前回は「サラリーマン信用力」の存在を強く意識して頂いたうえで、「起業戦闘力」に変換する方法について概論をお話しさせていただきました。
今回はお待ちかね、「起業戦闘力を爆発させる、銀行活用術」の実践編・第一弾、「住宅ローンを触媒とした信用力⇒戦闘力変換」についてです。ここでキーワードとなるのが「期限の利益」という単語。これは銀行員ならだれもが知っている「利益」ですが、一般的な認知はほとんどないのではないのでしょうか。
この「期限の利益」を意識して組んだ住宅ローンと、そうでない住宅ローンとでは「信用力⇒戦闘力変換」成否の結果が大きく異なってきます。
では、実戦戦闘力を高めるための「期限の利益」というものはどういったものなのか、それを起業の際のブーストとして活かしていくにはどう扱っていけばよいのか、早速見ていきましょう。
- 目次 -
実戦戦闘その1 期限の利益、知ると知らぬは大違い
期限の利益とは…辞書を引くと“期限が定められていることによって債務者が受ける利益。例えば、借金の返済期限が設定されている場合、債務者は期限が到来するまでは返済する義務はなく、また返済を求められることもない。(大辞泉より)”とあります。
…これだけではイメージするのが難しいかと思います。以下に例を出して解説します。
あなたは3500万円の自宅の取得に“自己資金500万円、住宅ローンを3000万円、1.5%の25年”でローンを組んだとします。毎月の返済額は約12万円。多くの方が「これから25年もかけて、毎月12万円も払わなきゃいけないのか…大変だなぁ」と思うでしょう。銀行員時代、住宅ローンを組まれた後の窓口で、よく耳にしたお客様の感想です。
ですが、待ってください。この状態は、言い換えれば「3000万円のお金を月に12万円ずつ返すだけで良い」とも取れます。一年後にいきなり銀行から、「あなたのローン残高は2900万円残っていますから、これを一括で返してください」とは、当然ながら言われませんね。この「当然の状態」と思われがちな利益が「期限の利益」と呼ばれるものです。
「そんな当たり前のことが利益なの?そんなものは誰もが知ってるし、そんな当たり前のことが起業に活用なんてできるのかな…」 なんてみなさんの心の声が聞こえてきそうですが、それが活用できてしまうんですね。それも「守りの活用」と「攻めの活用」の2段活用までできてしまう、知らなきゃソンな優れモノとして起業にブースとをかけることができてしまいます。
実戦戦闘その2 期限の利益、まずは守りに使うべし
それではまず、「期限の利益・守りの活用」から触れていきましょう。具体的な数字が入った方がイメージしやすいので、先ほどの住宅ローン借り入れの設定をここでも用いたいと思います。
3500万円の家を取得したい際に、自己資金は500万円あるとします。上の例では500万円を頭金として3000万円のローンを25年で組みました。返済は約12万円。総支払利息は約600万円です。もしあなたがサラリーマンを続けていたとして、12万円の返済が将来にわたって十分可能であれば、このローン組成は利息を抑える観点では優れた組み方であるかと思います。
しかし、起業を控えたあなたが「サラリーマン信用力⇒起業戦闘力」に変換してからの退職を考えていらっしゃるとしたら…ローンはどのように組まれるでしょうか。私がクライアント様にアドバイスさせていただくとしたら
“自己資金0円(※)、住宅ローンを3500万円、1.5%の35年”
で組むような形をお勧めします。借入を500万円も増やしたにもかかわらず、毎月の返済は10.7万円と、上記のケースを下回ります。詳細の解説を加えていきましょう。
※ 自己資金について、完全にゼロにすることは難しいですが、“可能な限りゼロに近づける”という概念上の数値としてお考えください
実戦戦闘その3 期限の利益、最大化して守りにつかうには
先ほどのローンで「頭金は入れない」ようにお勧めする点。これは「事業資金に回せる余地を残す」ことを狙っています。また、「期間も最長」で組まれることもお勧めする点は、「毎月の返済額を低減させる」ことを狙っています。
事業というものは、よほど特殊なビジネスモデルでない限り、立ち上げ当初の利益は不安定になります。その際、毎月の返済が重くのしかかったらいかがですか? 自己資金も手元にあまりなかったら…大変ですね。
逆に、毎月の返済額を減らし、十分な手元資金を留保することにつながったらいかがでしょう。経営に置き換えれば、“毎月のキャッシュアウトを抑制しながら、手元資金を多く確保した状態”と言えます。この形ならば安心して起業に向かうことができるのではないでしょうか。これら、「期限の利益を最大化する」ことは、サラリーマン信用力を起業戦闘力に上手に変換することにつながります。
また、「期限の利益」とは、その名前から「期限を長くする」ことが最大化の方法のようにとられがちですが、期限の“利益”、“利益”といえば金額ですよね。ということで「金額を大きくする」ことも期限の利益最大化の大きな要素となります。「最長の期間で最大の金額」を借りる。これが期限の利益が最大化した状態です。
「期限の利益・守りの活用法」の最後に、「期限の利益確保のタイミング」について補足したいと思います。仮にあなたが利息を抑えるため「頭金500万円、借入期間25年」のローンを組んでから起業し、「やはり返済額を減らしたいので、借入期間を35年に10年延ばしたい」と言ったらどうなるでしょうか。これは銀行側から見れば、期限の利益を後から「与える」形となります。銀行はタダでものを与えてはくれません。この場合はおそらく「金利を上げられる」などの対応がとられるでしょう。それでも変さらに応じてくれるだけ良いかもしれません。銀行はこの変さらに応じる義務はないのは、契約を鑑みれば当然ですからね。
ということで、期限の利益は最初に獲得したものが最大になる」という認識を持っていただければ「守りの活用法は完璧」といえる状態になると思います。
実戦戦闘その4 期限の利益、最後は攻めに使うべし
先ほどのローンで「頭金は入れない」ようにお勧めする点。これは「事業資金に回せる余地を残す」ことを狙っています。また、「期間も最長」で組まれることもお勧めする点は、「毎月の返済額を低減させる」ことを狙っています。
事業というものは、よほど特殊なビジネスモデルでない限り、立ち上げ当初の利益は不安定になります。その際、毎月の返済が重くのしかかったらいかがですか?自己資金も手元にあまりなかったら…大変ですね。
逆に、毎月の返済額を減らし、十分な手元資金を留保することにつながったらいかがでしょう。経営に置き換えれば、“毎月のキャッシュアウトを抑制しながら、手元資金を多く確保した状態”と言えます。この形ならば安心して起業に向かうことができるのではないでしょうか。これら、「期限の利益を最大化する」ことは、サラリーマン信用力を起業戦闘力に上手に変換することにつながります。
また、「期限の利益」とは、その名前から「期限を長くする」ことが最大化の方法のようにとられがちですが、期限の“利益”、“利益”といえば金額ですよね。ということで「金額を大きくする」ことも期限の利益最大化の大きな要素となります。「最長の期間で最大の金額」を借りる。これが期限の利益が最大化した状態です。
「期限の利益・守りの活用法」の最後に、「期限の利益確保のタイミング」について補足したいと思います。仮にあなたが利息を抑えるため「頭金500万円、借入期間25年」のローンを組んでから起業し、「やはり返済額を減らしたいので、借入期間を35年に10年延ばしたい」と言ったらどうなるでしょうか。これは銀行側から見れば、期限の利益を後から「与える」形となります。銀行はタダでものを与えてはくれません。この場合はおそらく「金利を上げられる」などの対応がとられるでしょう。それでも変さらに応じてくれるだけ良いかもしれません。銀行はこの変さらに応じる義務はないのは、契約を鑑みれば当然ですからね。
ということで、期限の利益は最初に獲得したものが最大になる」という認識を持っていただければ「守りの活用法は完璧」といえる状態になると思います。
次回
今回は実戦戦闘・第一弾として、「サラリーマン信用力」を「起業戦闘力」として変換し、起業後の自分自身にプレゼントする方法をお話ししました。銀行活用法として、メカラウロコの内容だったのではないでしょうか。
次回は銀行活用の正攻法といえる、「創業資金の獲得」について。“どんな金融機関で借りるのがよいのか”や、“それぞれどのような特色があるか”等について掘り下げることで、皆さんのビジネスモデルに対して、相性の良い金融機関の「自己診断」が行えるような内容となっています。究極は「安いコスト(金利)」で「事業永続性」も確保するための方法についても言及する予定です。どうぞお楽しみに!