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もうひとつの集客方法「エリアマーケティング」
これまで「宣伝広告に投資して集客する」方法と、その際「ホームページ」を集客の受け皿として活用するという考え方について解説してきましたが、これは広い範囲の中にランダムに存在しているお客さまを集めるための方法で「マスマーケティング」といいます。つまり、お客さまがどこにいるかわからないので、チラシやDM、広告やテレビCMなどを使って広範囲に情報を流し、その中にいるお客さまを集めるという手法です。
しかし、ビジネスモデルによっては、こうしたお金のかかるマスマーケティングをしなくても集客できるケースがあります。それは、ターゲットとしてのお客さまが最初から限定されているようなケースで、たとえば医療機器メーカーや特定の業界向けの商品など、買う相手が限定されている場合です。
つまり、あるエリア内にお客さまとなりうる人がどこにいるかが見えているケースで、こうした場合は「エリアマーケティング」と言って、その特定の人々の名簿を作り、シェアを取っていくということをします。そのための集客は、名簿が完成した時点で終わるので、集客自体にはそれほど大きなお金はいりません。このマスマーケティングとエリアマーケティングの両方を上手に使って成功した田村設計という会社があるので、今回はその事例をご紹介することにしましょう。ちなみにこの会社は、以前の私の顧問先ですが、田村社長は大変ユニークな方です(~o~)
成功事例「田村設計」に学ぶ
田村設計は、現在アミューズメント施設に特化した設計を行っていますが、もともとは大きな商業施設の設計を行っていました。ところが、バブル崩壊とともに仕事がパッタリこなくなってしまい、一時は本当に大変な状態だったみたいです。それでも何とか活路を見出そうと、テーマパークの専門誌に広告を打つことだけは続けていたそうです。
それから半年、もうダメかと思ったころ、その広告を見て、とあるパチンコ店から「パチンコ店の設計はできるか?」との問い合わせがあったのです。田村設計ではパチンコ店の設計などしたことはありませんでしたが、「もちろんできます!」と早速依頼主の元を訪ねました。
そして、そこで思いがけない業界の話を聞くことになったのですが、パチンコ店というのは店舗商売ですから、建物にかなりの投資をします。大きいところでは3~5億、最大70億をかけた物件まであるそうです(@_@;) しかも、常に時代の先端をいく雰囲気を出す必要がありますから、10年に1度はリフォームか建て替えを行うというのです。さらに特殊な業界であるため、実績のないところにはまず発注をしないそうで、そういった意味では、今回の問い合わせは千載一遇のチャンスだったのです。
この打ち合わせを終えるとすぐに、社長はパチンコ店にターゲットを絞ったエリアマーケティングを行うための方法を考えました。まず真っ先にしたことは、全国にパチンコ店が何軒あるかを調べることでした、さらに、それらの店舗の住所と名前、そしてファックス番号をすべて調べ上げ、早速ファックス通信を出し始めたのです。たぶんこれが日本で最初のファックス営業でしょう。
当時はまだファックスにメモリー機能もない時代でしたから、なんと1件1件手作業で送信しようとしたところ、運よくそれを聞きつけたKDDIが飛んできて、「一斉送信」の仕組みを提案したなんて裏話まであるくらいです。その後、KDDIはそのシステムを随分売ったみたいですが、今では当たり前になった「一斉送信」のシステムを使ったのも、おそらく田村設計が最初ではないでしょうか。
また、そのファックス通信の中身も、当時としては非常に驚くべきもので、決して売り込みに走らず、今人気の景品リストとか、こういう店舗が受けてますといった、パチンコ店が読むとちょっと役立つような内容にしたのです。しだいに業界でも「おもしろいことをやっているヤツがいる」と話題になり、やがていろいろな店舗から声がかかるようになりました。今では全国のパチンコ店設計の10%ものシェアを取る超安定企業に成長しています。
田村設計の場合も、最初に活路を開いたのは広告宣伝です。今ではホームページを上手に使ってビジネスを展開しているようですので、ぜひ参考にしてください (@^^)/~~~