近年、手ぶらでバーベキューといった“都会でアウトドア”をウリにするお店も増えてきましたが、そんな中、手ぶらで参加でき、高級ホテルのようなおしゃれな空間でキャンプができるという「グランピング」が話題を呼んでいるようです。果たしてアメリカに続き、日本にも「グランピング」ブームは来るでしょうか。
今回は「グランピング」を切り口に、アウトドア×富裕層向けサービスという新しい可能性について解説します。
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「グラマラス(魅力的な)」×「キャンピング」=「グランピング」
今年もそろそろビールの美味しい季節(*^_^*) 天気がいい日に、屋外で飲むビールは格別ですよね。猛暑の影響もあってか、ここ数年都心のビアガーデンなどの売上げも好調なようで、松屋銀座が女性のために企画した「美しくなるビアガーデン」などは、予約が取りにくいほどの人気ぶりだそうです。
また、今年(2014年)6月、東京・新豊洲にオープンした「another style town MAGIC BEACH」は、ベトナムから運んだ550トンの「白砂」を敷きつめた550坪のビーチで、ブドウの枝でスモークする「フレンチバーベキュー」などが楽しめる話題のスポットですが、最近では、とかく準備や片づけが面倒くさいバーベキューが手ぶらで楽しめるという施設も、数多く出現しています。
そんな中、高級ホテルのようなおしゃれな空間でキャンプができるという「グランピング」が話題を呼んでいるようです。ちなみに、グランピングとは、「グラマラス(魅力的な)」と「キャンピング」を掛け合わせた造語だそうですが、高級ホテル並みの設備やサービスを提供する施設で、ちょっとリッチなバーベキューが楽しめるのがウリ。アウトドアから「汚い」や「面倒くさい」を取り除いた進化系スタイルと呼べそうです。
アメリカの「グランピング」人気は日本に定着する!?
この「グランピング」、アメリカでは数年前から富裕層を中心に人気のようで、専用の予約サイトもあるみたいです。日本でのグランピングの草分けは、昨年春、東京・新豊洲にオープンした「ワイルドマジック・ザ・サードパーク」。エリア内にはシャンデリアや皮張りのソファ付のテントが3つ設置され、高層ビルの夜景を眺めながら最長4時間のバーベキューを楽しむことができる施設です。料金は一人6,500円とちょっと高めですがが、休日は予約でいっぱいだそうですよ。
また、埼玉県吉川市には、ゴルフ場のクラブハウスをリニューアルして、屋上でキャンプができるようにした「アウトドア・スポーツパーク」がオープン。鶏の丸焼きが看板メニューだそうで、お父さんがゴルフを楽しむ間、家族はバーベキューを楽しむといったスタイルも想定しているみたいです。なかなか賢いですよね(*^^)v
一方、三重県志摩市の「伊勢志摩エバーグレース」は、リゾートホテルのようなコテージに宿泊してバーベキューが楽しめるグランピングプランを開始しました。1泊1名35,800~52,200円とそのお値段も高級ホテル並みですが、顧客満足度はかなり高いといいます。
「グランピング」は富裕層アウトドアマーケットに定着するか
考えてみれば、日本にはバブル期に建てた妙にリッチな宿泊施設などが、今や時代錯誤となってくすぶってケースも少なくありません。ゴルフ場にしてもそうですが、高い稼働率を保つのは至難の業だと思います。そうした施設の集客の切り口として「グランピング」を使うというアイデアは、結構イケるかもしれませんね。
ここ数年、日本中の商品やサービスは「安くていいもの」に向かって走り出しましたが、「本当にいいものは安くない」という真実に、多くの人たちが気づき出してきました。マクロ指標としても物価は徐々にあがりはじめており、デフレからの脱却は大きな流れとなりつつあります。
大企業やチェーン店はともかく、私たち中小企業の提供する商品やサービスは、限りなく「上」に向かっていくべきだと思っているのですが、そうした意味では、この「グランピング」のような“アウトドア富裕層バージョン”はぜひ参考にしていただきたい事例といえます。
富裕層をターゲットにしたマーケティングでキーになるのは、特別感。つまり、他ではできない体験をいかに提供できるかにあります。旅行などはその最たるもので、一般に知られるリゾート地に彼らが興味を示すことはなく、アフリカの奥地でサファリ体験といった、パーティーの席で会話のネタにできるような貴重な体験を求めているわけですね(*^_^*)
以前書いた「ななつ星」のコラムも、合わせて参考にしてください(@^^)/~~~