をガラリと変えたのです。「方言は決して恥じることのない立派な個性だ」と。それ以降、方言をためらわずに使ったところ、車内で声をかけられる率がグンと上がったことは言うまでもありません。

 こんな経験をとおし、彼女は「仕事」がすっかりおもしろくなったのでしょう。自分なりの工夫は方言だけに留まりません。なんと!「バック販売」という独自のスタイルを生み出したのです。通常、ワゴンは進行方向に向かって「押して」いくものですが、試しにそれを「引いて」販売することにしたら、とおりすぎたお客さんと目が合うことも多く、引き返しやすくなったことで、売りの逃しが減ったのだそうです。まさにプロの技ですよね(*^^)v

 

工夫をすると仕事はどんどん楽しくなる!

 また、バック販売にしたことで、何よりお客さんの様子が明確に把握できるようになったのだそうです。網棚の荷物に渡るまで、車内全体が見渡せるようになったので、お客さんの欲しいものが自然と予測できるようになったというわけです。

 たとえば、手元に何も持っていないビジネスマンなら飲み物が欲しいかもしれない、子ども連れのお客さんにはお菓子が必要かもしれない…。最初に車内を回ったときにそう予測を立て、次に回るときには、約90種類ある商品の配分をガラリと変えることもあるみたいです。まさに、こうした「仕事の姿勢」が、売上げに繋がっているのです。

 最近の若い世代の傾向として、“言われたことしかしない”人が多いように思います。良く言えば“おりこうさん”が増え、「それは私の担当じゃありませんから…」と、決して枠をはみ出ようとしない人が多いのです。

 しかし、「それで仕事がおもしろいのかな?」と思いませんか。仕事とは、仮説と検証の繰り返しですから、“もしかしてこうしたらうまくいく(売れる)かも”と自分で工夫したことが成功したら、どんどん仕事が楽しくなっていくはずなんです。そんな仕事の醍醐味を知らないのは本当にもったいないことです。このカリスマ販売員の彼女、今では車内でお客さんの悩みに耳を傾けることもあるそうですよ(@_@;)

   とくに小さい会社では、彼女のように、自分の仕事の枠をどんどん広げていく社員がたった一人いることで、競合に勝てるばかりか、会社の売上げまでを伸ばしてしまうケースも十分あると思います。ぜひ、この事例を参考に、自社の人材育成の視点に、「工夫やチャレンジでどんどん仕事が楽しくなることを教える」というポイントを加えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~。

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