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分厚い事業計画書があればOKなのか?
はっきりと断言します。薄っぺらい事業計画書よりも、分厚い方が心象はいいです。しかし、実際のところ、分厚い事業計画書をもっていっても、融資担当者は内容をすべて見ることができません。
なぜなら、融資担当者は毎日、毎日、何件もの融資依頼を受けています。細かく見ている時間などないのです。ですから、売上・経費率などを重点的に見る形になります。事業計画はあくまでも計画です。実際の売上とは違ってきます。
できれば、事業計画の要点をまとめた概要は、A4の用紙一枚くらいにまとめて提出しましょう。
また、事業計画書を立派に作ろうとすると、誰もが売上を希望的観測の元に算出していきます。利益を過剰に算出するわけです。
「でも、利益がないと返せないのだから、そもそも借りられないでしょ?」
それはおっしゃるとおりですが、融資担当者はあなたの事業計画書をそのように見てはいないのです。
融資を実行する際の判断基準
実は、日本政策金融公庫(旧 国民生活金融公庫)などには、「業種による売上や原価の詳細なデータ」があります。
以下にその基準ラインをご紹介します(あくまでも一つの目安としてとらえてください。担当者や窓口により若干異なります)。
例えば 月の売上400万円で仕入れ金額が120万円。家賃や人件費などのその他経費が200万円の事業計画書としましょう。
==<一般的なビジネスの場合>==
【あなたの事業計画書上の数値】
売上 400万円 経費200万円 仕入120万円 =80万円
実際に融資担当者が見る数値は、事業計画書上の数値の『8掛け』になると考えていてください。売上は少なくても経費は変わらず、仕入も同率で減ります。融資担当者の視点で見ると下記のような数値になってしまうのです。
【融資担当者の視点で見た数値】
売上 320万円 経費200万円 仕入 96万円 =24万円
==<飲食ビジネスの場合>==
ちなみに飲食ビジネスを見る場合の目はもっと厳しいです。実際に融資担当者が見る数値は『5掛け』になると考えていてください。経費は変わらず、仕入も同率で減ります。一般的なビジネスと比べ廃業率が高いため、飲食ビジネスの場合はより厳しい目で見られています。
【融資担当者の視点で見た数値】
売上 200万円 経費 200万円 仕入 60万円 =▲60万円
になります。
融資担当者が赤字と判断したら?
もちろん、赤字では、事業資金はかなり借りにくくはなります。ただ、ここで重要なのは、最悪、実際の売上が売上予想の半分しかなくても事業を続けていけるのかどうかです。これは自己資金にもよりますが、店舗の家賃を落とす、備品はリースにする、人件費を見直すなどのさまざまな改善策を検討する必要があります。
先ほどの例を元に考えるならば、最低でも売上が事業計画の半分の200万円として、赤字ギリギリのラインまでもっていけるのかです。そうすれば、いろいろと工夫して、V字回復をする時まで事業を継続できるからです。
売上 200万円 経費140万円 仕入 60万円 =0
ここが、前回お話した、経営者の才覚=定性面とも絡んでいくところになってきます。
事業計画で本当に大切なのは、試算した売上の半分でも、事業が、ある程度の年数継続して営めるのかどうか?自己資金はどうなのか?経費や仕入は落とす道はないのか?ということです。
融資を円滑に受けるためにもぜひ、再度見直しをはかってみてください。