経営戦略 Vol.106 イオンのシネコンが従業員の制服を企業広告媒体に!?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

シネマコンプレックスを運営するイオンエンターテイメントは、ちょっとユニークなアプローチで広告事業の強化に乗り出しました。なんと、従業員が着用する制服を「広告媒体」として活用し始めたのです。サッカーのユニフォームなどで見られるように、背面や袖口に企業名や商品名を入れられる広告枠を設け、30万円~250万円程度の広告料で販売するわけですが、着眼点のヒントとして参考にしてはいかがでしょうか(*^^)v

従業員の制服が「広告枠」に!?

近年はとかく「ネット広告」にばかり目が向きがちでしたが、広告媒体はまだだ「リアル社会」にもあると気づかせてくれる事例をご紹介したいと思います。シネコン(複合型映画館)を運営するイオンエンターテイメントが、従業員約4000名が着用する制服を「広告媒体」として活用し始めたのです。劇場内でチケットのもぎりや場内案内、売店や清掃などを担当する従業員が着用する制服の背面や袖口に、スポンサー企業名や商品名が入れられるというサービスで、広告料は30~250万円ほどだといいます。ちなみに、この取り組みは、2014年2月3日の日経MJにて紹介されていました。

ユニフォームに広告として企業名を入れるのは、Jリーグのサッカー選手などスポーツ界では一般的ですが、サービス業ではおそらく初めてに近い取り組みではないでしょうか。同社によると「広告収入はまだ微々たるもの」ということですが、すでに映画配給会社に加え、飲料メーカーや都道府県などの自治体もスポンサーとして名を連ねているようです。

「お金を産み出すスペース」を探せ!

これって、一瞬見逃してしまいそうな小さなニュースではありますが(笑)、従業員の制服という新たな広告媒体を掘り起こした点では、大いに評価できる取り組みだと思います。そもそも広告業とは「広告スペースを生み出す」仕事なのです! 広告業と聞くと「カッコイイビジュアルを制作する仕事」みたいなイメージがありますが、その制作物を発表する場を見つけることこそが広告業の真髄です。

駅前の看板や電車の吊看、あるいは高速道路からよく見えるビルの屋上に看板を立てるとか、スクランブル交差点に巨大なハイビジョンを設置するとか…「お金を産むスペース」をいかに見つけるかで、広告収入は大きく変わってきます。テレビCMであれば視聴率の高い番組のスポットは高く売れるわけですし、雑誌であれば発行部数と掲載スペースに応じて広告料が決まっています。

しかし、そのスペースに出す一番最初の広告には、値段があってないようなものなのです。これまで前例がないわけですから、二番手が現れるまでは自由に値決めができるわけですね(*^_^*)

本業を補完する収入源が必要な時代

つまり、広告業を営むには、「手垢の付いていない広告媒体」を探し続けることがキーになるわけです。それは“業界初”というものでも構わないわけで、そういった目でこの事例を眺めると、スポーツ界では当たり前だったことを、サービス業界に持ちこんだ同社の発想が「結構賢いな」と思えてきませんか?

これまで映画館の広告収入といえば、映画の予告編の合間に流す「シネアド」と呼ばれるCM映像が中心でしたが、この制服のように、言われてみれば「ああ!」というような広告スペースはまだまだありそうですよね

それはともかく、少子高齢化に向ってまっしぐらのこれからの日本において、「本業を補完する収入源」を持つことは、どんな業種にとっても重要になるはずです。レンタルDVDやネットの動画配信に押され、決して安泰とは言えない映画業界にとっても、こうした発想が必要だったわけです。この事例をヒントに、自社にも何かできることはないか、楽しみながら発想を拡げてみてください(@^^)/~~~

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