使用する数値は前回と同じです。前回の資金繰り表の数値を見てみましょう。
皆様も、自分の会社の資金繰り表を見る感覚で見てみてください。タケダ商事の6月 ~ 8月の月次資金繰りは下記のとおりでした。
タケダ商事 月次資金繰り表
勘定 | 説明 | 6月 | 7月 | 8月 |
---|---|---|---|---|
月初残高 | (前月末残高(A)) | 500 | 380 | -470 |
売掛金回収 | (売上金回収額) | 1000 | 600 | 1500 |
原価支払 | (買掛金支払) | -600 | -900 | -400 |
人件費支払 | (給与など支払) | -300 | -300 | -300 |
経費支払 | (その他経費) | -200 | -200 | -200 |
営業収支 | (以上を差引(B)) | -100 | -800 | 600 |
資金調達 | (借入調達) | 0 | 0 | 0 |
借入返済 | (毎月の返済) | -20 | -50 | -50 |
財務収支 | (以上を差引(C)) | -20 | -50 | -50 |
収支合計 | (D) = (B) + (C) | -120 | -850 | 550 |
月末残高 | (E) = (A) + (D) | 380 | -470 | 80 |
今月(6月末)は月末に380円残りますね!よかったよかった。
大変なのは、7月の資金繰りです。この資金繰りでは資金が470円足りなくなるのですが、実際にはいつ足りなくなるのかを検証しなければなりません。銀行などに交渉して資金を470円調達すればよいのかどうか……アクションを起こす前にくわしく見てみましょう!
そこで、作成する資金繰り表とは、月次をさらに推し進めた日時の資金繰り予定表なのです。
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日時資金繰り予定表の作り方
↓
翌月の現金出納帳・預金出納帳を先取りして合算して作成するだけ!
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経理担当といっしょに、過去3カ月ぐらいの通帳を見ながら、毎月の流れをつかんで7月分の予測をして見ましょう。
タケダ商事 7月分日時資金繰り表詳細
日時 | 内容 | 入金 | 出金 | 残高 |
---|---|---|---|---|
7月1日 | 前月よりの繰越残高 | 380 | ||
7月1日 | 小口現金引出 | 30 | 350 | |
7月5日 | リース料支払 | 20 | 330 | |
7月10日 | 買掛金支払 | 250 | 80 | |
7月10日 | 源泉税、住民税支払 | 20 | 60 | |
7月15日 | その他経費支払 | 50 | 10 | |
7月20日 | 借入返済 | 50 | -40 | |
7月20日 | リース料など経費 | 80 | -120 | |
7月20日 | 買掛金支払 | 400 | -520 | |
7月25日 | 売上回収 | 300 | -220 | |
7月25日 | 買掛金支払 | 200 | -420 | |
7月27日 | 人件費支払 | 280 | -700 | |
7月30日 | 売上回収 | 300 | -400 | |
7月30日 | 買掛金支払 | 50 | -450 | |
7月30日 | 経費支払 | 20 | -470 | |
7月31日 | 翌月繰越残高 | -470 |
と、まあこんな感じになりました。
あれー!
前回作成した月次資金繰りの結果ととりあえず一致する(月末の残は-470円で一致)だけどなぜか、7月27日の人件費を払う段階では700円のショートになっています。
ということは、資金調達を470円したとしても 230円足りないわけですつまり、資金調達必要額は700円だったわけです!日時資金繰り表をつくってよかったー!このようなことはどのような会社でも多々あります。
零細中小企業の手元資金は非常に脆弱で、本来であれば一カ月分ぐらいの売上高に匹敵する残高を安定的に手元に置いておくことが可能であればよいのですが、私の見る限りでは、ほとんどの会社が上記のようなすれすれの資金繰りなのです。どのような会社でも経費の支払い、人件費の支払額は毎月ほとんど変動がないため大きくぶれてくるのは売り上げの回収と買掛金の支払額なのですね。
サー大変だ!上記の資金繰り表だと、 7月20日から資金がショートし始めますから20日までに資金調達が必要となります。
しかも20日の資金ショートは借入の返済からだから、銀行との取引の重要性を考えると、なんとしても返済もしないとなりません。
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今日が6月20日ですからそれまで丁度1カ月しかありません。
いえ、1カ月もあります!
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さあ、この間にどのようなアクションを起こすか!ここからが、経営判断ということになるのです。
次回から、その一カ月間に何ができるかを検証したいと思います。といったように、資金繰りを細かく見てゆくと、資金の流れがよく分かります。このような資金繰り表をパソコン等で3カ月ぐらい先まで作成しておけば10日後にお金が足りない!というようなことはなくなるはずなのです。