飲食店経営の極意 Vol.1 あの白いヒゲの紳士から微笑みが消える?くらいウマい鶏とは!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

初めまして。今回のコラムを担当する山本と申します。
このコラムは飲食店の繁盛は「感動なくして繁盛なし」という山本の主観的な考えを大切にしながら書いております。その考えをベースに繁盛している店舗をチョイスし、“その店舗の突き抜けた強みが一体何なのか?”を具体的に分析するという極めて実用性に富んだ内容になっています。

さて、初回は鶏肉を扱っている店舗さんをご紹介いたします。
テレビ番組「しゃべくり007(日本テレビ)」でも紹介され、未だに平日は予約が無いと入れない五反田の超有名店。「庭つ鶏」さん例に、繁盛の秘訣を分析します。

他店とは比べ物にならない!「庭つ鶏」さんの突き抜けまくってる強みとは?

バン!バンバンッ!バンバン!バン!バンバンッ!バキッ!バキッ!バンバンバン…×4回。のときと、同じ味がしました。意味分んないですよね。はい、すいません。
この“バンバン”というのは、鶏肉をまな板の上で捌くときの音です。僕は某会社さんの鶏肉工場で修行していたことがあります。このとき、生まれて初めて「ト体」の鶏を捌く機会に恵まれました。(ト体とは、頭、内蔵、足がついた状態のこと)ト体は食鳥処理場の認可を受けた場所で、食鳥処理免許の取得者がいないと捌くことが出来ません。実はここが大きなポイントです。そう、「庭つ鶏」さんはお店でト体を捌く許可をもらっているかなり珍しいお店なのです。そのため、鮮度は抜群!

さらに驚くのは、「庭つ鶏」さんの使用する鶏は、地鶏ではなくブロイラーです。ブロイラーとは、一般的なスーパーなどで販売されている鶏肉と同じ鶏肉で、地鶏と比較すると半分のスピードで成鶏になるため、市場では安価で取引されているのが特長です。
「それでも、地鶏に比べると劣るでしょ…」と思われるかもしれませんが、鶏は鮮度が抜群だと、誰でも驚くくらいの旨味を桁違いに感じる事が出来るのです。

“〇〇地鶏”をウリにしている飲食店ってよく見かけますよね?実は鶏料理屋さんが〇〇地鶏を利用するのに、1つの理由があるんです。
鶏肉は牛肉や豚肉と比較して、傷みやすいという特長があります。では、この傷みを少しでも引き延ばすためにどの様な工夫をしているかと言うと…そうです。地鶏を使う必要があるんです。成長するまでに時間を掛けた鶏ほど、鮮度が長持ちするのが、鶏肉の特徴でもあるのです。そのため、普通の鶏料理屋さんの殆どはブロイラーでは無く、地鶏を使う。結果、お客様に提供する際の価格が高くなるというわけです。

ところが「庭つ鶏」さんの場合、安価なブロイラーを使用しているにもかかわらずお店でト体を捌いているため、鮮度のよい鶏肉を提供することができるわけです。

そうです。まさに「庭つ鶏」さんの強みは、肉の旨味を低価格で提供できるという点なんです。捌きたての鶏を炙って食べたとき感動の旨さには、チキンで有名な白ヒゲの紳士の微笑みが驚きに変わるレベルです。

お客様は素人です。だからこそ○○しなきゃいけません

「庭つ鶏」さんのメニュー表は、他店と同様で実にシンプルです。

しかし、他店と違う点は、最後のページに食鳥処理免許のこと、食鳥処理場として認可されていることを1ページ使い説明されているのです。
また、商品によっては、食べさせ方にもコダワリがあります。有名な商品だと「そぼろ玉子かけごはん」は最初から玉子をかけてはいけません。※以前は怒られていたようです(笑)
最初にそぼろご飯だけを食べてから、その後玉子をかけるのが流儀なのです。

そうです!!お客様は素人なので、もっとも美味しい食べ方をお店側が教えてあげなければならないんです。

一般的に〇〇素材を使ったなど、食材について言及されている飲食店は多いと思います。しかし、食材本来の良さを、どの様に食べたら一番おいしいのか…。これは料理人が一番分かることだと思います。「庭つ鶏」さんは、これが徹底されています。

それをどのようにして食べるのがベストなのか?を教えてあげることも、時にはとても重要です。
※以前はメチャメチャ厳しかったそうですが、最近は優しく教えてくれます。

長く繁盛し続ける為に必要なのは○○確保!

きっと、このコラムを読む方は「よーし!起業するぞ!」と熱い気持ちの方が多いと思います。そんな皆さんに今からとっても重要なことをお伝えいたします。これは、僕自身成功したり失敗したり、他社さんを見ながら感じたことです。

それは、「利益」確保です。売上よりも「利益」に着目しましょう。
利益とは「売上-原価-人件費-販管費=利益」です。では、数式ではなく言葉で「利益」とは何ぞやと説明すると、私は「独自性」だと感じています。

では、「庭つ鶏」さんにコレを当てはめると、やはり素晴らしい点はブロイラーを使用されていることでしょう。
でも、皆さん。勘違いしちゃだめですよ!!安いからブロイラーを使っているのではなく、ブロイラーを使用しても旨い料理を提供できるから使用しているのです。
その旨いブロイラーを提供できる「独自性」=「食鳥免許&食鳥処理場の認可」が見事にお店の強みとなっており、さらにお客様のニーズにハマり、繁盛店になっているのです。

つまりこの独自性により、ある程度の客単価が設定できており、適性な利益が確保でき、長くお店を続けることが出来ているのです。これってとっても重要ですよ!

他店にはない、自分にしか提供できない価値。これを掘り下げて考えることで、自分なりの独自性が見えてきたりします。

ただし、最初から難しく考えても先に進まないと意味がありません。ここで一つアドバイスを!飲食店開業を考えている方は、ぜひ同じような業態の店舗に足を運んでください。そして、その店の独自性は何かを自分なりに分析し、自分が考えているお店とは何が違うのか、良い点・悪い点をメモしてください。いくつも事例を見ることによって、自分の独自性が何になるのか見えてきたりします。

飲食店開業は初期投資が掛かるので、失敗した時のリスクが高いです。
焦らず、自分の強みを見つけ、コンセプトを固めた上で開業されることをオススメします!

まとめ

◆突き抜けた旨さは感動を生み出す!

◆自店の強みをお客様に教えることで感動数値は上がる!

◆自店の独自性とお客様のニーズを、常に観察し利益確保に努めよ!

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今回は鶏で突き抜けたお店でした。次回は「魚」で突き抜けているお店です。そのお店の大変ユニークな部分は、魚を一種類しか扱っていないことです。そのお店にはマグロはありません。タイもありません。イカもタコも貝類もありません。たった一種類しか扱っていないのですが約50席のお店はいつも繁盛しています。なんとも不思議なお店の分析をお楽しみに。

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