定款を作成する際には、覚えておきたいポイントがある。そのポイントを、例をあげていくつか解説しておこう。前頁の定款記載例と参照しながら、確認してほしい。
第2条 事業目的に関して
会社は、事業目的外の事業を行うことはできないこととされている。つまり何らかの事業を行うには、定款にその事業すべてを記載する必要があるのだ。そこで事業目的は現在の事業に関わらず、将来行うであろう事業も記述しておくという方法もある。
また許認可事業を行う場合は、許認可事業に応じた事業目的を記述する。例えば介護事業の場合であれば、
・介護保険法に基づく介護予防サービス事業
・介護保険法に基づく居宅介護支援事業
などのように、許認可で決められた文言を記述する必要がある。
あるいは労働者派遣事業であれば、
・一般および特定労働者派遣事業
といった具合だ。このように、自社の事業目的に応じて列挙していくことになる。
そして、法律違反の目的、営利性のない事業の目的、そして一般的になじみのない用語を用いた目的は認められない。
第3条 本店の所在地に関して
定款上での本店の所在地は、最終住所地まで書かずに最小行政区画で止めておくことをお勧めする。例えば本店の所在地が「東京都千代田区xxxxxxxx」の場合は「東京都千代田区」、「千葉県松戸市常盤平4-23-4」の場合は「千葉県松戸市」という感じだ。
なぜならこのように記載することで、千代田区内や松戸市内の本店移転時には、本店移転に伴う定款変更の株主総会が不要になるからである。
第5条 発行可能株式総数に関して
発行可能株式総数とは、将来も含めて発行するであろうトータルの株式総数の上限のことである。
公開会社「1-6 会社・法人設立に関する機関設計」を参照)では、発行済み株式総数の4倍を超えることはできない。しかし非公開会社(「1-6 会社・法人設立に関する機関設計」を参照)では特に上限に関する規定がないので、通常は設立時に発行した株式の10~20程度とするケースが多いようだ。
もちろん上限を超える発行が必要になった場合には、定款を変更することによって上限を変更することができる。
第7条 株式の譲渡制限に関して
株式譲渡制限に関しては「1-6 会社・法人設立に関する機関設計」で解説するので、参照してもらいたい。そして中小企業の多くは、この株式の自由な譲渡を制限する「非公開会社」として運営されているのが現状である。
第19条 取締役の任期に関して
取締役の任期は、原則2年である。ただし非公開会社の場合には、選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時まで伸長することができる。
本来は2年ごとの任期満了後、税金を支払って行う重任登記が必要だ。しかし10年に延ばすことで、登記費用が節約できるというメリットもある。逆に複数人の取締役がいる場合に意見が対立しても、自発的に辞任しない限り10年経つまで取締役として在籍し続けられてしまうというデメリットもある。
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